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第7話 不思議なもの リュシエンヌ視点(1)

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「お嬢様……? そちらは、次の作戦の道具でしょうか……?」
「違うの、あたし宛てに届いた荷物だそうよ」
「そうでございました。旦那様でしょうか……?」
「それがね、そうじゃないの。匿名からの贈り物だそうよ」

 贈り主は不明。分かっているのは、この荷物は学院内の『発送所』――学院内にある家族や友人宛に荷物を送れる場所から発送されているということ。
 なので、『この学院の生徒』という事実しか判明していない。

「そうなのですね。ヴァランティーヌかマチルドのご機嫌取りでしょうか?」
「それならしっかり名前を残すはず。そのふたりではないわね」
「確かに、そうですね。……お嬢様、中身はなんなのでしょうね……?」
「中に入っているのは小さな封筒が1つと、B5サイズの封筒が3つらしいわ」

 家族以外が出した荷物が届いた場合は、もしものトラブルを想定して専門のスタッフが事前に開封をするようになっている。
 ちなみにプライバシーのため中身まで確認しないけど、その代わり念入りに触診などを行う。そのため便箋や封筒の中に危険物が入っている可能性は、0となっている。

「便箋も封筒も、かなり高価なものが使われていますね。思い当たる方は、いらっしゃいませんか?」
「『わたし』の周りには、そういう人はひとりもいなかったわ。考えても埒が明かないし、検めてみましょ」

 まずは、封筒から。3つ重なっている中の、1番上の封筒を手に取って開けてみる。

「中身は…………。なんなの……これ……?」
「お、お嬢様……? どうされたのですか……?」
「…………ヴァランティーヌの――ヴァランティーヌだけじゃなくて、2つめと3つめにはマチルドとパトリシアの分もある……。この封筒の中には、3人を脅迫――簡単に屈服させられるものが入っていたのよ」

 これまで『わたし』をイジメていた証拠が数点と、それをどこの貴族に持っていけばいいのか――各家と最も敵対している貴族の名前を記した紙が入っていた。

「た、確かに、ありますね……。ど、どうしてこんなものが……?」
「…………その理由は、小さな封筒の中に書かれていたわ」

《リュシエンヌ・ミラレイティア様。貴方に会って、教えていただきたいことがあります。
 そのためには信頼が必要だと感じ、こちらを信じていただけるものを同封いたしました。
 まずはこちらを使って問題を解決していただき、落ち着きましたら会っていただきたいと考えております》

 こういうことと、もう一つ『とある大事なこと』が、便箋2枚に記されていたのだった。
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