原因不明の病気で苦しむ婚約者を5年間必死に看病していたら、治った途端に捨てられてしまいました

柚木ゆず

文字の大きさ
上 下
38 / 42

補完編その1 ミラレア家のその後~同類・実弟マイクのその後~ 俯瞰視点(1)

しおりを挟む
「旦那様。ゴミども・・・・の排除が完了いたしました」
「よくやった。では次の段階に移るぞ」

『頼む! 頼むマイク!! 待ってくれ!!』
『叔父様っお願いします!! どうかっ、どうかお考え直しを!!』
『待つつもりも、考え直すつもりもない。……お前達、この者達はもうお前達の主でもこの家の人間でもない。部外者を放り出してくれたまえ』

 エリア―ヌとモリス、そしてフロリアンとジェローム。屋敷に乗り込み兄たち4人を追い出したマイクは、満足げに頷いたあと周囲を――今や自分の手足となっている臣下たちを、ゆっくりと眺め回しました。

「これより総力をあげて、3つの噂を各所に広める! 内容は言わずもがな、『愚か者モリスとエリア―ヌを追放した!』『ミラレア家の膿は出し切った!』『新当主マイクは正反対の真っ当な人間だ!』だ!!」

 貴族界でも市井でも、すっかり悪評が浸透してしまっているミラレア侯爵家。そうなっている『家』の崩壊を防ぐにはこの方法以外ないと考えていて、邸内にいる人間全員に指示を出しました。

「ここに記してある内容を広めれば、こんな状況下であっても確実に崩壊は阻止できる!! 皆の者っ、わたしについてこい!!」

 マイクは懐から計3枚の紙を取り出してかざし、更には力強く自身の胸元を叩きます。

「お前達の前にいる新当主様は、モリスとは違う! 油断も隙も一切ない!! 故にわたしの指示通りに動けば、最悪の事態は回避できるのだ!! 我がミラレア侯爵家は、いつまでも侯爵家であり続けられるのだ!!」
「「「「「ぉ、ぉぉぉ……!!」」」」」」
「つまりお前達も一生安泰!! 引き続きいつまでもっ、名門侯爵家に仕えているというステータスを持ち続けられるのだ!! …………その幸せに浸り続けたい者は、わたしについて来いっ!!」
「「「「「おおおおおおおおおお!! マイク様!! マイク様っ!!」」」」」」
「「「「「マイク様! 一生ついて参ります!!」」」」」
「うむ……!! ここに居るのは、兄――かつて兄だった男には勿体ない程に、優秀な人間ばかりだったようだな。……素晴らしい。さあ行くぞ皆の者!!」

 自らが考案した最高の挽回策と大勢の仲間が居れば、その成功率は100%。そう確信しているマイクは満足げに頷き、こうして新当主のもと新たな計画が動き出し――
しおりを挟む
感想 204

あなたにおすすめの小説

結婚式間近に発覚した隠し子の存在。裏切っただけでも問題なのに、何が悪いのか理解できないような人とは結婚できません!

田太 優
恋愛
結婚して幸せになれるはずだったのに婚約者には隠し子がいた。 しかもそのことを何ら悪いとは思っていない様子。 そんな人とは結婚できるはずもなく、婚約破棄するのも当然のこと。

結婚を先延ばしにされたのは婚約者が妹のことを好きだったからでした。妹は既婚者なので波乱の予感しかしません。

田太 優
恋愛
結婚を先延ばしにされ続け、私は我慢の限界だった。 曖昧な態度を取り続ける婚約者に婚約破棄する覚悟で結婚する気があるのか訊いたところ、妹のことが好きだったと言われ、婚約を解消したいと言われた。 妹は既婚者で夫婦関係も良好。 もし妹の幸せを壊そうとするなら私は容赦しない。

義妹に夢中になった王子に捨てられたので、私はこの宝を持ってお城から去る事にします。

coco
恋愛
私より義妹に夢中になった王子。 私とあなたは、昔から結ばれる事が決まっていた仲だったのに…。 私は宝を持って、城を去る事にした─。

純白の牢獄

ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

冤罪で婚約破棄してくれてありがとう。頭がお花畑の二人がどうやって自滅していくのか見守ってあげます。

田太 優
恋愛
事実無根の嫌がらせを理由に婚約破棄された私。 婚約者はきっと病弱な幼馴染と婚約したかったからそのようなことをしたのだろう。 だから私は二人の愛を応援し見守ることに決めた。 本当に病弱なのかを明らかにし、二人がしたことを明らかにし、私に非が無いことを明らかにしてからだけど。

それは私の仕事ではありません

mios
恋愛
手伝ってほしい?嫌ですけど。自分の仕事ぐらい自分でしてください。

愛してくれないのなら愛しません。

火野村志紀
恋愛
子爵令嬢オデットは、レーヌ伯爵家の当主カミーユと結婚した。 二人の初対面は最悪でオデットは容姿端麗のカミーユに酷く罵倒された。 案の定結婚生活は冷え切ったものだった。二人の会話は殆どなく、カミーユはオデットに冷たい態度を取るばかり。 そんなある日、ついに事件が起こる。 オデットと仲の良いメイドがカミーユの逆鱗に触れ、屋敷に追い出されそうになったのだ。 どうにか許してもらったオデットだが、ついに我慢の限界を迎え、カミーユとの離婚を決意。 一方、妻の計画など知らずにカミーユは……。

自由に生きたいと私の婚約者と駆け落ちした姉が、婚約破棄され家に戻って来ました。

coco
恋愛
自由に生きたいと私の婚約者と駆け落ちした姉。 そこまでしたのに、婚約破棄され家に戻って来た。 この家に置いて欲しいと言う姉に私は─?

処理中です...