27 / 41
第16話 アントナン達は ~奇跡が起きる時~ 俯瞰視点(1)
しおりを挟む
「『俺達だけになったら詳細を話す』、と言っていたわよね……? 王城内の私室に他人は誰もいないし誰も来ないわ。そろそろ教えて頂戴」
「アントナンよ、急にどうしたのだ……? 何かしらの閃きがあるというのか……?」
「そうなんですよね!?」
「そうなんだよね、お兄様! 起死回生の策があるんですよね!?」
「あるわけないだろうが!! だから急いで探すんだよ!!」
5日以内に撤回させる手段を見つけ、周囲の目を盗んで実行して完遂させる。そのために時間を稼いだんだ!!
アントナンは苛立ち混じりで叫び、弟達の縋るような視線を睨みつけました。
「突然あんなことを言われて何かが思い付くはずないだろ!! 思いつかないから探さないといけないんだよ!! タイムリミットまでにな!!」
「そ、そう言うけど……。お兄様、無理ですよ……」
「聖女シュザンヌの意思は、確固としています……。あの様子では――」
「じゃあ貴様らは唯々諾々と従うのか!? せっかくこの手にある幸せの全てが失われてしまうのだぞ!? それどころか苦労苦痛に満ちた第二の人生が始まってしまうんだぞっっ!? いいのかそれで!?」
退くと現在有しているあらゆる『力』を失ってしまいますし、経緯が経緯だけに退位後にコッソリ助けてくれる人もいません。
自分達が『ゴミ同然』のように見下している平民と同じ――場合によってはそれ以下の状況で生きていかなければならないため、アントナンは更に怒りの声を張り上げ――
「いやだ!」
「いやです!」
「嫌よ!」
「いいわけないだろう!!」
――国王サダル、王妃ヴァーレア、第2王子ニック、第3王子ライナーは、間髪入れずかぶりを振りました。
「だろう!? だったら考えるしかない!! 考えるぞ!! 見つけるぞ!! 方法などないと痛感していてもだっ、探して見つけるしかないんだよ!! 何が何でも見つけ出すしかないんだよっつっ!!」
「あ、ああ!」「え、ええっ!」「は、はい!」「う、うん!」
「きっと! 不眠不休で考えたら見つけられるはず――必ずや見つかる!! 5人で力を合わせてっ、不可能を可能にするぞ!! あの忌々しいっ、融通の利かないバカ聖女を無害化させるぞ!!」
「ああ!!」「ええ!!」「はい!!」「うん!!」
まるで、自分達は被害者のよう。アントナン達はシュザンヌを罵りながらテーブルにつき、必死の形相で作戦会議を始めます。
ただ――
『だろう!? だったら考えるしかない!! 考えるぞ!! 見つけるぞ!! 方法などないと痛感していてもだっ、探して見つけるしかないんだよ!! 何が何でも見つけ出すしかないんだよっつっ!!』
――今し方アントナン自身が言っていたように、この状況下で回避する方法が見つかるはずがありませんでした。
そのため、不眠不休の作戦会議は長く長く、続くこととなり――
「アントナンよ、急にどうしたのだ……? 何かしらの閃きがあるというのか……?」
「そうなんですよね!?」
「そうなんだよね、お兄様! 起死回生の策があるんですよね!?」
「あるわけないだろうが!! だから急いで探すんだよ!!」
5日以内に撤回させる手段を見つけ、周囲の目を盗んで実行して完遂させる。そのために時間を稼いだんだ!!
アントナンは苛立ち混じりで叫び、弟達の縋るような視線を睨みつけました。
「突然あんなことを言われて何かが思い付くはずないだろ!! 思いつかないから探さないといけないんだよ!! タイムリミットまでにな!!」
「そ、そう言うけど……。お兄様、無理ですよ……」
「聖女シュザンヌの意思は、確固としています……。あの様子では――」
「じゃあ貴様らは唯々諾々と従うのか!? せっかくこの手にある幸せの全てが失われてしまうのだぞ!? それどころか苦労苦痛に満ちた第二の人生が始まってしまうんだぞっっ!? いいのかそれで!?」
退くと現在有しているあらゆる『力』を失ってしまいますし、経緯が経緯だけに退位後にコッソリ助けてくれる人もいません。
自分達が『ゴミ同然』のように見下している平民と同じ――場合によってはそれ以下の状況で生きていかなければならないため、アントナンは更に怒りの声を張り上げ――
「いやだ!」
「いやです!」
「嫌よ!」
「いいわけないだろう!!」
――国王サダル、王妃ヴァーレア、第2王子ニック、第3王子ライナーは、間髪入れずかぶりを振りました。
「だろう!? だったら考えるしかない!! 考えるぞ!! 見つけるぞ!! 方法などないと痛感していてもだっ、探して見つけるしかないんだよ!! 何が何でも見つけ出すしかないんだよっつっ!!」
「あ、ああ!」「え、ええっ!」「は、はい!」「う、うん!」
「きっと! 不眠不休で考えたら見つけられるはず――必ずや見つかる!! 5人で力を合わせてっ、不可能を可能にするぞ!! あの忌々しいっ、融通の利かないバカ聖女を無害化させるぞ!!」
「ああ!!」「ええ!!」「はい!!」「うん!!」
まるで、自分達は被害者のよう。アントナン達はシュザンヌを罵りながらテーブルにつき、必死の形相で作戦会議を始めます。
ただ――
『だろう!? だったら考えるしかない!! 考えるぞ!! 見つけるぞ!! 方法などないと痛感していてもだっ、探して見つけるしかないんだよ!! 何が何でも見つけ出すしかないんだよっつっ!!』
――今し方アントナン自身が言っていたように、この状況下で回避する方法が見つかるはずがありませんでした。
そのため、不眠不休の作戦会議は長く長く、続くこととなり――
805
お気に入りに追加
1,983
あなたにおすすめの小説
聖女の私を追放?ちょうど私も出て行こうとしていたところです
京月
恋愛
トランプ王国で聖女として働いていたリリスをあまりよく思わない王子ガドラ。リリスに濡れ衣を着せ追放を言い渡す。ガドラ「リリス、お前はこの国から追放だ!!」(ドヤ) リリス「ちょうど私もこの国を出ようとしていたところなんですよ」(ニコ) ガドラ「……え?」
家柄が悪いから婚約破棄? 辺境伯の娘だから芋臭い? 私を溺愛している騎士とお父様が怒りますよ?
