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第13話 一変する理由は シュザンヌ視点(1)

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「……なんだって……? 俺から……俺達から、剥奪する……? 王太子の資格を……王族としての権利を……?」

 拍手をしながらいらっしゃった、殿下や陛下たち5名。先ほどまで喜色満面の笑みを浮かべていたアントナン殿下は、目を丸くしながら口をパクパクさせました。
 はい、そうです。
 わたしは今し方、そのようにお伝えしました。

「な、なんで、そんなことに……?」
「「「「な、なぜ……?」」」」
「決まっています。貴方がたの身勝手な振る舞いで、この国が滅亡の危機にひんしたからですよ」

 大好きな人のお願いを聞きたいからと、佐々岡様の我が儘を許す。息子が可愛いからと、そんな我が儘を許す。それらを喜んで歓迎した。
 それによって聖女は一人となり、その唯一の聖女は、身勝手にこの世界を去ってしまった。
 もしもわたしがもっと遠くにいたら――。クロヴィスさん達が人格者でなかったら――。この国は今頃崩壊を始めていて、大勢の人が命を落としてしまっていたのです。
 そんなあまりにも大きな事態を引き起こした人たちを、そのままにしてなどおけません。

「そ、それは、あれなんだ。あそこまで春奈が愚かだとは思っていなかったんだよ。こんな可能性があるなら、そんな風にはしなかった」
「そ、そうなのだよ。わたし達も、あの女があんなにも愚かだと思っていなかったのだ」
「ええっ、そうなの!」
「右に同じです!」
「ボクも!」
「だ、だからほら、そんなに怖い顔をしないでくれ。無事何事もなく終わったんだから、もういいじゃないか。学びを得たということで、前向きにとらえつつ水に流そう――」
「……元凶が口にする台詞ではないね」

 わたしの隣にいてくださっているクロヴィスさんが、ぽつりと呟きました。
 仰る通りです。
 この方――この方々には、その台詞を口にする資格はありません。

「これ以上下がることはないと思っていましたが、まさかまだ底があっただなんて。驚いています」
「しゅっ、シュザンヌ! そうだな! 失礼した! 今の発言は撤回しよう! これまでの言動を深く反省しよう! だから――」
「そちらの言葉は信用できません。それに――」
「お願いだ!! 頼む!! 一度だけでいいからっ、大目にみ――…………。そう、だな……。チャンスなどもらえるワケがないよな……。分かった、潔く退こう。ただ、ひとつだけ頼みがある」

 慌てふためていたアントナン殿下は突然落ち着きを取り戻し、右の人差し指を立てました。

 こんなにも急に、態度が変わるだなんて。なにをお考えになっているのでしょうか……?


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