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第16話 アントナン達は ~奇跡が起きる時~ 俯瞰視点(4)

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「「「「「……………………。え? え……?」」」」」

 5時間以上満面の笑みを浮かべていた5人は、揃って呆然となりました。
 なぜならばさっきまで食堂にいたはずなのに、いつの間にかテーブルで突っ伏していた――作戦会議場にしていた場所に、いたからです。

「食堂じゃ、ない……? あんなに飲み食いしたのに…………腹が、減っている……?」
「あ、アントナン、わたしもだ。あれほどワインを飲んだというのに…………酔いも、まったくない……」
「ね、ねえ、あなた……。服も、違っているわ……。ドレスに着替えたはずなのに……作戦会議をしている時に、戻っている……」
「入浴して汗を流したはずなのに……。汗臭いまま……。整えたはずの髪も、汗や脂でべたべたになっています……」
「ボク……興奮しちゃって、食事中にベロを噛んだのに……。どこにも、その傷がないんだ……」
「どうなっているんだ!? なにがおき――トーマス居たのか!? おっ、おい! 何が起きた!? 何か知らないか!?」

 狼狽しながら椅子から立ち上がり、アントナンは――5人全員で、いつの間にか入室していた宰相に詰め寄ります。
 そうすると――

「引継ぎ作業についてお話がありノックをしたのですが反応がなく、急ぎのため扉を開けますと全員が眠っておられました。ですのでわたくしめは、間近でお声がけを行ったのですよ」

 ――トーマスの口からは、信じられない言葉が飛び出しました。

「「「「「……眠って、いた……?」」」」」
「はい、眠っておられました」
「「「「「……食堂で、パーティーをしていた、のに……?」」」」
「パーティー……? そういったものは開かれておりませんよ?」
「「「「「……………………」」」」」

 それらの返事を聞いて、5人の頭に共通の『最悪の予想』が過ぎりました。
 聞きたくない。でも、聞くしかない。
 そんな思いで、5人はごくりと唾を呑み込みながら――

「「「「「もしかして……。退位命令を撤回するという書類は、届いて、ない……?」」」」」
「届いておりません。撤回なんて、有り得ないことですよ。……結局なにも意見できなかったわたくしめも含め、関係者は全員が相当の責任を取らなければなりません」

 ――確認を行い、その結果、ようやく理解をしました。


 すべて、夢だったのだと。


『……そう、だったのか……! 奇跡だ! お前達っ、奇跡が起きたぞ……!』
『ええ、父上……!! 奇跡が起きました!!』
『そうね! 奇跡が起きたわ……!』
『はい……!! 奇跡です……!!』
『やった……! やったよ……!! 奇跡が起きたぁ……!!』

 確かに、あの時奇跡は行っていました。
 ですが、その奇跡は――


 5人全員で同じ夢を見る。


 といったものだったのです。

「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」

 天国から地獄。
 何時間も幸せを実感してしまったことによりそのショックは何倍にも膨れ上がり、更には72時間の不眠不休による心身の衰弱もありました。
 あまりにも大きな衝撃が5人の精神を襲い、それによって――

「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」

 ――全員まったく同じタイミングで口から泡を吹き出し、そのまま真後ろに卒倒して――
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