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第2章

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『いらっしゃいいらっしゃい! いい洋服がありますよ~っ!!』
『ウチは今年で112年になる、伝統のある服屋ですよーっ! 歴史に裏付けされた服を是非御覧になってくださいっ!!』

 ここクローズでは服飾系の店は『服飾区画(ふくしょくくかく)』と呼ばれる場所に集まっていて、そこに足を踏み入れると更に雰囲気が変化。ズラッと並ぶ店の前では呼び込みが行われていて、華やかさと活気に満ち満ちていた。

「すごい賑わいね……。店員も客も沢山で、この辺りだけでも合わせて200人はいるんじゃないの?」
「そのようだな。元々ここは他国からも客が来る所謂名所なのだが、それにしてもこれは多い。本にあった情報よりも、1・5倍はいるように見えるな」
「近々、なにかあるのかもしれないわね。……私達は一か月間も軟禁されていたから、世の中から完全においていかれてるのよねぇ」

 ノルス勇者様、ありがとうございます。
 おかげで新鮮な気持ちで来れて、『何があるのかなぁ?』とワクワクできます。軟禁にもメリットがあったんですねぇ。
 ふふふふふふふふふふふふふふふふふ。

「ミファ。笑顔が黒くなっているぞ……」
「通行人さんにも見られてるから引っ込めて、安いお店探しを始めましょっか。とはいえこの辺には、該当するのがないみたいね」

 どのお店もキラキラしてて、見るからに高そうなオーラが出てる。こういうとこは元両親達が着てたもののように何十万Eもするはずなので、私達には縁のないお店だ。

「服飾区画は奥に行くほど、庶民向けの店が増えるらしい。この辺りは流して、先に進むとしよう」
「そういう区分けがされてるのは、助かるわ。……男用と女用のどちらも、出血大サービス品がありますように」

 武器が超消耗品な私達は、街を救った結構な報酬があっても全く油断はできない。そのため私は本気で空に祈り、スタスタトコトコと該当エリアを目指す。

「可能性は低いけど高級店の特売があるかもだから、私は念のために道の左側にあるお店をチェックする。ティルは右側をお店をお願いね」
「心得た。しかしミファ、俺の服は別に――」
「一人だけ新しいのを持ってたら、罪悪感で着れなくなるわよ。断るなら私も買わないけど、どうしますか? 幼馴染をいつも心配してくれる、優しいティルくん」
「……はぁ、分かった分かった。俺もちゃんと購入するさ」
「うむ、よろしい。今後もこういう感じでやってくから、覚悟しときなさいよ」

 私はニヒヒっと悪戯っぽく口元を緩め、きょろきょろ。きょろきょろ。進みながらよさげなお店を探す。

「………………ぅーん。やっぱり高級店で安売りはないわね。そっちも当然」
「ない、な。だがあと少しで、中流向けの店が増えてくる。そこなら可能性はあるかもしれないぞ」
「間の層を狙ってるお店なら、チャンスはあるわね。二度目の正直がありますようにと願って、先に――ΛΘΓΞΨΠΣ」
「久しぶりに、奇妙な言語が出たな。一体どうしたんだ?」
「ティル、あそこのお店を見て。あそこ、全品90%オフって紙が貼られてる……」

 変な声を出しちゃった理由。それは、有り得ないパーセントの割引セールをやってるところがあったからなのです。
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