西東友一
恋愛
ウォーリー辺境伯の娘ミシェルはとても優れた聖女だった。その噂がレオナルド王子の耳に入り、婚約することになった。遠路はるばる王都についてみれば、レオナルド王子から婚約破棄を言い渡されました。どうやら、王都にいる貴族たちから色々吹き込まれたみたいです。仕舞いにはそんな令嬢たちから「芋臭い」なんて言われてしまいました。
連れてきた護衛のアーサーが今にも剣を抜きそうになっていましたけれど、そんなことをしたらアーサーが処刑されてしまうので、私は買い物をして田舎に帰ることを決めました。
★★
恋愛小説コンテストに出す予定です。
タイトル含め、修正する可能性があります。
ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。
ネタバレ含むんですが、設定の順番をかえさせていただきました。設定にしおりをしてくださった200名を超える皆様、本当にごめんなさい。お手数おかけしますが、引き続きお読みください。
その選択、必ず後悔することになりますよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ベルナール殿下、陛下、妃殿下、第2第3王子殿下。ご自身にとって都合が悪いからと、わたくし聖女ファニーの殺害を企まれていますよね?
ただちにお止めください。
このまま実行してしまいますと、貴方がたは激しく後悔する羽目になりますよ。
※こちらはファンタジージャンルとなっておりますので、ファンタジー的な存在(異形)が登場する場面がございます。
【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!
林 真帆
恋愛
マリアは聖女の血を受け継ぐ家系に生まれ、次期聖女として大切に育てられてきた。
マリア自身も、自分が聖女になり、全てを国と民に捧げるものと信じて疑わなかった。
そんなマリアの前に、異父妹のカタリナが突然現れる。
そして、カタリナが現れたことで、マリアの生活は一変する。
どうやら現聖女である母親のエリザベートが、マリアを追い出し、カタリナを次期聖女にしようと企んでいるようで……。
2022.6.22 第一章完結しました。
2022.7.5 第二章完結しました。
第一章は、主人公が理不尽な目に遭い、追放されるまでのお話です。
第二章は、主人公が国を追放された後の生活。まだまだ不幸は続きます。
第三章から徐々に主人公が報われる展開となる予定です。
だから、私を追放したら国が大変なことになるって言いましたよね? 今さら戻るつもりはありませんよ?
木嶋隆太
恋愛
私はこの国の聖女。聖女の仕事は、国に発生する危機を未然に防ぐ仕事があった。でも、どうやら城にいた王子を筆頭に、みんなは私が何もしていない『無能者』だと決めつけられてしまう。そして、呼び出された私は、その日婚約者だった王子に婚約を破棄され、城から追放されてしまった! 元々大変な仕事で、自由のなかった私は、それならばと喜んで受け入れる。私が追放されてすぐに国の危機が迫っていたけど、もう私は聖女じゃないし関係ないよね? これからは、自由にのんびり、好きなことをして生きていこうと思います!
【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?
如月ぐるぐる
恋愛
王太子との婚約を一方的に破棄され、王太子は伯爵令嬢マーテリーと婚約してしまう。
留学から帰ってきたマーテリーはすっかりあか抜けており、王太子はマーテリーに夢中。
政略結婚と割り切っていたが納得いかず、必死に説得するも、ありもしない罪をかぶせられ国外追放になる。
家族にも見捨てられ、頼れる人が居ない。
「こんな国、もう知らない!」
そんなある日、とある街で子供が怪我をしたため、術を使って治療を施す。
アトリアは弱いながらも治癒の力がある。
子供の怪我の治癒をした時、ある男性に目撃されて旅に付いて来てしまう。
それ以降も街で見かけた体調の悪い人を治癒の力で回復したが、気が付くとさっきの男性がずっとそばに付いて来る。
「ぜひ我が国へ来てほしい」
男性から誘いを受け、行く当てもないため付いて行く。が、着いた先は祖国ヴァルプールとは比較にならない大国メジェンヌ……の王城。
「……ん!?」
ざまぁ?………………いや、そんなつもりなかったんですけど…(あれ?おかしいな)
きんのたまご
恋愛
婚約破棄されました!
でも真実の愛で結ばれたおふたりを応援しておりますので気持ちはとても清々しいです。
……でも私がおふたりの事をよく思っていないと誤解されているようなのでおふたりがどれだけ愛し合っているかを私が皆様に教えて差し上げますわ!
そして私がどれだけ喜んでいるのかを。
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる