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第2章

幕間 門の前で起きていたこと

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「レイル、様? ソーラ様の耳と目を塞いで、どうされるのですか……?」
「彼女はこういう事をすると、酷く心配してくれるのですよ。おまけに今回はかなり無茶をするため、隠させてもらいました」

 ミファの聴覚と視覚を一時的に絶った直後。ティルは懐からナイフを取り出し、左の手首付近を切り裂いた。

「テオ殿、申し訳ありません。頂いた服を、破かせていただきます」
「そ、それは構わないのですが……。一体何をされているのですか……?」

 ティルは着ていた服を脱いで二つに割き、それぞれに血液をたっぷりと吸わせている。出血量はすでにかなりのものとなっており、テオは――ルナも、目を見開いていた。

「これからテオ殿とレルマ殿にはこの血液を数メートルの間隔で地面に垂らしながら、お二人で街の周りを一周して欲しいのですよ。この血には自分の魔力を含んでいて、その行為が魔術発動の条件なのです」

 自分の魔力を地面に残して円を描き、その中にいる魔物を滅する。これが彼オリジナルの魔術の発動条件。
 今回は前回と違い『自分が移動すること』で魔力を置く暇がないため、こういうやり方を取っていた。

「この魔術が発動すれば、クローズに潜んでいる魔物を確実に殺せます。ますますのんびりしている時間はなくなっているので、至急お願いいたします」
「……畏まりました。テオ、あたしは右回りに回るわ」
「それなら僕は、左回りだね。反対側の出入り口で、再会しよう」
「完成しましたら、『テレパシー』をお願いいたします。ミファに頼んでお二人の身体能力を――そうすれば、奴に力を悟られかねないか……」

 上空には、魔王ゲーランがいる。今後のことを考えると、王族の能力は隠しておくべきだと判断した。

「? レイルさん?」
「独り言です。レルマ殿、テオ殿、頼りにさせていただきます」
「任せてください。レイル様とソーラ様も、お気をつけて」
「僕らにもやれる事があって、嬉しいですよ。お気をつけて」

 ルナは血を吸った服を受け取り、ハンカチを差し出し――。テオは血を吸った服を受け取り、自分が着ていた服を脱いで差し出し――。二人は止血の道具と着物を渡し、それぞれ走り出したのだった。
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