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第11話 助け シュザンヌ視点(3)

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「シュザンヌ様っ、皆様もお待ちしておりました!! 越境に関する対応は完了しております! どうぞお通りください!!」
「助かります。いってまいります!」

 わたしやクロヴィスさん達が通過するための対応は、昨日連絡を入れて先に行ってもらっています。国境で行うのは『馬車の乗り換え』のみで、新しいお馬さんに頑張ってもらい、引き続き最高速度で祖国の大地を進んでゆきます。

「この辺りは問題なさそうですが、前方の雲行きが怪しいですね……。天気が堪えてくれるといいのですが……」
「そうだね、それにこしたことはない。早く、新しい現地の情報が欲しいところだね――と言っていたら、願いが届いたみたいだよ」

 ちょうどの、タイミングでした。
 前方から鳩さんが飛んで来て、その足には手紙が結ばれていました。

「届けてくれてありがとう。………………シュザンヌ、この先の様子が分かったよ。当分は雨にはならないものの、およそ5時間後に到達する地域と、その先ではすでに雨が降っているみたいだ。それらの地域は強く降っていて、少なくとも今日は止む気配がないらしい」
「……そう、でしたか。ついに来てしまいましたが、仕方がありませんね」

 天気は誰にも左右できません。
 それにラクリナルズの雨は、ザッカールスに比べると弱い。あちらで降ってしまうよりは遥かに対応しやすいので、最悪の事態、ではありません。

「できることなら会いたくなかったけど、こればかりは仕方がないね。でも、問題はない。少し遠回りにはなるけど、このルートを通ればロスは許容範囲に収まる」

 クロヴィスさんが地図を広げ、指で経路を指でなぞってくださいました。
 届いた情報をもとにして、新たなルートを作成する。そのおかげで、時間の消耗は最小限で済むことになりました。

「ここ以外にも迂回ルートは用意してあるから、大丈夫。悲しいことにはならないさ」
「はい……! ありがとうございます……!」

 クロヴィスさん。おじ様。現地で細かく情報を送ってくださる方々。馬車の用意をしてくださる方々。通行に必要な処理を行ってくださる方々。などなど。
 様々な方のご協力によってわたし達は、その後何度か強めの雨と遭遇してしまったものの、継続してきちんと前進することができて――

「クロヴィスさん、いってまいります!」
「うん、頑張って。ここで待っているね」

 ――無事、神殿に到着。
 なんとタイムリミットのおよそ3時間前に着くことができ、わたしは――


((……あれ……? これは……。もしかして――そちらはあとで確認しましょう。それよりも今は!))


 ――久しぶりに『平穏の祈り』を捧げ、ラクリナルズ崩壊の危機はどうにか回避されたのでした。

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