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If ローズの恋と変わる心 俯瞰視点(1)
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「な……っ。ど、どういうこと……!? なんなのコイツらは……!?」
とある休日の、午前中。ブランシュ子爵家の次女・ローズは隣国におり、声を震わせ目を見開いていました。
今日はその国の商人から魅了の本を購入する約束をしており、彼女は両親に目的を偽り、嬉々として約束の場所――とある路地裏を訪れていました。
ですが――
「「「「「「「くくく。まんまと嵌まりやがったぜ」」」」」」」
突如ローズの後方から刃物を持った7人の男が現れ、下品にニヤリとしたのでした。
「嵌まったって……。商人っ、どういうことなの!?」
「どうもこうも、聞いての通りですぞ。どこぞのご令嬢、貴方はワシの罠に嵌まったのじゃよ」
温厚な顔が特徴の、小太りな中老の男性。そんな彼からあっという間に人のよさが消え去り、したり顔で説明が行われました。
身分を隠して接触してきた少女は、貴族然としていた。
貴族の女を売り飛ばせば金になる。
商人ダージスはそういった理由で荒くれ者達を雇い、ローズの身柄を拘束しようとしていたのです。
「ほっほっほ。こんな可能性を全く考慮せず、そんな人数で来るとは。それなりに行動力はあるようですが、頭の回転は今一つでしたな」
ローズは賊の出ないルートを通り安全な場所で過ごすと偽っていたため、護衛の数は3。そのため後方に7人、前方に5人いるこの状況は、数的にも位置的にも絶望的なものとなっていたのです。
「あ、あたしを、売り飛ばす……。い、いや……。いや……っ」
気が強く、普段なら何かしらの抵抗をしているローズ。ですがその言葉と状況によって、らしさはありません。
身体はぶるぶると震え、顔は真っ青。ついには恐怖で立っていられなくなり、その場にへたり込んでしまいました。
「ぁ、ぁぁ……。ぁぁぁぁぁ……」
「おやおや、ついにはロクに動けなくなったようですな。……抵抗の意思がないのは好都合じゃ。お前達」
「「「「「「「「「「あいよ」」」」」」」」」」
前後にいる男達が武器を構え、護衛は臨戦態勢を取りますが――勝敗は、すでに確定しています。ローズを逃がすことさえも、できません。
そのため、
「いやあああああ!! 誰かぁっ!! 誰かたすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ローズはボロボロと涙を流しながら喉が裂けんばかりに訴え、
「ワシは、予想外が起こりえない場所を選んでおるのじゃよ。助けは来ませんぞ」
ダージスによって、その僅かな希望を打ち砕かれてしまいます。
そうして…………。計13人の男達が、一斉に飛び出して――
「じいさん、残念だったな。今日は、その予想外が起きちまう日らしいぜ?」
――その場に、新たな声が響き渡ったのでした。
とある休日の、午前中。ブランシュ子爵家の次女・ローズは隣国におり、声を震わせ目を見開いていました。
今日はその国の商人から魅了の本を購入する約束をしており、彼女は両親に目的を偽り、嬉々として約束の場所――とある路地裏を訪れていました。
ですが――
「「「「「「「くくく。まんまと嵌まりやがったぜ」」」」」」」
突如ローズの後方から刃物を持った7人の男が現れ、下品にニヤリとしたのでした。
「嵌まったって……。商人っ、どういうことなの!?」
「どうもこうも、聞いての通りですぞ。どこぞのご令嬢、貴方はワシの罠に嵌まったのじゃよ」
温厚な顔が特徴の、小太りな中老の男性。そんな彼からあっという間に人のよさが消え去り、したり顔で説明が行われました。
身分を隠して接触してきた少女は、貴族然としていた。
貴族の女を売り飛ばせば金になる。
商人ダージスはそういった理由で荒くれ者達を雇い、ローズの身柄を拘束しようとしていたのです。
「ほっほっほ。こんな可能性を全く考慮せず、そんな人数で来るとは。それなりに行動力はあるようですが、頭の回転は今一つでしたな」
ローズは賊の出ないルートを通り安全な場所で過ごすと偽っていたため、護衛の数は3。そのため後方に7人、前方に5人いるこの状況は、数的にも位置的にも絶望的なものとなっていたのです。
「あ、あたしを、売り飛ばす……。い、いや……。いや……っ」
気が強く、普段なら何かしらの抵抗をしているローズ。ですがその言葉と状況によって、らしさはありません。
身体はぶるぶると震え、顔は真っ青。ついには恐怖で立っていられなくなり、その場にへたり込んでしまいました。
「ぁ、ぁぁ……。ぁぁぁぁぁ……」
「おやおや、ついにはロクに動けなくなったようですな。……抵抗の意思がないのは好都合じゃ。お前達」
「「「「「「「「「「あいよ」」」」」」」」」」
前後にいる男達が武器を構え、護衛は臨戦態勢を取りますが――勝敗は、すでに確定しています。ローズを逃がすことさえも、できません。
そのため、
「いやあああああ!! 誰かぁっ!! 誰かたすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ローズはボロボロと涙を流しながら喉が裂けんばかりに訴え、
「ワシは、予想外が起こりえない場所を選んでおるのじゃよ。助けは来ませんぞ」
ダージスによって、その僅かな希望を打ち砕かれてしまいます。
そうして…………。計13人の男達が、一斉に飛び出して――
「じいさん、残念だったな。今日は、その予想外が起きちまう日らしいぜ?」
――その場に、新たな声が響き渡ったのでした。
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(他「エブリスタ」様に投稿)
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