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第1話 楽しいはずのティータイムが 俯瞰視点(1)
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「お父様、お母様。今頃、どうしていると思います?」
「そうだなぁ。俺は、残飯を漁っていると予想する」
「わたくしは、盗賊か何かに襲われて身ぐるみを剥がされたあと殺されている、に一票入れるわ。あんな人間に相応しい最期よ」
「あははっ、確かにっ。でも、そうであって欲しくはあるけれど、実際は違っていると思いますの。『身体を売って金を稼いでいる』、だとわたくしは思いますわ」
心地の良い風が吹く、日曜の午後3時過ぎ。ランファーズ邸内にある庭では、親子3人の笑い声が響いていました。
マリオン達が話しているのは、元家族のエミリーの現在について。あれからどうなっているのかを、語り合っていたのでした。
「わたくし達に比べて衣食住の質を落としていたとはいえ、それでも貴族だったんですもの。すぐにみじめな生活に耐えられなくなって、どんな手を使ってでも金を稼ごうとするはずですわ」
「ふむ、そうかもしれんな。さすがマリオンだ」
「そうね、あなた。やっぱりマリオンの推理力はすごいわ。ついこの間まで屋敷に居た、生意気な女とは大違い」
マリオンは自分達の行動や考えに賛同する、可愛い子ども。そのためロークとリリアンはいつものようにべた褒めし、マリオンはマリオンで満足げに頬を緩めました。
「もうお母様、あんな醜く醜悪なドロボウ女と比べないでくださいまし。比較というのは、ある程度同じレベルでのみ行えることなんですから」
「あらごめんなさい、それもそうね。天と地以上の差、計測不能よね」
「それもそうだな。人間とゴミを比べようとしていただなんて……。我々はなんと愚かだったのだ――ん? どうしたのだ――おっ、おい! どうした何があった!?」
それまで大笑いしていたロークの顔が――リリアンとマリオンの顔も同じように、一瞬にして強張ってしまいました。
なぜならば、3人がいるガーデンテーブルに走って来た初老の男性――この家の家令を務めるニックの顔が、真っ青になっていたからです。
「だ、旦那様、奥様、お嬢様……。た、大変です……。大変なことが起きてしまいました……」
「た、大変……? なっ、何が起きたんだ!? くっ、繰り返すだけじゃ分からないだろうが! 早く詳しく話せ!!」
「しっ、失礼致しました! じ、実は、で、ですね……。さ、さきっ。さきほど、判明した、ことなのですが……」
時間の経過に比例して、更に動揺してゆくニック。彼はすっかり紫色になってしまった震える唇を必死に動かし、何度もどもりながら――
「エミリーが描いた絵を、筆頭公爵家の長女が気に入られたようでして……。エミリーに会いたいと、仰られているそうなのです……」
――そんなことを、伝えたのでした。
「そうだなぁ。俺は、残飯を漁っていると予想する」
「わたくしは、盗賊か何かに襲われて身ぐるみを剥がされたあと殺されている、に一票入れるわ。あんな人間に相応しい最期よ」
「あははっ、確かにっ。でも、そうであって欲しくはあるけれど、実際は違っていると思いますの。『身体を売って金を稼いでいる』、だとわたくしは思いますわ」
心地の良い風が吹く、日曜の午後3時過ぎ。ランファーズ邸内にある庭では、親子3人の笑い声が響いていました。
マリオン達が話しているのは、元家族のエミリーの現在について。あれからどうなっているのかを、語り合っていたのでした。
「わたくし達に比べて衣食住の質を落としていたとはいえ、それでも貴族だったんですもの。すぐにみじめな生活に耐えられなくなって、どんな手を使ってでも金を稼ごうとするはずですわ」
「ふむ、そうかもしれんな。さすがマリオンだ」
「そうね、あなた。やっぱりマリオンの推理力はすごいわ。ついこの間まで屋敷に居た、生意気な女とは大違い」
マリオンは自分達の行動や考えに賛同する、可愛い子ども。そのためロークとリリアンはいつものようにべた褒めし、マリオンはマリオンで満足げに頬を緩めました。
「もうお母様、あんな醜く醜悪なドロボウ女と比べないでくださいまし。比較というのは、ある程度同じレベルでのみ行えることなんですから」
「あらごめんなさい、それもそうね。天と地以上の差、計測不能よね」
「それもそうだな。人間とゴミを比べようとしていただなんて……。我々はなんと愚かだったのだ――ん? どうしたのだ――おっ、おい! どうした何があった!?」
それまで大笑いしていたロークの顔が――リリアンとマリオンの顔も同じように、一瞬にして強張ってしまいました。
なぜならば、3人がいるガーデンテーブルに走って来た初老の男性――この家の家令を務めるニックの顔が、真っ青になっていたからです。
「だ、旦那様、奥様、お嬢様……。た、大変です……。大変なことが起きてしまいました……」
「た、大変……? なっ、何が起きたんだ!? くっ、繰り返すだけじゃ分からないだろうが! 早く詳しく話せ!!」
「しっ、失礼致しました! じ、実は、で、ですね……。さ、さきっ。さきほど、判明した、ことなのですが……」
時間の経過に比例して、更に動揺してゆくニック。彼はすっかり紫色になってしまった震える唇を必死に動かし、何度もどもりながら――
「エミリーが描いた絵を、筆頭公爵家の長女が気に入られたようでして……。エミリーに会いたいと、仰られているそうなのです……」
――そんなことを、伝えたのでした。
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