50 / 56
番外編 バレンタインデー当日のトラブルと、もう一つのバレンタインデー(1)
しおりを挟む今日は2月14日。好きな人、愛する人にチョコレートを贈る、バレンタインデーです。
しかも今年のバレンタインデーは、2人で過ごす初めてのバレンタインデー。なので気合を入れて何日も前から計画を立てていて、今回はマティアス君のためにフォンダンショコラを作ることにしました。
「よっし。まずはマティアス君と一緒に朝ご飯を作って、お昼に準備を始めて……。おやつの時間に、食べてもらいましょう」
今の時間は、午前7時過ぎ。いつも通りの時間に目覚めた私は頭の中でスケジュールを確認して、ベッドから降り――
「??? あれ……? 今日は、いつもより寒い……?」
ベッドから降りていたら、背中がゾクゾクっとしました。
窓の外は快晴で、お日様の光がたくさん差し込んでいます。この天気なら今の季節でもポカポカしてるのに、不思議ですね。
「こんなに晴れているのに、寒気がするなんて。珍しい天気」
窓からお空を眺めてくすっと笑い、パジャマから室内用のお洋服に着替えます。そして最後にもう1枚カーディガンを羽織り、お部屋を出てキッチンスペースに向かう。
今日は、2人で一緒に朝ご飯を作る日。今朝は何にしようかな? と考えながら廊下を進んで、
「おはようございます。マティアス君」
キッチンに入ると、すでにそこにいた大好きな人に朝の挨拶を行います。
マティアス君は、本当に優しい人。こうして共同で作る日は、もともと朝が弱い私のために、先に起きてフライパンなどの準備をしてくれているんです。
「おはよう、イリス。今日は一緒に、何を作ろうか――…………」
支度に対するお礼に爽やかな笑みを返してくれていた、マティアス君。ですがすぐに笑顔が引っ込み、早歩きでこちらに歩いてきました。
??? どうしたのでしょうか?
「服装もそうだし、イリスの目がいつもよりトロンとしているね。…………もしかして、朝起きたら寒気がしなかった?」
「う、うん、したよ。こんなに晴れてるのに、珍しい日だよね」
「……いや、今日の気温は普通だよ。ということは――やっぱり、思った通りだ。頭が熱いね」
マティアス君の素敵な顔が近づいてきて、オデコとオデコがそっとコツン。5秒ほどで離れると、ひぁっ!? 私はそのまま、お姫様抱っこをされてしまいました。
「この熱さだと、体温が37度・1~2度程度まで上昇している。起床後の反応、瞳や呼吸から推測するに、風邪の初期段階だね」
「えっ!? か、風邪……。それじゃあ……」
「うん。今日は一日、ゆっくりと休む日にしよう。これ以上、風邪が進行してしまわないようにね」
そうして私は今来た道を戻り、優しくベッドに寝かされ、ふわふわのお布団をそっとかけられたのでした。
((…………ど、どうしましょう……))
今日は、2人きりになって初めてのバレンタインデーなのに……っ。チョコレートを作れなくなってしまいました……。
0
お気に入りに追加
520
あなたにおすすめの小説
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
前世で薬師だったことを思い出したので、今度こそ愛する人を救います
柚木ゆず
恋愛
公爵令嬢ソフィアの婚約者である王太子アシルは、原因不明の体調不良によって突然倒れてしまいます。
日に日に衰弱していっていて、このままではアシルは死んでしまう――。なんとかして助けたい――。
そんな想いがソフィアの前世の記憶を蘇らせ、自分はかつてフィアナという有名な薬師だったことに気が付きます。
早速ソフィアは前世の記憶を使い、大切な人を救おうとするのですが――。薬師の知識を取り戻したことにより、やがてソフィアはあることに気付くのでした。
【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
夫は魅了されてしまったようです
杉本凪咲
恋愛
パーティー会場で唐突に叫ばれた離婚宣言。
どうやら私の夫は、華やかな男爵令嬢に魅了されてしまったらしい。
散々私を侮辱する二人に返したのは、淡々とした言葉。
本当に離婚でよろしいのですね?
私から婚約者を奪った妹が、1年後に泣きついてきました
柚木ゆず
恋愛
『お姉ちゃん。お姉ちゃんのヌイグルミ、欲しくなったの。あたしにちょうだい』
両親に溺愛される妹・ニナは私が大切にしている物を欲しがり、昔からその全てを奪ってきました。
そしてやがては私から婚約者を奪い、自分が婚約者となって彼の家で同棲を始めたのです。
ですが、それから1年後。
『お姉様助けてっ! あの男をどうにかしてっ!!』
そんな妹が突然帰ってきて、いつも見下していた私に様付けをしながら泣きついてきたのです。
あちらでは仲良く、幸せに暮らしていたはずなのに。何があったのでしょうか……?
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
愛人を切れないのなら離婚してくださいと言ったら子供のように駄々をこねられて困っています
永江寧々
恋愛
結婚生活ニ十周年を迎える今年、アステリア王国の王であるトリスタンが妻であるユーフェミアから告げられたのは『離婚してください」という衝撃の告白。
愛を囁くのを忘れた日もない。セックスレスになった事もない。それなのに何故だと焦るトリスタンが聞かされたのは『愛人が四人もいるから』ということ。
愛している夫に四人も愛人がいる事が嫌で、愛人を減らしてほしいと何度も頼んできたユーフェミアだが、
減るどころか増えたことで離婚を決めた。
幼子のように離婚はしたくない、嫌だと駄々をこねる夫とそれでも離婚を考える妻。
愛しているが、愛しているからこそ、このままではいられない。
夫からの愛は絶えず感じているのにお願いを聞いてくれないのは何故なのかわからないユーフェミアはどうすればいいのかわからず困っていた。
だが、夫には夫の事情があって……
夫に問題ありなのでご注意ください。
誤字脱字報告ありがとうございます!
9月24日、本日が最終話のアップとなりました。
4ヶ月、お付き合いくださいました皆様、本当にありがとうございました!
※番外編は番外編とも言えないものではありますが、小話程度にお読みいただければと思います。
誤字脱字報告ありがとうございます!
確認しているつもりなのですが、もし発見されましたらお手数ですが教えていただけると助かります。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる