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「おはよ、三久。お久しぶりだね」
夜が来て朝が来て、次の日の午前7時半。学園長室で待っていると、その人がやって来てくれました。
「ん。1ヶ月ぶりだねっ、真希(まき)ちゃん」
スーツと黒のタイツがすごく似合ってる、大人な女の人。わたしは笑顔にニッコリ笑顔をお返しした。
「わぁ。美人……っ」
「こんなお綺麗な方と、お知り合いなのですか~。こちらの美人さんとは、どういうご関係なのです~?」
「真希ちゃんはね、いとこなの。お母さんのお姉さんの子どもなんだよー」
「初めまして、学園長さん、月橋ちゃん、大和町ちゃん。アタシは、絵墨(えすみ)真希と申します」
真希ちゃんはお腹の前で手を組み、お手本みたいなお辞儀をした。
「ご、ご丁寧にどうも。月橋笹世と申します」
「む、娘の夢卯です」
「佐々木家の皆さんに以前お世話になった、大和町商品の社長の娘の扇です~。何卒よしなに~」
「真希ちゃんは佐々木家の人じゃないから、『催眠探偵術師』じゃないんだよー。でも『パートナー』としてウチのお手伝いをしてくれていて、今日もお手伝いをしてもらうためにお呼びしたんだよー」
「何も罪がない人が困っているのは、見過ごせない。そんな思いがあったし、元々手伝いにピッタリな特技――というか趣味が俺にはあったから、手伝うようになったんだ」
ご説明の途中でお声が『品のあるお姉さん』から『男の子』になって、べりべりべり。顔を引っ張ると今まであった綺麗な顔が剥がれて、カッコいいお顔が出てきたのでした。
「「「え……!?」」」
「俺は変装が得意で、見た目と声色を自由に変えられるんだ。本当は男で、年齢も全然違うんだよ」
さっき27歳って言ってたけど、実際は17歳の高校生。年も性別も違うんだよね。
「真希ちゃんはわたしたちより変装が上手くって、佐々木家では『無限の姿を持つ男』って言われてるの。あのお姿はね、今日の作戦のためのお姿なんだよ」
「月橋ちゃん父親の秘書――幼少期より月橋ちゃんの近くにいた者として、月橋ちゃんの悪事は間違いだと主張しつつ丘奈弓の調査に一日だけ加わる。ついでに空いた時間で個人的に情報収集を行い、話を聞いた生徒に月橋ちゃんの良さを伝え無実を訴えていく。この二つを頼まれて――こほん。アタシは駆け付けたのよ」
ん。こーゆーことをやってもらいたくって、お呼びしたのですー。
夜が来て朝が来て、次の日の午前7時半。学園長室で待っていると、その人がやって来てくれました。
「ん。1ヶ月ぶりだねっ、真希(まき)ちゃん」
スーツと黒のタイツがすごく似合ってる、大人な女の人。わたしは笑顔にニッコリ笑顔をお返しした。
「わぁ。美人……っ」
「こんなお綺麗な方と、お知り合いなのですか~。こちらの美人さんとは、どういうご関係なのです~?」
「真希ちゃんはね、いとこなの。お母さんのお姉さんの子どもなんだよー」
「初めまして、学園長さん、月橋ちゃん、大和町ちゃん。アタシは、絵墨(えすみ)真希と申します」
真希ちゃんはお腹の前で手を組み、お手本みたいなお辞儀をした。
「ご、ご丁寧にどうも。月橋笹世と申します」
「む、娘の夢卯です」
「佐々木家の皆さんに以前お世話になった、大和町商品の社長の娘の扇です~。何卒よしなに~」
「真希ちゃんは佐々木家の人じゃないから、『催眠探偵術師』じゃないんだよー。でも『パートナー』としてウチのお手伝いをしてくれていて、今日もお手伝いをしてもらうためにお呼びしたんだよー」
「何も罪がない人が困っているのは、見過ごせない。そんな思いがあったし、元々手伝いにピッタリな特技――というか趣味が俺にはあったから、手伝うようになったんだ」
ご説明の途中でお声が『品のあるお姉さん』から『男の子』になって、べりべりべり。顔を引っ張ると今まであった綺麗な顔が剥がれて、カッコいいお顔が出てきたのでした。
「「「え……!?」」」
「俺は変装が得意で、見た目と声色を自由に変えられるんだ。本当は男で、年齢も全然違うんだよ」
さっき27歳って言ってたけど、実際は17歳の高校生。年も性別も違うんだよね。
「真希ちゃんはわたしたちより変装が上手くって、佐々木家では『無限の姿を持つ男』って言われてるの。あのお姿はね、今日の作戦のためのお姿なんだよ」
「月橋ちゃん父親の秘書――幼少期より月橋ちゃんの近くにいた者として、月橋ちゃんの悪事は間違いだと主張しつつ丘奈弓の調査に一日だけ加わる。ついでに空いた時間で個人的に情報収集を行い、話を聞いた生徒に月橋ちゃんの良さを伝え無実を訴えていく。この二つを頼まれて――こほん。アタシは駆け付けたのよ」
ん。こーゆーことをやってもらいたくって、お呼びしたのですー。
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