どうやらこのパーティーは、婚約を破棄された私を嘲笑うために開かれたようです。でも私は破棄されて幸せなので、気にせず楽しませてもらいますね

柚木ゆず

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第6話 次に起きる出来事は アリシア視点(1)

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「皆様っ。ただいまより、ビンゴゲームを開催いたしますわっ」

 次は何を起こすつもりなのかしら? ボヌール管弦楽団の余韻に浸りながら待っていると、参加者全員に複数の数字が記された紙――ビンゴカードが配られた。

((最近貴族界で流行している、ビンゴが新たな行動なのね。これで、どうやってダメージを与えるつもりなのかしら?))

 このゲームはビンゴマシンを回して球を取り出し、玉にある数字と一致した場所に穴を開けていく。そうして縦横斜めのいずれかが揃えば、ビンゴあがりとなるというルールになっている。
 そんな中で、どんな風にダメージを与えてくるのか? お手並み拝見ね。

「では、始めますわね。1つめは……………………51、ですわ」

「ありましたわっ」
「わたくしもっ」
「わたしもありましたわ」

「次に、参りますわね。2つめは……………………13、ですわ」

「あぁ、残念ですわ。今回は、ありませんでしたわ」
「わたしは、今回はありましたっ」


 主催者であるヴァイオレット様がビンゴマシンを回転させて、玉を取り出して全員に見えるようかざす。それを受けて、参加者達は一喜一憂する。
 そんな流れが賑やかに繰り返されていって、やがて私は気が付いた。このビンゴゲームの狙いに。

((私のビンゴカードだけ、やけに揃わない。ヴァイオレット様は、私をビリにして落ち込ませるつもりなのね))

 ビンゴマシンは一見するとランダムに球を吐き出しているように見えるけど、細工なんていくらでもできてしまえる。だから今回は、こういった形で――少し趣向を変えて、こんな風に攻めてくるみたい。
 なので周りがどんどんと『ビンゴ』してゆくのに私だけ成果が芳しくなく、やがては思った通り私以外の参加者全てがビンゴとなってしまった。

「あら、まぁ。こちらは、運の勝負。ということは……」
「日頃の行い、なのでしょうねぇ」
「「「「「くすくすくす」」」」」」

 実は私は頭の中で、別のビンゴカードを――不正がされていないカードを作ってビンゴを楽しんでいて、その結果そっちのカードは1番に『ビンゴ』となっていた。
 なのでむしろ他の参加者の方が『くすくす』な状態で、こんな風に嗤われてもノーダメージ。心の中では勝利のガッツポーズをしていたのだけれど、私は喜ぶのを一旦やめる。


 にやり。


 視界の隅ではヴァイオレット様が嗜虐的な笑みを浮かべ、パンパンと手を叩いて臣下に何かしらの指示を出した。
 あの様子から推測するに、ビンゴにまつわる攻撃はまだ終わりじゃない。ここから、何をするつもりなのかしら……?

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