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エピローグ 前世越しの実現 佐々木香澄視点
しおりを挟む「「おめでとう、香澄、リュシエンヌ。蓮司さん、グレゴワール様」」
「「おめでとう、グレゴワール、蓮司。香澄さん、リュシエンヌさん」」
あれから、およそ3年後――あたし達が学院を卒業した次の日。あたし達は教会に居て、家族親族、そして200を超える大勢の来賓の皆さんから祝福されていた。
「「「「「おめでとうございます!」」」」」
「「「「「おめでとうございます!」」」」」
「伯爵家の結婚式でも、ここまで人が集まることはない。流石はこの国を変えた偉人さんだな」
来賓客の過半数を占める、治安機関の関係者。そんな人達を一瞥して、蓮司がイタズラっぽく笑った。
パトリシア達へとの対応の際に作った、『疑似アルミパウダー』。
あのあとあたしはあのパウダーの製造と管理を行う会社を設立し、治安機関と協力関係を結ぶことになった。
それによってあたしには協力金が――定期的に多額のお金が入ってくるようになり、国としては指紋検出により捜査が格段に楽になっているのです。
できることなら無償で提供したいけど、今のあたし達は貴族。お金がないと特に面倒な世界にいるから、仕方がないのだ。
「そういうアナタ様こそ、この国のジュエリー界の原型師の常識を変えた時のお人でしょう? 同じようなものよ」
地球のそういった技術はこちらより遥かに発展していて、そんな技術を極めている蓮司は引っ張りだこ。この世界は宝石が大好きな貴族ばかりだから、ものすごい人気者になっているのです。
「……前世で想像していた結婚式とは、全然違うわね」
「だな。まるで違ってる」
「でも」
「幸せなことには、変わりない」
言葉のキャッチボールをして、くすっと笑い合う。
大好きな人と、今度こそ一生になれる幸せ。
かつては諦めていたものに浸れる喜びをひしひしと感じながら、あたし達は最後の儀式を始める。
ラストはもちろん、誓いのキス。
「……今度こそ、離さないし離れはしない。ずっと一緒にいような、香澄」
「うん。ずっと一緒。ふたりで色んな思い出を作っていこうね、蓮司」
そう言葉を話す顔が――口が、ゆっくりと近づいていき――
「「愛してる」」
――キスを交わす。
こうしてあたし達は、時と世界を超えて夫婦になって――。かつては経験できなかった新たな道を、仲良く歩み始めたのでした。
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