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第2章

4話(6)

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「やはり来たな。お前達がゲーラン様が仰っていた、異端児か」
「ゲーラン様直属の『三柱(さんちゅう)』、その一角を殺した者共。どんなヤツらかと思っていたら、まさか平凡なガキどもだったとはな」

 漆黒の翼を生やした細身の男と、ガタイの良い筋肉質の男。皮膚の一部を人間の血で染めた2匹が、拍子抜けした様子で喉を震わせた。

「ああそうだな、俺達は平凡なガキだ。だからサービスをして、教えてくれ。今回の狙いはなんなんだ?」
「漁場襲撃のような、勇者への牽制? それとも、私達への招待状の一環? どっちなの?」
「多くは語るな、と釘を刺されているのでな。オマエ達で自由に推測するといい」

 痩せ型の方が口を人差し指で刺し、痛みったらしくほくそ笑む。
 へぇ、そっかぁ。だったら、もう用はないわね。

「ティル。潰しましょっか」
「コイツらは、百害あって一利なし。ここで消し去るとしよう」

 私は剣を抜き、ティルは杖を握る五指の力を強め、2匹を正面から睨みつける。
 直属が三柱なら、ゲーランに仕える人型魔物はこれで全部。ここで綺麗さっぱり片付けて、アイツの腹心を0にしてあげるわ。

「ほう。オレらと真正面から戦い、勝つつもりか。面白い」
「オマエ達との戦闘は予定になかったが、首を持ち帰れば魔王様も喜ばれるだろう。その生意気で自惚れた心をバキバキにへし折り、手土産としよう」

 細身の方は私とほぼ同じ大きさの黒い剣を出現させ、ガタイの良い方は真っ黒い杖を虚空から取り出した。
 今回の敵は、前回の敵とちょっと違う。片方は魔術を得意とするみたいね。

(ミファ、相談だ。混戦と一対一は、どちらが戦いやすい?)

 相手の杖を見つめていたら、右耳に早口な小声が届いた。

(俺はどちらも対応できるため、そちらに合わせる。どっちがいい?)
(1対1、がいいわね。なにせ私にはまだ、他の相手を警戒しつつ戦う技術がありませんので)

 2対2の乱戦になっちゃうと、私が対応しきれず足を引っ張っちゃう。やっぱり私は自分の強みを生かせる、サシが好き。

(了解した。ならば俺が、あちらの魔術師タイプの相手をするとしよう)
(ヨロシク、です。……『祝福』は、いつものでいい?)
(ああ。魔力の向上で頼む)

 オッケー。
 私は心で応え、能力を実行。ティルの魔力を高め、自分は身体能力と剣の切れ味を高めた。

「ん? 身体と剣が、光ったな……? 女、今のはなんだ……?」
「どのジョブにも、そんなスキルはなかったはずだ。何をしやがった」
「敵に教える義理はないわ。『オマエ達で自由に推測するといい』、ってヤツよ」
「そういうことだ。……魔物ども。戦いを始めるとしようっ」

 ティルが先制で魔術を放ち、まずは敵を分断する。そしてすぐさま追撃を行ってガタイがいい方を何度も後方に飛ばせ、巧みに1対1の状況を2つ作ってくれた。

 ありがとうね、ティル。お互い勝って、ハイタッチをしましょうね!
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