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エピローグ 結婚式と、ピアニストと調律師 ステラ視点(1)

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「ステラ君、レオナード。おめでとう」
「ステラちゃん、レオナード。おめでとう」
「レオナード、ステラ様。今日はおめでとう」
「兄上、ステラ義姉様。本日はおめでとうございます」
「ステラ、おめでとう……!」
「「「「「おめでとうございます!」」」」」

 あの日から1年半後。無事、必要な勉強が――王族に加わるための勉強が済み、今日は私達の結婚式。レオナード様と私は、王城内にある荘厳かつ広々とした空間――王族が代々式を挙げている場所にいて、国王陛下、王妃殿下、王太子殿下、第二王子殿下、お父様、我が家(いえ)の親族やミデザトル卿、先生など関係者30名。そんな沢山の方に見守られており、誓いのキスを交わした私達は山ほどの祝福のお声をいただいていました。

「……レオナード……! よかったな……! 夢が叶ってよかったな……!」
「ステラちゃん、ありがとうねっ。この子をよろしくお願いねっ」

 陛下――レオン御義父様と、王妃殿下――サーシャ御義母様。お二人は圧倒的な風格を纏った王族然とした方なのですが、『陛下』と『王妃』の肩書が取れた時はまるで別人のよう。お優しい上に非常に気さくで、つい可愛らしいと感じてしまう方々なのです。

「想いが芽生えてから、色々なことがあったが……。よかった……! よかったなぁっ、レオナード……!! お父さんはなぁっ! 嬉しいぞっっ!! よかった……!! よかった……っっ!! 嬉しいぞっ! よかったぞ……!!」
「あなた、同じことの繰り返しになってしまっているわよ?」
「わっ、分かっておるっ! そうなのだがら・・・仕方がないだろうっ! これが泣かずにいられるかっ!? 一度は諦めかけていた恋なのだぞっ!? よかった……! よがっだなぁ……!!」

 レオン御義父様は滂沱の涙を流し、レオナード様を強く抱き締められたあと、私の両手を握り何度も何度も感謝を告げてくださいます。そして1分ほどそういった時間が続いていると、「なにをするのだサーシャ!?」――御義母様がくぃっと引っ張り、御義父様は強制的に離されることとなりました。

「いつまでもステラちゃんを独占していては駄目よ。そこはレオナードの席だし、これからあそこへ行かなくてはならないのだからね」
「そ、そうだったな。すまないステラ君、レオナード。時間はたっぷりと用意してある。ゆっくりと過ごしてくるといい」
「父上、感謝いたします」「御義父様、痛み入ります」

 広場で国民の皆様に向けた発表や、お歴々が参加される結婚記念パーティーなど。このあと様々な行事があるのですが、陛下が私達のためにお時間を作ってくださりました。
 ですのでレオナード様と共に謝意を示し、私達は移動を行い馬車に乗り込みます。これから二人で向かうのは――

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