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第12話 翌日~予期せぬインタビューと、ヴィクターの思い出~ ステラ視点(3)

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「まず、前回から今日までの間の――2つめの『礼』についてです。マーティーンはまんまと引っかかり、恐怖と絶望塗れの1日を過ごしました」

 潜入している臣下の方が不安を煽り、マーティン様達はようやく告発の可能性に気が付いた。そしてその直後の使者様と公爵様の来訪により、まるで死人のように血の気がなくなっていたそうです。

「……マーティンと父アダム。彼らには、自らの行いが返ってくることになりました」

『ミリアス様にあんなことをした……。許せない』
『同じ目に遭わてやる……!』
『ミリアス様に怪我をさせたんだ。自分がされても仕方がないよな?』

 お二人は、同じくピアノをされていた方のお怪我を利用し――協力を持ち掛け、わたしの罪を捏造。それによってファンの方が怒り、『何かしらの形で同じ目に遭わせようとしている』という恐怖を私に植え付けました。

 いつ誰に、何をされるか分からない。

 その恐怖で、あの頃の私は四六時中怯えていたのです。

「自分達がしたことは、どれだけのダメージを受けるものだったのか。ようやく理解できたことでしょうね」
「……ヴィクター様。私のために再現をしてくださり、痛み入ります」
「こちらは彼らが受ける当然の罰ですし、なにより、僕自身の強い希望です。そのお言葉は有難く受け取らせていただきますが、本来は不要なものですよ」

 言下お返事があって、私が頭を下げる前に、柔らかな微笑みがやって来ました。
 こういったことを、当然のように仰っていただける。それはとても、幸せなことです。

「そんなマーティンですが、引き続きこちらの術中にはまっています。何事もなくオーバンが去ったことで調子を取り戻し、復縁計画を再開。昨夜遅くに該当する人間を見つけ、今日――恐らくこれから、自ら接触を行うものと思われます」

 ヴィクター様の調べによると、あちらは再び私に恩を売る計画を遂行中。ご自身が颯爽と庇い守るために、私を襲わせる――襲うフリをするピアニストを、探していたとのことでした。

「そんな該当者との協力体制はすぐに出来上がり、今日の午後と明日は彼に公務が入っておりますので、決行は明後日ですね。2つめの演奏会場で――演奏後に茶番が発生しますので、済みませんがお付き合いをよろしくお願い致します」
「はい。ヴィクター様、こちらこそよろしくお願い致します」
「こちらも同じく、当然の罰であり僕の強い希望ですよ。作戦の構成上今日は何も仕掛けられないので、その分も一緒に、明後日彼にぶつけます。……ご期待ください」

 ヴィクター様はクスリと口元を緩めて締め、こうして作戦に関するお話はお仕舞となりました。ですのでその後は雑談をしながら紅茶を飲んでリラックスして、次の会場へと移動します。

 明後日マーティーン様が問題を起こす。

 そんなことを把握していても、傍にはヴィクター様が居てくださるので不安は全くありません。なので本日2度目の演奏も満足のいく出来で、観客の皆様に心から喜んでいただけて、沢山の笑顔と拍手をいただいたのでした――。

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