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第6話 予想通りの言葉と予想外の言葉 エミリー視点(2)

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「…………マリオン、お父様、お母様のお気持ちは、分かりました。そういうことでしたら、お屋敷に戻りましょう」
「っ! お姉様!!」「っ! エミリー!!」「っっ! エミリーっ!!」

 同じようにわたしも立ち上がって微笑みを浮かべると、3人は顔を見合わせて大喜びしました。
 自分達の計画が上手くいったと、思い込んで。

「ですがわたしは、皆様が本当に改心したのか不安です。何年も何年も毎日毎日虐げられてきたのですから、当然のことだとは思いませんか?」
「え? そ、そう、ですわね……」
「あ、ああ。そう、だな……」
「え、ええ……。そう、ね……」
「そこで、条件を一つ提示します。その条件が達成されたのであれば、お屋敷に戻りましょう」

 わたしは3人に向けて右の人差し指を立て、斜め後ろを――ランファーズ子爵邸を、一瞥しました。

「じょう、けん……? お、お姉様、そちらはなんなんですの……?」
「わたしが出す、条件。それは――」

 それは。


「マリオンと家族の縁を切り、お屋敷から追い出す。です」


 お金も食料も、一切持たせない。そのままで外に放り出す。
 あの時わたしに行ったことを、そのままマリオンに行う。そうすればお屋敷に戻ってあげる。
 氷のように固まってしまった3人に、そう告げました。

「おねえ、さま……。どう、して……」「な、なぜ……」「どうし、て……?」
「忘れてしまったのですか? わたしが酷い目に遭う切っ掛けは、そのほとんどがマリオンなんですよ」

 今回の件も階段から突き落とされた件も、そう。マリオンが何もしなければ何も起きていないことばかりでした。

「わたしにとってマリオンは、不幸の元凶。ちゃんと反省をした――」
「反省しています! 心からちゃんと!!」
「――反省していたとしても、無理なんですよ。……今回の騒動が、決定打となったのでしょうね。わたしを再三苦しめた元凶とは一緒に暮らしていけないと、心が拒否しているのですよ」

 なので、視界に入らないようにして欲しい。と伝えました。

「お父様お母様。マリオンを追い出せば、わたしと過ごせるようになるんですよ」
「「「………………」」」
「お二人はわざわざいらっしゃるほどに、後悔していて、わたしに戻って来て欲しいと思っているんですよね? でしたら、喜んで行ってくれますよね?」

 黒目が激しく動き、冷や汗たっぷり。激しく動揺しているお父様とお母様を見て、首を傾けます。


 マリオンを護れば、アンジェリック様の件で大変なことになってしまう。マリオンを切り捨てたら、アンジェリック様の件は解決できる。
 さて。お二人は、どんな判断をするのでしょうか?
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