49 / 50
第24話 ロイス~待ちに待った休日は~ 俯瞰視点(6)
しおりを挟む
「ふざけているのはお前らの方だ!!」
「生意気だぞ貴様らああ!!」
ロイスとセヴァンは、胸倉を掴まれて大人しくなるような人間ではありません。ですので即座に胸倉を掴み返し、それだけは終わりません。
「礼儀がなってないクズにはっ、仕置きが必要だっ!!」
「格上様に無礼を働いた罰をっ、受けるがいいっ!!」
二人は元々攻撃的な性格の持ち主で、激昂によって凶暴性が増しています。そのため――
「きゃあ!?」「ぐあっ!?」
――一様に右手が動き、二人を強烈な平手打ちが襲いました。
「これで少しは頭が冷えたかっ!? 冷えただろうっ!?」
「悪いのは貴様らなのだ!! どうやればその責任を取れるのかっ、そこで土の上に座って考えていろ!! いいな――」
「よくもやりましたわね!!」
「いいわけがないだろう!! 土の上に座って考えるのはお前達の方だ!!」
アリシアに関する婚約解消の仕打ちを知りながら、嬉々として交際を行っていたダフネ。そんな流れを喜んでいた、父サンゼルマン。
そんな二人が真っ当な思考回路を持っているはずがなく、ダフネたちもまた平手打ち。敷地内には再び、乾いた大きな音が響き渡りました。
「っっっ!! おまえぇぇ!! 俺の頬を叩いたな!?」
「貴様っ! 己がやってことを分かっているのか!?」
「そちらが叩いたから叩いたのですわ!! 当然の権利ですわよ!!」
「そっちこそ己がやっていることを分かっているのか!? いいから早くなんとかしろぉぉおおお!!」
それによって4人は更にヒートアップしてしまい、4人はそれぞれが『やられたらやり返さないと気が済まない』人間でした。そのため――
「きゃあ!?」
「ぐぉ!?」
「うがっ!?」
「ぐぅぅっ!?」
ロイスがダフネを平手打ち。ダフネがロイスを平手打ち。セヴァンがサンゼルマンを平手打ち。サンゼルマンがセヴァンを平手打ち。
4人は『自分で終わる』まで暴力を繰り返し、けれど先述した性質を持つ人間が集まっているため、その時はなかなか訪れません。
「きゃあ!?」
「ぐぉ!?」
「うがっ!?」
「ぐぅぅっ!?」
その結果なんと5分間も平手打ち合戦が続き、
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
全員の体力切れによって、ようやく幕を閉じたのでした。
ですがそれが終わっても、問題が解決することはなく――
「お前らがなんとかしろぉぉぉぉぉ!!」
「貴様らがどうにかしろぉぉぉぉぉぉ!!」
「あなた達がなんとかしなさいよぉぉぉぉ!!」
「お前達が責任をとれぇぇぇぇぇ!!」
以後も4人の争いは続き、責任のなすりつけ合いをしている間に時間は刻々と流れていって――。こうであるが故にやがて全員が『家』を追放されてしまい、
元侯爵家当主セヴァン。
元侯爵嫡男ロイス。
元伯爵家当主サンゼルマン。
元伯爵令嬢ダフネ。
この4人は今もこの世のどこかで、『責任を取れ』と叫び醜い争いを繰り広げているのでした――。
「生意気だぞ貴様らああ!!」
ロイスとセヴァンは、胸倉を掴まれて大人しくなるような人間ではありません。ですので即座に胸倉を掴み返し、それだけは終わりません。
「礼儀がなってないクズにはっ、仕置きが必要だっ!!」
「格上様に無礼を働いた罰をっ、受けるがいいっ!!」
二人は元々攻撃的な性格の持ち主で、激昂によって凶暴性が増しています。そのため――
「きゃあ!?」「ぐあっ!?」
――一様に右手が動き、二人を強烈な平手打ちが襲いました。
「これで少しは頭が冷えたかっ!? 冷えただろうっ!?」
「悪いのは貴様らなのだ!! どうやればその責任を取れるのかっ、そこで土の上に座って考えていろ!! いいな――」
「よくもやりましたわね!!」
「いいわけがないだろう!! 土の上に座って考えるのはお前達の方だ!!」
アリシアに関する婚約解消の仕打ちを知りながら、嬉々として交際を行っていたダフネ。そんな流れを喜んでいた、父サンゼルマン。
そんな二人が真っ当な思考回路を持っているはずがなく、ダフネたちもまた平手打ち。敷地内には再び、乾いた大きな音が響き渡りました。
「っっっ!! おまえぇぇ!! 俺の頬を叩いたな!?」
「貴様っ! 己がやってことを分かっているのか!?」
「そちらが叩いたから叩いたのですわ!! 当然の権利ですわよ!!」
「そっちこそ己がやっていることを分かっているのか!? いいから早くなんとかしろぉぉおおお!!」
それによって4人は更にヒートアップしてしまい、4人はそれぞれが『やられたらやり返さないと気が済まない』人間でした。そのため――
「きゃあ!?」
「ぐぉ!?」
「うがっ!?」
「ぐぅぅっ!?」
ロイスがダフネを平手打ち。ダフネがロイスを平手打ち。セヴァンがサンゼルマンを平手打ち。サンゼルマンがセヴァンを平手打ち。
4人は『自分で終わる』まで暴力を繰り返し、けれど先述した性質を持つ人間が集まっているため、その時はなかなか訪れません。
「きゃあ!?」
「ぐぉ!?」
「うがっ!?」
「ぐぅぅっ!?」
その結果なんと5分間も平手打ち合戦が続き、
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
全員の体力切れによって、ようやく幕を閉じたのでした。
ですがそれが終わっても、問題が解決することはなく――
「お前らがなんとかしろぉぉぉぉぉ!!」
「貴様らがどうにかしろぉぉぉぉぉぉ!!」
