20 / 37
4 新しい作戦(6)
しおりを挟む
『……罪悪感に耐えられなくなったので、白状します……。3年A組の月橋夢卯さんに脅迫状を出したのは、このアタシです』
放送の内容は、自白。急に信じられないことを言い出したから、お部屋に戻っていた人達が一斉に廊下に飛び出しました。
『……アタシは月橋さんを生徒会長にさせないように、山谷恵子さんに協力を持ちかけ実行しました。皆さんが知っているあの事件、犯人はアタシなんです』
「うそ……。わたしショック……」
「あの丘奈さんが、だもんね。親衛隊の人達も、きっと愕然としてるよ……」
廊下に出ていた人達が、とっても悲しそうに呟いた。
憧れの人が、悪いことをしていたんだもん。そうなるのは当たり前だよね。
「で、でもなんで……? 先輩って、選挙戦に興味がない人だったでしょ?」
「だよね、生徒会より部活の方を優先してたよね? どうしてそんなことをしたんだろ……?」
『ですが――それには、そうした原因があるんです。言い訳をするつもりはありませんが、是非聞いてください』
理由……。なに、かな……?
『皆さんは、よく知ってると思います。アタシの目に下には、大きめのホクロがありますよね?』
だね。左目の下にあった。
『あれは、先々月。三年生が一年生に学校を紹介する、という行事の時です』
ぁ、さっき出たイベントだね。夢卯ちゃんと弓ちゃんがペアになってたって言ってた。
『その際アタシは、月橋さんと一緒だったんですけど……。彼女はアタシのホクロを見て、「大きくて気持ち悪いから、取ったらどうですか?」と言ったんです……』
「「「「「「っ!」」」」」」
廊下にいるみんなと、夢卯ちゃんも。はっと息をのんだ。
『こっちだって好きでつけてるんじゃないのに、気持ち悪いと言われた……。それがどうしても許せなくて。コソッとそんなことを言う人が、人前では良い顔をする偽善者が、生徒会長になるのが許せなくて。アタシはあの脅迫状を出したんです……』
「…………そう、だったんだ……。そんな事があったんだ……」
「先輩、可哀想……。それはやりたくなるよ……っ」
廊下に出ていたみんなは、次々に頷いて……。揃って、夢卯ちゃんを睨み始めた。
「月橋さん、サイテー。見損なったよ」
「人としてどうかと思うな。脅迫されて当然だよ」
「まっ、待って! あたしはそんなこと言ってないわっ!」
夢卯ちゃんはすぐに、弓ちゃんの言葉を否定する。
首と両手を右と左に動かして、言葉と動きで違うって伝えた。
「確かにあの日は丘奈さんと一緒だったけど、悪口なんて言ってない! これは嘘っ、大嘘よっ!」
「だったらどうして、丘奈ちゃんはあそこまでやったの? 相当怒ってないと、あんなことしないでしょ」
「殺害予告なんて、バレたら警察に捕まるんだよ? それでもするってことは、やってるってことだよ」
「「「「「そうだよ!」」」」」
夢卯ちゃんが何を言っても、みんなの反応は変わらない。
みんなは『警察が来たら、逮捕されないように抗議しよう。そんなのおかしいもん!』と言って、揃って廊下を走っていったのでした。
放送の内容は、自白。急に信じられないことを言い出したから、お部屋に戻っていた人達が一斉に廊下に飛び出しました。
『……アタシは月橋さんを生徒会長にさせないように、山谷恵子さんに協力を持ちかけ実行しました。皆さんが知っているあの事件、犯人はアタシなんです』
「うそ……。わたしショック……」
「あの丘奈さんが、だもんね。親衛隊の人達も、きっと愕然としてるよ……」
廊下に出ていた人達が、とっても悲しそうに呟いた。
憧れの人が、悪いことをしていたんだもん。そうなるのは当たり前だよね。
「で、でもなんで……? 先輩って、選挙戦に興味がない人だったでしょ?」
「だよね、生徒会より部活の方を優先してたよね? どうしてそんなことをしたんだろ……?」
『ですが――それには、そうした原因があるんです。言い訳をするつもりはありませんが、是非聞いてください』
理由……。なに、かな……?
『皆さんは、よく知ってると思います。アタシの目に下には、大きめのホクロがありますよね?』
だね。左目の下にあった。
『あれは、先々月。三年生が一年生に学校を紹介する、という行事の時です』
ぁ、さっき出たイベントだね。夢卯ちゃんと弓ちゃんがペアになってたって言ってた。
『その際アタシは、月橋さんと一緒だったんですけど……。彼女はアタシのホクロを見て、「大きくて気持ち悪いから、取ったらどうですか?」と言ったんです……』
「「「「「「っ!」」」」」」
廊下にいるみんなと、夢卯ちゃんも。はっと息をのんだ。
『こっちだって好きでつけてるんじゃないのに、気持ち悪いと言われた……。それがどうしても許せなくて。コソッとそんなことを言う人が、人前では良い顔をする偽善者が、生徒会長になるのが許せなくて。アタシはあの脅迫状を出したんです……』
「…………そう、だったんだ……。そんな事があったんだ……」
「先輩、可哀想……。それはやりたくなるよ……っ」
廊下に出ていたみんなは、次々に頷いて……。揃って、夢卯ちゃんを睨み始めた。
「月橋さん、サイテー。見損なったよ」
「人としてどうかと思うな。脅迫されて当然だよ」
「まっ、待って! あたしはそんなこと言ってないわっ!」
夢卯ちゃんはすぐに、弓ちゃんの言葉を否定する。
首と両手を右と左に動かして、言葉と動きで違うって伝えた。
「確かにあの日は丘奈さんと一緒だったけど、悪口なんて言ってない! これは嘘っ、大嘘よっ!」
「だったらどうして、丘奈ちゃんはあそこまでやったの? 相当怒ってないと、あんなことしないでしょ」
「殺害予告なんて、バレたら警察に捕まるんだよ? それでもするってことは、やってるってことだよ」
「「「「「そうだよ!」」」」」
夢卯ちゃんが何を言っても、みんなの反応は変わらない。
みんなは『警察が来たら、逮捕されないように抗議しよう。そんなのおかしいもん!』と言って、揃って廊下を走っていったのでした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる