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エピローグ 10年後 俯瞰視点
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「お母様~っ。お父様~っ。見てみてっ」
「お兄さまと2人でねっ、作ったの~っ。見てみて~っ」
快晴の空が大地を眩しく照らし、春風が爽やかに草花を揺らす、とある休日の午後。ルクナ侯爵家邸の庭では、男児と女児が満面の笑みを浮かべていました。
彼らは、兄のエドリックと妹のララ。仲の良い2人はそれぞれがお花の冠を作り、それらを揃って前に差し出しました。
「それでねっ。僕はね、お父様にプレゼントするのっ」
「わたしはね、お母さまにプレゼントするのっ」
「「今日は、結婚記念日っていう、たいせつな日なんだよね? おめでとうーございますっ!」」
そうして2人は父親と母親にしゃがんでもらい、せーので冠を頭に載せました。
「お父様とお母様がニコニコしてるとね、僕たちもニコニコになるのっ。ず~っとず~っとニコニコしててねっ」
「お父さまとお母さまのニコニコ、好きーっ。ニコニコしててね~っ」
「ありがとう、エドリック、ララ。うん……っ。これからもずっと、お母さんはニコニコだよ。だって私の傍には2人がいてくれて、お父さんがいてくれるからね」
2人の笑顔と想いをもらった、母――エメリー。彼女もまた顔を綻ばせ、素敵なプレゼントに触れつつ3人を順に見つめました。
エメリーがエメリー・ルクナとなってから、10年の月日が流れました。
その間にエメリーは侯爵夫人となり、2児の母となりました。ですが身分や立場、環境が変わっても、根本的な部分に変化はありません。
あの日から1度たりとも、エメリーが落ち込み悲しみの涙を流したことはありませんでした。
エメリーがずっと、幸せを感じ続けられている。その一番の理由は、
「ありがとう、エドリック、ララ。お父さんも、いつまでもニコニコしているよ。僕の傍には2人が居てくれて、お母さんが居てくれるのだからね」
夫であり父である、ベルナールの行動。
彼の想いは、あの日から変わらず――それどころか月日を重ねるごとに増してゆき、今では『人格者』であることよりも、『愛妻家』として有名になるほどでした。
ベルナールはエメリーの幸せを望み、エメリーの幸せによってベルナールは幸せになる。幸せの連鎖が発生し続けているため、ルクナ家はいつも笑顔と笑い声で満ち溢れていたのでした。
「エドリック、ララ。エメリー。これからもみんな一緒に、楽しい時間を過ごしていこうね」
「エドリック、ララ。ベルナール様。いつまでもみんな一緒で、楽しい時間を過ごしていきましょうね」
「「は~いっ!」」
ベルナールとエメリーが顔を覗き込むと明るい返事が返ってきて、息子は父に、娘は母に可愛らしくキスを行います。そして、
「……エメリー。これからも、愛してます」
「……ベルナール様、私もです。愛しています」
2人は大切な子ども達に見守られながら、キス。そうすれば「「わぁ~っ!」」という可愛い歓声が上がってぎゅっと抱き付かれ、ベルナールとエメリーは今日も、沢山の愛と幸せを感じたのでした――。
「お兄さまと2人でねっ、作ったの~っ。見てみて~っ」
快晴の空が大地を眩しく照らし、春風が爽やかに草花を揺らす、とある休日の午後。ルクナ侯爵家邸の庭では、男児と女児が満面の笑みを浮かべていました。
彼らは、兄のエドリックと妹のララ。仲の良い2人はそれぞれがお花の冠を作り、それらを揃って前に差し出しました。
「それでねっ。僕はね、お父様にプレゼントするのっ」
「わたしはね、お母さまにプレゼントするのっ」
「「今日は、結婚記念日っていう、たいせつな日なんだよね? おめでとうーございますっ!」」
そうして2人は父親と母親にしゃがんでもらい、せーので冠を頭に載せました。
「お父様とお母様がニコニコしてるとね、僕たちもニコニコになるのっ。ず~っとず~っとニコニコしててねっ」
「お父さまとお母さまのニコニコ、好きーっ。ニコニコしててね~っ」
「ありがとう、エドリック、ララ。うん……っ。これからもずっと、お母さんはニコニコだよ。だって私の傍には2人がいてくれて、お父さんがいてくれるからね」
2人の笑顔と想いをもらった、母――エメリー。彼女もまた顔を綻ばせ、素敵なプレゼントに触れつつ3人を順に見つめました。
エメリーがエメリー・ルクナとなってから、10年の月日が流れました。
その間にエメリーは侯爵夫人となり、2児の母となりました。ですが身分や立場、環境が変わっても、根本的な部分に変化はありません。
あの日から1度たりとも、エメリーが落ち込み悲しみの涙を流したことはありませんでした。
エメリーがずっと、幸せを感じ続けられている。その一番の理由は、
「ありがとう、エドリック、ララ。お父さんも、いつまでもニコニコしているよ。僕の傍には2人が居てくれて、お母さんが居てくれるのだからね」
夫であり父である、ベルナールの行動。
彼の想いは、あの日から変わらず――それどころか月日を重ねるごとに増してゆき、今では『人格者』であることよりも、『愛妻家』として有名になるほどでした。
ベルナールはエメリーの幸せを望み、エメリーの幸せによってベルナールは幸せになる。幸せの連鎖が発生し続けているため、ルクナ家はいつも笑顔と笑い声で満ち溢れていたのでした。
「エドリック、ララ。エメリー。これからもみんな一緒に、楽しい時間を過ごしていこうね」
「エドリック、ララ。ベルナール様。いつまでもみんな一緒で、楽しい時間を過ごしていきましょうね」
「「は~いっ!」」
ベルナールとエメリーが顔を覗き込むと明るい返事が返ってきて、息子は父に、娘は母に可愛らしくキスを行います。そして、
「……エメリー。これからも、愛してます」
「……ベルナール様、私もです。愛しています」
2人は大切な子ども達に見守られながら、キス。そうすれば「「わぁ~っ!」」という可愛い歓声が上がってぎゅっと抱き付かれ、ベルナールとエメリーは今日も、沢山の愛と幸せを感じたのでした――。
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