「あなた達がなんとかしなさいよぉぉぉぉ!!」
「お前達が責任をとれぇぇぇぇぇ!!」
以後も4人の争いは続き、責任のなすりつけ合いをしている間に時間は刻々と流れていって――。こうであるが故にやがて全員が『家』を追放されてしまい、
元侯爵家当主セヴァン。
元侯爵嫡男ロイス。
元伯爵家当主サンゼルマン。
元伯爵令嬢ダフネ。
この4人は今もこの世のどこかで、『責任を取れ』と叫び醜い争いを繰り広げているのでした――。
40
お気に入りに追加
1,671
あなたにおすすめの小説
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
【本編完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。
はゆりか
恋愛
「お前との婚約は破棄させもらう」
「破棄…ですか?マルク様が望んだ婚約だったと思いますが?」
「お前のその人形の様な態度は懲り懲りだ。俺は真実の愛に目覚めたのだ。だからこの婚約は無かったことにする」
「ああ…なるほど。わかりました」
皆が賑わう昼食時の学食。
私、カロリーナ・ミスドナはこの国の第2王子で婚約者のマルク様から婚約破棄を言い渡された。
マルク様は自分のやっている事に酔っているみたいですが、貴方がこれから経験する未来は地獄ですよ。
全くこの人は…
全て仕組まれた事だと知らずに幸せものですね。
【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい
【完結】唯一の味方だと思っていた婚約者に裏切られました
紫崎 藍華
恋愛
両親に愛されないサンドラは婚約者ができたことで救われた。
ところが妹のリザが婚約者を譲るよう言ってきたのだ。
困ったサンドラは両親に相談するが、両親はリザの味方だった。
頼れる人は婚約者しかいない。
しかし婚約者は意外な提案をしてきた。
愛しておりますわ、“婚約者”様[完]
ラララキヲ
恋愛
「リゼオン様、愛しておりますわ」
それはマリーナの口癖だった。
伯爵令嬢マリーナは婚約者である侯爵令息のリゼオンにいつも愛の言葉を伝える。
しかしリゼオンは伯爵家へと婿入りする事に最初から不満だった。だからマリーナなんかを愛していない。
リゼオンは学園で出会ったカレナ男爵令嬢と恋仲になり、自分に心酔しているマリーナを婚約破棄で脅してカレナを第2夫人として認めさせようと考えつく。
しかしその企みは婚約破棄をあっさりと受け入れたマリーナによって失敗に終わった。
焦ったリゼオンはマリーナに「俺を愛していると言っていただろう!?」と詰め寄るが……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
浮気相手から深く愛された婚約者に捨てられましたけど、とてもお似合いの二人なので幸せを願ってあげます。
田太 優
恋愛
婚約者が包み込まれるような愛について語り出した。
おかしいと思って調べた結果、浮気が明らかになり、浮気相手との愛を見せつけられ婚約破棄された。
障害だらけの二人だけど燃え上がったのなら応援してあげる。
あの二人なら何があっても負けないと信じているから。
虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~
***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」
妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。
「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」
元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。
両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません!
あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。
他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては!
「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか?
あなたにはもう関係のない話ですが?
妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!!
ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね?
私、いろいろ調べさせていただいたんですよ?
あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか?
・・・××しますよ?
殿下に裏切られたことを感謝しています。だから妹と一緒に幸せになってください。なれるのであれば。
田太 優
恋愛
王子の誕生日パーティーは私を婚約者として正式に発表する場のはずだった。
しかし、事もあろうか王子は妹の嘘を信じて冤罪で私を断罪したのだ。
追い出された私は王家との関係を優先した親からも追い出される。
でも…面倒なことから解放され、私はやっと自分らしく生きられるようになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる