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補完編その1 ミラレア家のその後~同類・実弟マイクのその後~ 俯瞰視点(5)
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侯爵家が保管しているものを持ち出したにもかかわらず、9万程度にしかならなかった理由。それは、ミラレア家の臣下にありました。
((…………ミラレア家はもう駄目だな。今のうちに、詫びをいただいておくとしよう))
今から遡ること2週間。臣下のひとり・トムはマイクよりも先に、マイクと同じようなことを考えていました。
――挽回は不可能で、自分もいずれこの屋敷に居られなくなってしまう――。
――侯爵家で働くことはもうできない――。
――せっかくある程度人生が保証されていたのに、余計なことをしたせいで台無しになった――。
――そのお詫びに、金になりそうなものを手に入れておこう――。
それらによって第二の人生の『糧』となるものを求めるようになり、彼は邸内にある貴金属に目をつけます。そしてトムは大急ぎで精巧なレプリカを用意し、邸内が騒がしい隙にすり替えたのでした。
こうして本物は1点が偽物となり、これで終わりとはなりませんでした。
『旦那様。ゴミどもの排除が完了いたしました』
それまで真っ当な人ばかりだった侯爵家にエリア―ヌやモリス、マイクが現れたように、代々仕えていた臣下の家にも『同類』が現れていました。
現在の臣下は忠誠心はほぼ皆無な者が沢山居たため、第2第3のトムが出現。それぞれがこっそりとすり替えてゆき、そうして14の偽物が誕生していたのでした。
マイクは失踪による焦りで見誤っており、わざわざ偽物だけを持ち出してしまっていたのでした。
「……………………………………」
ですので彼が手に入れられるのは最大でも9万5600ダザベールで、そんなマイクはここでの収入をアテにしており、その他の所持品は一切ありません。
そのため生まれてから貴族だった彼が、自力で生きて行けるはずはなく――
「…………わたしは使用人達に、睡眠薬を飲ませました……。どうか、身柄を拘束してください……」
――犯罪や餓死を恐れ、出頭。それにより安全な寝場所と食事を一時的に確保できるようになりましたが、罪人の烙印を押されたことにより、出所後は辛く苦しい人生を送る羽目になったのでした。
そして――。
それが原因でミラレア家の崩壊に拍車がかかり、やがてラガールスから『ミラレア家』の文字は消えてしまったのでした。
((…………ミラレア家はもう駄目だな。今のうちに、詫びをいただいておくとしよう))
今から遡ること2週間。臣下のひとり・トムはマイクよりも先に、マイクと同じようなことを考えていました。
――挽回は不可能で、自分もいずれこの屋敷に居られなくなってしまう――。
――侯爵家で働くことはもうできない――。
――せっかくある程度人生が保証されていたのに、余計なことをしたせいで台無しになった――。
――そのお詫びに、金になりそうなものを手に入れておこう――。
それらによって第二の人生の『糧』となるものを求めるようになり、彼は邸内にある貴金属に目をつけます。そしてトムは大急ぎで精巧なレプリカを用意し、邸内が騒がしい隙にすり替えたのでした。
こうして本物は1点が偽物となり、これで終わりとはなりませんでした。
『旦那様。ゴミどもの排除が完了いたしました』
それまで真っ当な人ばかりだった侯爵家にエリア―ヌやモリス、マイクが現れたように、代々仕えていた臣下の家にも『同類』が現れていました。
現在の臣下は忠誠心はほぼ皆無な者が沢山居たため、第2第3のトムが出現。それぞれがこっそりとすり替えてゆき、そうして14の偽物が誕生していたのでした。
マイクは失踪による焦りで見誤っており、わざわざ偽物だけを持ち出してしまっていたのでした。
「……………………………………」
ですので彼が手に入れられるのは最大でも9万5600ダザベールで、そんなマイクはここでの収入をアテにしており、その他の所持品は一切ありません。
そのため生まれてから貴族だった彼が、自力で生きて行けるはずはなく――
「…………わたしは使用人達に、睡眠薬を飲ませました……。どうか、身柄を拘束してください……」
――犯罪や餓死を恐れ、出頭。それにより安全な寝場所と食事を一時的に確保できるようになりましたが、罪人の烙印を押されたことにより、出所後は辛く苦しい人生を送る羽目になったのでした。
そして――。
それが原因でミラレア家の崩壊に拍車がかかり、やがてラガールスから『ミラレア家』の文字は消えてしまったのでした。
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