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第8話 向かった先は 俯瞰視点(3)

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「ジュール。もしも我々を保護しないというのであれば、エマに捕まった際にこの屋敷の内部構造を伝えるぞ」
「それでもいいのね?」

 〇〇は侵入しやすくなっている。〇〇を利用すれば入り込めやすくなる。などなど。道ずれに、守りを固めてもエマの手が及ぶようにしてやる――。
 ヤニックとジネットはジュールの拒否を想定し、その対策を用意していたのです。

「月日が経っているとはいえ、我々はこの『家』の長だったのだ。他にも様々なウィークポイントを把握しているのだよ」
「それらを渡せば、エマはますます勢い付いてしまう。伯爵家の力全てを防御に注いでも防ぎきれなくなるのよ」
「お前も、死ぬのは嫌だろう? ならばどう答えればいいか、分かるだろう?」

 これに関しては紛れもない事実で、仮に情報が渡れば大変なことになってしまう。それが分かり切っている二人はほくそ笑み、もう一点追加します。

「そうだな、答えは分かっている。この場でお前達を殺し、口封じしておけばいいだけのこ――」
「エマは特に、我々をその手で殺したがっている。悲願を奪われたと気付いたら、そうしてしまったお前には更なる地獄が待っているだろうな」
「きっと、簡単には殺してくれないでしょうねぇ。……後々そうなってもいいのなら、この場で私達を殺すといいわ」

 脅し始めたら死人に口なしとする、そんな確信もありました。そのためソコを防ぐ手もすでに用意されていて、二人は余裕たっぷりに一蹴しました。

「防御が無意味になりたければ我々を追い出せばいいし、最大級の恨みを買いたければ我々を殺すがいい。さあどうする?」
「ジュール、教えて頂戴。貴方はどうするつもりなの?」
「…………………………っ」

 元凶達に脅迫される状況は、当たり前の話決して看過できるものではありませんでした。ですが、呑まないリスクがあまりにも多い。

「…………………………分かった! 追い出しも殺しもしない!!」

 ですのでジュールは、奥歯を割りながら認めることとなりました。
 ただ――
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