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第11話 現世での末路は~アルチュールの場合~ 俯瞰視点(1)
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「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。も、もうげんかい、だ……」
「おいっ! 誰が休んでいいと言った! とっとと働け!!」
「ま、まってくれ……! これ以上は――ぎゃあ!? わ、分かった!! 分かったからっ! 働くから鞭で打たないでくれぇ!!」
ミレーユことヴィルジニーによって連れ去られてから、一週間後。ブリュノことアルチュールの姿はとある炭鉱にあり、強制的に労働をさせられていました。
「ここは……炭鉱……? なぜ俺を、こんなところに連れて来たんだ……」
「アンタを持ち上げて落とす計画の一環として、何回も金を渡した。ウチは、何千万リーバルを失ってしまった。それをこれから、返してもらうのよ。ここで働いてね」
365日、毎日朝から晩まで20時間。返済できるまで恐ろしいスケジュールを課せられることとなり、即日強制的な労働がスタートしていたのです。
「はぁ、はぁ、はぁ……。はあ、はあ、はあ、はあ……。手が……腕が……足が……。身体が……。重い……」
アルチュールは子爵家に生まれた貴族。肉体労働をした経験はまるでなく、おまけに日頃から最低限の運動しか行っていませんでした。
それによって作業を再開させるも、再びすぐにバテてしまい――
「た、頼む。すこしでいい。ほんの少し、5分でいい。休憩させてく――」
「さっき言った言葉を理解できなかったのか? 誰が、休んでいいと言った!!」
「ぎゃああ!! 分かった!! もう言わないからっ!! 鞭はやめてくれえええええええええ!!」
――懇願するも即座に暴力と共に却下されてしまい、これ以上は無理なもののやるしかない。アルチュールは歯を食いしばって身体を動かします。
((はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。じ、地獄…………地獄だ……! こんな場所に居たくない……! 早く、ここから出たい……! いつになったら俺はぁっ、ここから出られるんだぁ……!?))
その答えは、3年後。
春夏秋冬が3回巡った頃、ようやくアルチュールは解放されることとなりました。
「や、やった……。やったぞ……。やっと自由に、なれるんだ……」
強制的な労働により筋肉はついたものの、肉体的であり精神的な疲労により2周り以上老けたように見えるアルチュール。そんな彼は顔を綻ばせながら拳を突き上げ――ましたが、その笑顔はあっという間に消えることとなりました。
「あらあら、まあまあ。しばらく見ない間に別人みたいになったわねぇ」
「……ミレーユ……。なにをしに、きたんだ……!」
「なにって、決まっているでしょう。前世の罰を与えにきたのよ」
「ば、罰だって!? 罰はもう受けたじゃないか!!」
「これは、渡したお金を返してもらっていただけですわよ? ……くふふ。『終わり』なんて大間違い。やっと、これから『始まる』のですわぁ……!!」
そうしてアルチュールは、あの日のように再び拘束されてしまい――
「おいっ! 誰が休んでいいと言った! とっとと働け!!」
「ま、まってくれ……! これ以上は――ぎゃあ!? わ、分かった!! 分かったからっ! 働くから鞭で打たないでくれぇ!!」
ミレーユことヴィルジニーによって連れ去られてから、一週間後。ブリュノことアルチュールの姿はとある炭鉱にあり、強制的に労働をさせられていました。
「ここは……炭鉱……? なぜ俺を、こんなところに連れて来たんだ……」
「アンタを持ち上げて落とす計画の一環として、何回も金を渡した。ウチは、何千万リーバルを失ってしまった。それをこれから、返してもらうのよ。ここで働いてね」
365日、毎日朝から晩まで20時間。返済できるまで恐ろしいスケジュールを課せられることとなり、即日強制的な労働がスタートしていたのです。
「はぁ、はぁ、はぁ……。はあ、はあ、はあ、はあ……。手が……腕が……足が……。身体が……。重い……」
アルチュールは子爵家に生まれた貴族。肉体労働をした経験はまるでなく、おまけに日頃から最低限の運動しか行っていませんでした。
それによって作業を再開させるも、再びすぐにバテてしまい――
「た、頼む。すこしでいい。ほんの少し、5分でいい。休憩させてく――」
「さっき言った言葉を理解できなかったのか? 誰が、休んでいいと言った!!」
「ぎゃああ!! 分かった!! もう言わないからっ!! 鞭はやめてくれえええええええええ!!」
――懇願するも即座に暴力と共に却下されてしまい、これ以上は無理なもののやるしかない。アルチュールは歯を食いしばって身体を動かします。
((はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。じ、地獄…………地獄だ……! こんな場所に居たくない……! 早く、ここから出たい……! いつになったら俺はぁっ、ここから出られるんだぁ……!?))
その答えは、3年後。
春夏秋冬が3回巡った頃、ようやくアルチュールは解放されることとなりました。
「や、やった……。やったぞ……。やっと自由に、なれるんだ……」
強制的な労働により筋肉はついたものの、肉体的であり精神的な疲労により2周り以上老けたように見えるアルチュール。そんな彼は顔を綻ばせながら拳を突き上げ――ましたが、その笑顔はあっという間に消えることとなりました。
「あらあら、まあまあ。しばらく見ない間に別人みたいになったわねぇ」
「……ミレーユ……。なにをしに、きたんだ……!」
「なにって、決まっているでしょう。前世の罰を与えにきたのよ」
「ば、罰だって!? 罰はもう受けたじゃないか!!」
「これは、渡したお金を返してもらっていただけですわよ? ……くふふ。『終わり』なんて大間違い。やっと、これから『始まる』のですわぁ……!!」
そうしてアルチュールは、あの日のように再び拘束されてしまい――
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