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第10話 今日はどちらの悲願の日? アルチュール視点(3)
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「なぜ? どうして? 安心なさい。ちゃーんと教えてあげるわよ」
頭の中が疑問だらけになっていたら、ゆっくりと立ち上がったヴィルジニーがニヤリと笑った。
この異常事態は、やはりコイツが関わっている……!
だがだ!! なにをやってもウチの人間を買収できないんだぞ!! なんなんだコレはぁっ!?
「『家』に忠実な人間が、自分の命令を聞かない。なんでなのか? その理由はねぇ」
「…………………………」
「アンタよりも『上』の人間から、『ヴィルジニーに従え』という命令を受けているからよ」
「な、なんだと……。う、うえ……? うえって……!!」
まさか。
まさか……。
まさか――
「大正解。ドザベルド家当主。アンタの父親よ」
……。思った通りだ。
思った通り、だが。
わけがわからない……。
なぜ父上が、そんな真似をする……!?
「言ったでしょう? わたくしはアンタに復讐する――徹底的に復讐してやろうと思っていたのよ? そのためにはドザベルド家に手伝ってもらう必要があってね、買収したのよ」
「ばっ、馬鹿な!! いくらなんでも実の息子っ、嫡男を――」
「息子を手放してもいいと思うくらいの、『金』や『物』を提示したのよ。それにドザベルド家には次男が――代わりがいる。彼は快諾してくれたわよ」
そんな……。
金や物のために、子を見捨てていただなんて……!!
「あははは。転げ落ちたわね」
「……………………」
「どうせアンタも考えていたんでしょう? たっぷり持ち上げてから落としてやろうってね」
「……………………」
「それをわたくしもやっていた、というワケ。くふふふ。完敗、ね」
呆然となることしか、できない。そんな俺を嘲笑と共に見下ろし――ぐあ!? ヤツがパチンと指を鳴らすと、今度は強制的に立ち上がらせられた……!
「な。なっ。なにをするつもりだ……!!」
「決まっているでしょ。何度も言っていた、お礼を始めるのよ」
「はっ、離せ! 離せ!! 離せ!! はなせぇえええええええ――」
「離したら逃げられてしまうんだから、離すはずないでしょう。……アルチュールさまぁ、さあお乗りになってください。わたくしと一緒に、素敵な場所に行きましょうねぇ」
「い、いやだぁああああああああああ!! やめろぉぉぉぉ!! やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
必死に叫んで死に物狂いで暴れてみる……が、ビクともしなかった……。
俺は拘束されたまま…………馬車に乗せられてしまい――
頭の中が疑問だらけになっていたら、ゆっくりと立ち上がったヴィルジニーがニヤリと笑った。
この異常事態は、やはりコイツが関わっている……!
だがだ!! なにをやってもウチの人間を買収できないんだぞ!! なんなんだコレはぁっ!?
「『家』に忠実な人間が、自分の命令を聞かない。なんでなのか? その理由はねぇ」
「…………………………」
「アンタよりも『上』の人間から、『ヴィルジニーに従え』という命令を受けているからよ」
「な、なんだと……。う、うえ……? うえって……!!」
まさか。
まさか……。
まさか――
「大正解。ドザベルド家当主。アンタの父親よ」
……。思った通りだ。
思った通り、だが。
わけがわからない……。
なぜ父上が、そんな真似をする……!?
「言ったでしょう? わたくしはアンタに復讐する――徹底的に復讐してやろうと思っていたのよ? そのためにはドザベルド家に手伝ってもらう必要があってね、買収したのよ」
「ばっ、馬鹿な!! いくらなんでも実の息子っ、嫡男を――」
「息子を手放してもいいと思うくらいの、『金』や『物』を提示したのよ。それにドザベルド家には次男が――代わりがいる。彼は快諾してくれたわよ」
そんな……。
金や物のために、子を見捨てていただなんて……!!
「あははは。転げ落ちたわね」
「……………………」
「どうせアンタも考えていたんでしょう? たっぷり持ち上げてから落としてやろうってね」
「……………………」
「それをわたくしもやっていた、というワケ。くふふふ。完敗、ね」
呆然となることしか、できない。そんな俺を嘲笑と共に見下ろし――ぐあ!? ヤツがパチンと指を鳴らすと、今度は強制的に立ち上がらせられた……!
「な。なっ。なにをするつもりだ……!!」
「決まっているでしょ。何度も言っていた、お礼を始めるのよ」
「はっ、離せ! 離せ!! 離せ!! はなせぇえええええええ――」
「離したら逃げられてしまうんだから、離すはずないでしょう。……アルチュールさまぁ、さあお乗りになってください。わたくしと一緒に、素敵な場所に行きましょうねぇ」
「い、いやだぁああああああああああ!! やめろぉぉぉぉ!! やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
必死に叫んで死に物狂いで暴れてみる……が、ビクともしなかった……。
俺は拘束されたまま…………馬車に乗せられてしまい――
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