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第5話 下準備 リュシエンヌ視点
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「お嬢様、発見致しました。こちらで間違いありませんよね?」
「ええ、間違いないわ。ありがとう」
ヴァランティーヌと別れたあと。あたしは侍女のカーナと共に学院の近くにある山に入り、草と木の実を集めていた。
「これで、メリアルト草は必要量が集まった。残りは、マダリア草とミリストラの実が30グラムずつね」
「ミリストラの実……ミリストラの実……。あれが、そうでしたよね……?」
「そうね、あの形状はミリストラ。そっちの木とあっちの木に生っているから、手分けして急いで採りましょ」
今居るラクレート山は害獣もいないし人気(ひとけ)も多くあるから、あたし達2人で行動しても危険性はない。とはいえ100パーセント安全とも言い切れないので、大急ぎで作業を行っていく。
「………………お嬢様、このくらいで構いませんでしょうか?」
「充分よ、ありがとう。次は最後、マダリア草。あれは日の当たらない場所に生えるみたいだから…………あの辺りを探しましょ」
この時のために本で調べた知識を使い、5分ほど見回して発見。同じくすぐさま採取を始めて、ほどなく目標量を集めた。
「……これで、ラクレート山で要るものは全部揃ったわね。急いで山を下りて、次は『ラクラトール』に行くわ」
学院からもっとも近くの街にある、製粉所。そこを目指し大急ぎで馬車を――学院が貸し出してくれる馬車を走らせ、
「こちらとこちらを、それぞれ100グラムずついただけますでしょうか?」
「承知いたしました。すぐご用意いたします」
地球で例えるならデュラムセモリナと米によく似た作物の粉末を入手して、それが済むと再び急いで学院を目指す。そうしてあたし達は宿舎にある自室へと入り、一切休むことなく次の作業を始める。
「まずは……。ラクレート山で採ってきたものを、粉末にする」
地球と違って電気で動く機械がないから、すり鉢を使って磨る。必死になってひたすら手を動かして……………………出来上がったらそこに製粉所で仕入れた2種類の粉を、3分の1程度入れて混ぜ合わる。
「………………このくらいで、いいわね。カーナ、あれを出してちょうだい」
「はい、ただいま」
続いて、この計画を閃いたあとすぐにカーナ経由で業者に依頼していたもの――キラキラと輝く粉末を受け取り、それをたっぷりと加えて更に混ぜていく。
混ぜて、混ぜて、混ぜて……………………一晩馴染ませてようやく完成。次の計画に必要不可欠なものが、出来上がったのだった。
「これで、限りなく本物に近いものになったはず。試してみましょうか」
あたしは特製の粉こと、『疑似アルミパウダー』を入れた瓶を手に取り――無事成功。問題なく使えることが分かったあたしは、
『次に移るまでに少し準備がいるから、そうね。完成したら連絡を――入れるのは得策じゃないわね。今日から…………2日後の5時限目をサボタージュして、マチルドがココに単独で来るように仕向けて頂戴』
ヴァランティーヌに伝えたタイミングに合わせて、授業を抜け出し指定場所へと移動して――
「ええ、間違いないわ。ありがとう」
ヴァランティーヌと別れたあと。あたしは侍女のカーナと共に学院の近くにある山に入り、草と木の実を集めていた。
「これで、メリアルト草は必要量が集まった。残りは、マダリア草とミリストラの実が30グラムずつね」
「ミリストラの実……ミリストラの実……。あれが、そうでしたよね……?」
「そうね、あの形状はミリストラ。そっちの木とあっちの木に生っているから、手分けして急いで採りましょ」
今居るラクレート山は害獣もいないし人気(ひとけ)も多くあるから、あたし達2人で行動しても危険性はない。とはいえ100パーセント安全とも言い切れないので、大急ぎで作業を行っていく。
「………………お嬢様、このくらいで構いませんでしょうか?」
「充分よ、ありがとう。次は最後、マダリア草。あれは日の当たらない場所に生えるみたいだから…………あの辺りを探しましょ」
この時のために本で調べた知識を使い、5分ほど見回して発見。同じくすぐさま採取を始めて、ほどなく目標量を集めた。
「……これで、ラクレート山で要るものは全部揃ったわね。急いで山を下りて、次は『ラクラトール』に行くわ」
学院からもっとも近くの街にある、製粉所。そこを目指し大急ぎで馬車を――学院が貸し出してくれる馬車を走らせ、
「こちらとこちらを、それぞれ100グラムずついただけますでしょうか?」
「承知いたしました。すぐご用意いたします」
地球で例えるならデュラムセモリナと米によく似た作物の粉末を入手して、それが済むと再び急いで学院を目指す。そうしてあたし達は宿舎にある自室へと入り、一切休むことなく次の作業を始める。
「まずは……。ラクレート山で採ってきたものを、粉末にする」
地球と違って電気で動く機械がないから、すり鉢を使って磨る。必死になってひたすら手を動かして……………………出来上がったらそこに製粉所で仕入れた2種類の粉を、3分の1程度入れて混ぜ合わる。
「………………このくらいで、いいわね。カーナ、あれを出してちょうだい」
「はい、ただいま」
続いて、この計画を閃いたあとすぐにカーナ経由で業者に依頼していたもの――キラキラと輝く粉末を受け取り、それをたっぷりと加えて更に混ぜていく。
混ぜて、混ぜて、混ぜて……………………一晩馴染ませてようやく完成。次の計画に必要不可欠なものが、出来上がったのだった。
「これで、限りなく本物に近いものになったはず。試してみましょうか」
あたしは特製の粉こと、『疑似アルミパウダー』を入れた瓶を手に取り――無事成功。問題なく使えることが分かったあたしは、
『次に移るまでに少し準備がいるから、そうね。完成したら連絡を――入れるのは得策じゃないわね。今日から…………2日後の5時限目をサボタージュして、マチルドがココに単独で来るように仕向けて頂戴』
ヴァランティーヌに伝えたタイミングに合わせて、授業を抜け出し指定場所へと移動して――
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