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第6話 2人の反応は ロゼーヌ視点(1)
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「い、いちゃ! い、いやいや何を言っているんだいヴェロニク! 俺だよ俺行くのは俺だよ!!」
「私です! 私です!! 私なんです! 行かせてください!! 行きます私が!!」
レジスさんと共に悩んでいる素振りを見せ始めたら、突如2人が狼狽え始めました。
……すべて、予想通り。
わたし達は甘いからフリをしているだけ。あのように宣言しておけば助けてくれる。そう思っていたみたいですね。
((確かにわたし達は、甘い人間。だからと言って、なんでもかんでも許すわけではありませんよ))
わたしにもレジスさんにも、立場というものがあります。2人から相応の意志を感じられないと、手を差し伸べることはありません。
((ヴェロニク、テランスさん。ここからが本番です))
このあと出される選択で先ほどと同じ回答が出来たら、本当に助けます。
予想外の出来事が起きた時、自分を犠牲にできるのか――それでもなお、愛を貫けるのか。確かめましょう。
「俺はねっ! 君の幸せを心から願ってるんだ!! こんなことになっちゃったからっ! せめて少しだけでも自分より楽な人生を送って欲しいんだよ!」
「それは私も同じです! テランス様の幸せを願ってます! 借金は私にだって原因がありますっ! 今思えば、私の方が乗り気でっ、だから私により責任があるんです! その分をせめてこの形で清算させてください!」
「……っ」
「……っ」
ここまで言ったら、さすがに助け舟を出してくれるはず。恐らくそんな思いで2人はチラチラとこちらを見てきましたが、わたし達はどちらも出しはしません。
「大丈夫。俺達は愛の力がある! 愛で結ばれているんだ! 離れていても寂しくないんだよっ! いつでもヴェロニクを感じられてっ、感じられているから頑張ることができるんだっ! 俺の我が儘を認めておくれっ!」
「私だって! 愛で結ばれているからこそっ、寂しくないし頑張れるんです! 好きな人のために動けることこそ、なによりの喜び! 私の我が儘を認めてください!」
「いいや俺だ! 俺の我が儘を聞いてくれ!」
「いいえ私です! 私の我が儘を聞いてください!!」
などなど、およそ10分ほど2人の激論が交わされました。
……そろそろ、いい頃合いですね。本当の問いかけを行いましょう。
「う~ん、困ったね。この調子だといつまで経っても決まりそうにない」
「そうですね。……そうだ。決められないのならば、両方とも鉱山に行ってもらいましょうか」
「ああ、それもそうだね。よく考えみたら離ればなれになる方がつらいし、清算も早く終わる。ふたりとも、それでいいですね?」
この問いかけに頷くか、それでも相手に残って欲しいと訴えたら、2人が望む未来が待っています。
わたし達は、思っていたほど甘くはなかった。自分達の思い通りにはならないと気付いた時、この人達はどんな選択をするのでしょうか……?
「「え……」」
「兄さん、ヴェロニクさん。それで、いいですね?」
あの時2人が即答した時の同じく、ニッコリとした笑み。そんな表情を向けられたテランスさんとヴェロニクは、同様に即答でこのような言葉を口にしたのでした。
「そ、そういうことならっ。お言葉に甘えてヴェロニクに行ってもらおうかなっ」
「そっ、そう仰るのでしたらっ。テランス様にお譲りしますわっ」
「私です! 私です!! 私なんです! 行かせてください!! 行きます私が!!」
レジスさんと共に悩んでいる素振りを見せ始めたら、突如2人が狼狽え始めました。
……すべて、予想通り。
わたし達は甘いからフリをしているだけ。あのように宣言しておけば助けてくれる。そう思っていたみたいですね。
((確かにわたし達は、甘い人間。だからと言って、なんでもかんでも許すわけではありませんよ))
わたしにもレジスさんにも、立場というものがあります。2人から相応の意志を感じられないと、手を差し伸べることはありません。
((ヴェロニク、テランスさん。ここからが本番です))
このあと出される選択で先ほどと同じ回答が出来たら、本当に助けます。
予想外の出来事が起きた時、自分を犠牲にできるのか――それでもなお、愛を貫けるのか。確かめましょう。
「俺はねっ! 君の幸せを心から願ってるんだ!! こんなことになっちゃったからっ! せめて少しだけでも自分より楽な人生を送って欲しいんだよ!」
「それは私も同じです! テランス様の幸せを願ってます! 借金は私にだって原因がありますっ! 今思えば、私の方が乗り気でっ、だから私により責任があるんです! その分をせめてこの形で清算させてください!」
「……っ」
「……っ」
ここまで言ったら、さすがに助け舟を出してくれるはず。恐らくそんな思いで2人はチラチラとこちらを見てきましたが、わたし達はどちらも出しはしません。
「大丈夫。俺達は愛の力がある! 愛で結ばれているんだ! 離れていても寂しくないんだよっ! いつでもヴェロニクを感じられてっ、感じられているから頑張ることができるんだっ! 俺の我が儘を認めておくれっ!」
「私だって! 愛で結ばれているからこそっ、寂しくないし頑張れるんです! 好きな人のために動けることこそ、なによりの喜び! 私の我が儘を認めてください!」
「いいや俺だ! 俺の我が儘を聞いてくれ!」
「いいえ私です! 私の我が儘を聞いてください!!」
などなど、およそ10分ほど2人の激論が交わされました。
……そろそろ、いい頃合いですね。本当の問いかけを行いましょう。
「う~ん、困ったね。この調子だといつまで経っても決まりそうにない」
「そうですね。……そうだ。決められないのならば、両方とも鉱山に行ってもらいましょうか」
「ああ、それもそうだね。よく考えみたら離ればなれになる方がつらいし、清算も早く終わる。ふたりとも、それでいいですね?」
この問いかけに頷くか、それでも相手に残って欲しいと訴えたら、2人が望む未来が待っています。
わたし達は、思っていたほど甘くはなかった。自分達の思い通りにはならないと気付いた時、この人達はどんな選択をするのでしょうか……?
「「え……」」
「兄さん、ヴェロニクさん。それで、いいですね?」
あの時2人が即答した時の同じく、ニッコリとした笑み。そんな表情を向けられたテランスさんとヴェロニクは、同様に即答でこのような言葉を口にしたのでした。
「そ、そういうことならっ。お言葉に甘えてヴェロニクに行ってもらおうかなっ」
「そっ、そう仰るのでしたらっ。テランス様にお譲りしますわっ」
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