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4話(6)

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「これで戦いは完全にお仕舞いで、ティルお疲れ様。ナイス援護で助かったわ」
「ミファこそ、相変わらず豪快な戦い方だった。お疲れ様」

 私達はパチンとハイタッチを交わし、それからしゃがんで魔石を拾い上げる。
 今回は強い人型の魔物だったから、サイズはカエル型のおよそ10倍。これを売ったらかなりの金額になりそうね。

「熊型の魔石が1つ10000Eで、その10倍は100000E。ティル、だいたいこの計算であってるわよね?」
「いいや、それは低く見積もりすぎだ。サイズは単純な倍増とはならなくて、この大きさだと、そうだな……。最低でも100万Eにはなるはずだ」
「100万!? ふぇぁ――ひぎゃっ! おひゃとっととすわしゃぁっ!!」

 突然の奇声、ごめんなさい。
 今の私は驚いて魔石を落としそうになり、それを慌てて両手で掬おうとしたら誤って下から叩いてしまい、お手玉のスタート。そのまま3回ポンポン弾ませてしまい、4回目でどうにかキャッチできたのです。

「はぁ、はぁ、はぁ……。あぶなかった……。危なかったわ……」
「魔石はその高さから落ちても割れはしない、昨日そう説明しただろう? なぜそこまで狼狽えるんだ?」
「万が一、があったら困るからに決まってるでしょ! うっかり割れて100万Eという大金がパーになったら困るからに決まってるでしょっ!」

 ティルもご存じのように私は冷遇されていて、贅沢なんて一度もしたことがない。なので今も緊張していて、手が若干震えているのだ。

「カー! ΔΣΘΓΞΨΠΛ!!」
「発している言語は全く理解できないが、言いたい内容はおおむね理解できた。分かったから怒るのはここまでにして、街に戻るとしよう。ギルドに、討伐の報告をしないといけないからな」

 ぁ、そうだったそうだった。
 今はあの漁師さん達が街に向けて狼煙(のろし)をあげて、緊急クエストが発生している。ギルドの全職員が大急ぎで参加者を募ってるはずだから、できるだけ急いだ方がいいわね。

「俺達の移動方法は、脚のみだ。ミファの『祝福』が切れる前に動くとしよう」
「転移魔法陣を出せるのは、元愚兄だけだもんね。行きましょ」
 まずは私よりしっかりしてるティルに魔石をお願いして、それから出発。今の私達にはまだ能力が付与されているので、軽やかに走り出したのでした。
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