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第14話 厚顔無恥 俯瞰視点
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「シュザンヌが見つかり現在神殿に向かっているらしい! 脱出は中止だ!」
ラクリナルズ内にある、モファクーナ男爵邸。そのエントランスに、当主コランタンの大声が響き渡りました。
「現在の位置的に、『平穏の祈り』はギリギリ間に合う。国内に居ても問題はない!」
モファクーナ家にも王族から『捜索せよ』のお達しが届いており、聖女不在を知っていました。そのためコランタン達一家3人は崩壊に備え、捜索隊を出しつつ国外脱出の準備を――間に合わないと判明するや、自分達だけは隣国へと逃げ出せるようにしていたのです。
「ギリギリって……。父さん、本当に間に合うんですか……?」
「あなた……。間に合わなくなってしまう可能性は、本当にないの……?」
「隣国の侯爵家と、王家が――国が総力をあげて移動をバックアップしているそうだ。間に合わないはずがない。わたしもシミュレーションをしたが、100回中100回間に合ったと出た」
コランタンは悪天候とそれに関わる迂回を考慮しておらず、実際にはそのシミュレーションは間違っていました。ですが堂々と口にしたため妻シビルも息子ベルナールもすっかり信じ込み、揃って安堵の息をつきました。
「この状況下で隣国に移動したら、貴族籍を失うも同然だった。よかった……!」
「ええそうね、ベルナール。わたくしも、そこだけが懸念だった。ホッとしているわ――貴方……? なにをしているの……?」
脱出は中止と言ったはずなのに、コランタンは外出の準備を始めようとしていました。矛盾する発言を聞き首を傾けていると、ニンマリとした笑みが返ってきました。
「神殿に向かう用意をしているのだよ。シビル、ベルナールも、急いで準備をするのだ」
「神殿……? なんのために、神殿にいくの……?」
「決まっているだろう! シュザンヌのご機嫌を取りに行くのだ!」
追い出して済まなかった――。反省している――。モファクーナ家に戻って来て欲しい――。
会って謝罪をして、再び家族になる。そうすれば再び自分達にお金が入ってくるようになるし、大きな顔をできるようになる。
そういったことを、考えていたのです。
「シュザンヌはこれまでも偉そうに口うるさく注意をしてきたが、結局支給などを止めることはなかった。厳しい決断をできぬのだ。心から謝り後悔しているフリをしておけば、きっと上手くいく」
「「確かに……!」」
「ふふ。そういうことだ。ゆくぞ」
「はい!」「ええ!」
そうして3人は嬉々として神殿を目指し、『平穏の祈り』が終わると――落ち着いて会話できるようになると、動き出します。
アントナン達とのやり取りが終了したタイミングで近づき――
ラクリナルズ内にある、モファクーナ男爵邸。そのエントランスに、当主コランタンの大声が響き渡りました。
「現在の位置的に、『平穏の祈り』はギリギリ間に合う。国内に居ても問題はない!」
モファクーナ家にも王族から『捜索せよ』のお達しが届いており、聖女不在を知っていました。そのためコランタン達一家3人は崩壊に備え、捜索隊を出しつつ国外脱出の準備を――間に合わないと判明するや、自分達だけは隣国へと逃げ出せるようにしていたのです。
「ギリギリって……。父さん、本当に間に合うんですか……?」
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「隣国の侯爵家と、王家が――国が総力をあげて移動をバックアップしているそうだ。間に合わないはずがない。わたしもシミュレーションをしたが、100回中100回間に合ったと出た」
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「この状況下で隣国に移動したら、貴族籍を失うも同然だった。よかった……!」
「ええそうね、ベルナール。わたくしも、そこだけが懸念だった。ホッとしているわ――貴方……? なにをしているの……?」
脱出は中止と言ったはずなのに、コランタンは外出の準備を始めようとしていました。矛盾する発言を聞き首を傾けていると、ニンマリとした笑みが返ってきました。
「神殿に向かう用意をしているのだよ。シビル、ベルナールも、急いで準備をするのだ」
「神殿……? なんのために、神殿にいくの……?」
「決まっているだろう! シュザンヌのご機嫌を取りに行くのだ!」
追い出して済まなかった――。反省している――。モファクーナ家に戻って来て欲しい――。
会って謝罪をして、再び家族になる。そうすれば再び自分達にお金が入ってくるようになるし、大きな顔をできるようになる。
そういったことを、考えていたのです。
「シュザンヌはこれまでも偉そうに口うるさく注意をしてきたが、結局支給などを止めることはなかった。厳しい決断をできぬのだ。心から謝り後悔しているフリをしておけば、きっと上手くいく」
「「確かに……!」」
「ふふ。そういうことだ。ゆくぞ」
「はい!」「ええ!」
そうして3人は嬉々として神殿を目指し、『平穏の祈り』が終わると――落ち着いて会話できるようになると、動き出します。
アントナン達とのやり取りが終了したタイミングで近づき――
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