勇者になった幼馴染に婚約破棄された上に追放されたので、英雄になってざまぁしようと思います

第２章

６話（７）

「ソーラさんと、レイルさん、か……。よく、来てくれ、ました……っ」
「昨日に続き、すみません。どうか、俺達を殺してください……！」

　街の中心部に近い、問題の音の発生源。たどり着くとそこにいたのは、倒れ込む９人の騎士団員と、昨日顔を合わせた男性２人。この国の第二王子であるイノル様と、第一王子のクロウ様だった。

　……クロウ様はこの街に運ばれてきていて、イノル様は村民をここに運んできてくれいた……。

　騒動のせいでレルマさんが存在を忘れてしまっていたから、そのまま出てこないでくれればよかったんだけど――。そうはいかないわよね。

「どういうわけか、目にする人間全てが憎いんです……。オレも兄も、これ以上はもう抑えられません……！」
「どうにか堪えてきましたが、無意識のうちに攻撃してしまう程に犯されています……っ。民を殺してしまう前に、どうか俺達を殺してください……っ！」

　イノル様はライオンに似た生き物を従えていて、クロウ様は全身に純白の鎧を纏っている。
　これらは間違いなく、二人の能力。どちらも力を出してしまうくらい追い込まれていて、イノル様達の理性は長く持ちそうにないわね……。