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3 はじめまして(1)
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(こんな時期に転校生って、珍しいよね)
(ね? どうしたのかな?)
(さっきの自己紹介で、月橋さんと親戚だって言ってたよね。それが何か関係してるのかな……?)
翌日。朝のホームルームででクラスメイトさんにご挨拶をしたら、こんなヒソヒソ話が聞こえてきた。
んっ、オッケー。みんなは、わたしが欲しかった反応をしてくれましたーっ。
「じゃあ安西ちゃん、席についてくれる? キミの席は、月橋ちゃんの隣よ」
心の中でグッと親指を立てていたら、担任の若芝白鳩(わかしばしろはと)先生が、窓際最奥の席を指差してくえれた。
「今日使う教科書やノートは、机に入れているわ。他の日の分はお昼休みに渡すから、職員室まで来て頂戴ね」
「はいーっ。わたしのために、ワザワザありがとうございますっ」
「ふふっ、いいのよいいのよ。生徒の手助けをするのが、教師の仕事だからね」
眼鏡が素敵な先生は口元を緩めて、そのメガネを中指でクイクイクイクイクイッと高速で上げる。
夢兎ちゃんが教えてくれたんだけどね、白鳩先生は照れた時にこうするんだって。楽しい先生だねーっ。
「おっ、センセーの連続メガネ上げが出たっ! ならばウチもやるしかないね!」
ニコニコしながらメガネクイクイを眺めていたら、夢兎ちゃんの右隣のお席にいる子――。松下羽日(まつしたはねひ)ちゃんが、机の中に右の手をズボっと差し込んだ。
ここで夢卯ちゃん情報を追加っ。羽日ちゃんは先生のメガネクイクイがすごく好きで、先生がやったらいつも真似をするんだってっ。
「待っててねハトっちセンセー! ウチも続くよ――ってありゃ? なんか手紙が入ってるぞん?」
んや? 羽日ちゃんは思いっきり小首を傾げて、眼鏡ケースじゃなくって茶色い封筒を取り出した。
「羽日? それってなに?」
「なんだろーね? 開けてみよっと」
羽日ちゃんは首をコテンと傾けて、ばりばりっと封筒を開けた。
??? なんなんだろー?
「松ちゃん、なんて書いてるの? 早く読んで教えてよ~っ」
「なにかななにかなー。黒ヤギさんは、白ヤギさんになんのご用事かな――ぁぎょぺびだ!?」
羽日ちゃんは急に大声を出して、んん? 目をまるーくして、夢兎ちゃんを見つめた。
「ま、松下さん? あたしがどうかしたの?」
「きょ。きょっ。きょ……」
「きょ? なに?」
「きょっ、脅迫状が入ってた!! 夢兎ちゃんが脅迫されてて、それがウチのトコに入ってたのっ!!」
羽日さんは慌てて、広げていた手紙を両手で突き出してきた。
なので、わたしも見てみると…………。
《月橋夢兎さん、こちらの指示に従わないつもりなのですか? あの殺害予告は、脅しではありませんよ?》
新聞を切り抜いたあの文字で、そう書かれていたのでした。
(ね? どうしたのかな?)
(さっきの自己紹介で、月橋さんと親戚だって言ってたよね。それが何か関係してるのかな……?)
翌日。朝のホームルームででクラスメイトさんにご挨拶をしたら、こんなヒソヒソ話が聞こえてきた。
んっ、オッケー。みんなは、わたしが欲しかった反応をしてくれましたーっ。
「じゃあ安西ちゃん、席についてくれる? キミの席は、月橋ちゃんの隣よ」
心の中でグッと親指を立てていたら、担任の若芝白鳩(わかしばしろはと)先生が、窓際最奥の席を指差してくえれた。
「今日使う教科書やノートは、机に入れているわ。他の日の分はお昼休みに渡すから、職員室まで来て頂戴ね」
「はいーっ。わたしのために、ワザワザありがとうございますっ」
「ふふっ、いいのよいいのよ。生徒の手助けをするのが、教師の仕事だからね」
眼鏡が素敵な先生は口元を緩めて、そのメガネを中指でクイクイクイクイクイッと高速で上げる。
夢兎ちゃんが教えてくれたんだけどね、白鳩先生は照れた時にこうするんだって。楽しい先生だねーっ。
「おっ、センセーの連続メガネ上げが出たっ! ならばウチもやるしかないね!」
ニコニコしながらメガネクイクイを眺めていたら、夢兎ちゃんの右隣のお席にいる子――。松下羽日(まつしたはねひ)ちゃんが、机の中に右の手をズボっと差し込んだ。
ここで夢卯ちゃん情報を追加っ。羽日ちゃんは先生のメガネクイクイがすごく好きで、先生がやったらいつも真似をするんだってっ。
「待っててねハトっちセンセー! ウチも続くよ――ってありゃ? なんか手紙が入ってるぞん?」
んや? 羽日ちゃんは思いっきり小首を傾げて、眼鏡ケースじゃなくって茶色い封筒を取り出した。
「羽日? それってなに?」
「なんだろーね? 開けてみよっと」
羽日ちゃんは首をコテンと傾けて、ばりばりっと封筒を開けた。
??? なんなんだろー?
「松ちゃん、なんて書いてるの? 早く読んで教えてよ~っ」
「なにかななにかなー。黒ヤギさんは、白ヤギさんになんのご用事かな――ぁぎょぺびだ!?」
羽日ちゃんは急に大声を出して、んん? 目をまるーくして、夢兎ちゃんを見つめた。
「ま、松下さん? あたしがどうかしたの?」
「きょ。きょっ。きょ……」
「きょ? なに?」
「きょっ、脅迫状が入ってた!! 夢兎ちゃんが脅迫されてて、それがウチのトコに入ってたのっ!!」
羽日さんは慌てて、広げていた手紙を両手で突き出してきた。
なので、わたしも見てみると…………。
《月橋夢兎さん、こちらの指示に従わないつもりなのですか? あの殺害予告は、脅しではありませんよ?》
新聞を切り抜いたあの文字で、そう書かれていたのでした。
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