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第2話 内容と、不愉快な出来事 サンドリーヌ視点(2)

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「……なぜこんな人間がのうのうと生きていられるのでしょうか……!? わたくしはますます、この世の仕組みが分からなくなりました……!!」

 隣に居るアニェスが両目を充血させ、左右の拳を震わせている理由。それは、今朝わたしに届いた叔父たちからの手紙にありました。

《今日、不思議な夢を見たのだよ。
 気が付くとわたしは兄上たちのお墓の前にいて、兄上達が嬉しそうに西の空を――サンドリーヌがいる、学院の方角を見ていたのだよ。
 きっと兄上たちも、娘と1年ぶりに会えるのを楽しみにしているに違いない。
 連休中の帰省は難しくなるかもしれないと言っていたが、我々ににできることがあれば何でも手伝わせてもらう。
 わたしもレーアもシャリーも、みんな家族なのだ。遠慮なく頼ってくれ。
 使用人も含め全員、サンドリーヌとの一年ぶりの再会を心待ちにしているよ》

 わたしは先日――本心を知る前に、『勉強の関係で10パーセントくらいの確率で帰省が叶わなくなるかもしれない』と、シャリーに宛てた手紙の中で語った。
 あちらはその際に殺害を計画していて、延期となれば何かと困ることがあるのでしょうね。10パーセントという僅かな確率であってもじっとしてはいられなくなり、僅かな不安要素の排除に乗り出した。
 手伝い、それになにより……。お父様とお母様を出して、必ず来月戻ってくるように仕向けているのです。

「…………そうね、アニェス。わたしも、ますます分からなくなったわ」

 お父様とお母様は曲がったことが大嫌いで、どんな時も真っすぐ真面目に生きて来た。人の役に立つことを、沢山行ってきた。
 それなのに亡くなってしまい、真逆の性質と行動を取っている叔父達は今も元気に楽しく生きている。

 おかしい。

 別に、お父様達に『プラス』が欲しいわけじゃない。
 0でいいだけなのに。
 あまりにも大きな『マイナス』があって、結果的に叔父達はあまりにも大きな『プラス』を得ようとしている。
 おかし、すぎる。

「……………………ごめんなさい、お父様お母様。ご先祖様。わがままを許してください」

 今わたしの心の中では炎が燃え盛っていて、この炎は自然に鎮まりそうにはない。
 だからわたしは……。
 新たな封筒と便箋を取り出して、ペンを走らせて――

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