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第14話 その後~フロリアン&ジェロームside~ 俯瞰視点(9)
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「ドルタン草……!! どこだ……!! どこにあるのだ……!?」
「お前を見つけないと! この痛みは消えないんだよ!! 見つかれば追手の目を誤魔化せてっ、街に出入りできるようになるんだよ!! 早く出てきやがれえ!!」
再びアレクシが用意していた『罠』に嵌まり、必死になって逃げかえってから1か月後。ジェロームはへとへとになりながら、フロリアンは加えて痛みと戦いながら、山の中を歩き回っていました。
『ドルタン草? 違う違う。オレは何度か見たことがあるけど、それは形が似ているだけの別物だ。本物はもっと綺麗な、鮮やかな青緑色をしているんだよ』
あのあと運よく、指名手配を知らない上にドルタン草を知る登山者と遭遇。それによって二人は本物だと思い込んでいた――と思い込み、再びコブを消し去るべく動き回っていたのです。
「……どこにあるのだ……!? 出てこい!! こんなにも困っている者がいるのだぞ!? さっさと出てこないか!!」
「こんなにも探しているだぞ!? そろそろ努力が報われてもいいだろ!! 報われるべきだっ!! ドルタン草っ、出てこい!!」
二人は両目を吊り上げて吠え、
「い、いい加減に出て来てくれ! 早くお前が欲しいのだ! 見つかってくれ!」
「たっ、頼む! 痛いんだ! 早くコブを消したいんだ! 人前に出たいんだ! 近くに生えていてくれ!」
次第に語気が弱まっていき、
「おっ、お願い致します!! どうかっ、どうかっ!! 我々に手を差し伸べてください!!」
「貴方様がなければ、俺は一生このままなのです!! お願い致します……!! どうか、俺をお救いください……!!」
やがては低姿勢となり、懇願を始めました。
「ドルタン草様……!! 我々を、お助けくださいませ……!!」
「一生のお願いでございます……! 他にはもう、なにも要りませんので……!! 助けてくださいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃいいいい……!!」
捜索を始めた頃とはすっかり別人で、二人は胸の前で手を組み祈ります。ですが存在しないものが、見つかるはずもなく――
二人は勘違いをしたことにより、当初の予定以上に苦しむ状態で、いつまでも無意味な行動を行い続けることとなってしまったのでした――。
「お前を見つけないと! この痛みは消えないんだよ!! 見つかれば追手の目を誤魔化せてっ、街に出入りできるようになるんだよ!! 早く出てきやがれえ!!」
再びアレクシが用意していた『罠』に嵌まり、必死になって逃げかえってから1か月後。ジェロームはへとへとになりながら、フロリアンは加えて痛みと戦いながら、山の中を歩き回っていました。
『ドルタン草? 違う違う。オレは何度か見たことがあるけど、それは形が似ているだけの別物だ。本物はもっと綺麗な、鮮やかな青緑色をしているんだよ』
あのあと運よく、指名手配を知らない上にドルタン草を知る登山者と遭遇。それによって二人は本物だと思い込んでいた――と思い込み、再びコブを消し去るべく動き回っていたのです。
「……どこにあるのだ……!? 出てこい!! こんなにも困っている者がいるのだぞ!? さっさと出てこないか!!」
「こんなにも探しているだぞ!? そろそろ努力が報われてもいいだろ!! 報われるべきだっ!! ドルタン草っ、出てこい!!」
二人は両目を吊り上げて吠え、
「い、いい加減に出て来てくれ! 早くお前が欲しいのだ! 見つかってくれ!」
「たっ、頼む! 痛いんだ! 早くコブを消したいんだ! 人前に出たいんだ! 近くに生えていてくれ!」
次第に語気が弱まっていき、
「おっ、お願い致します!! どうかっ、どうかっ!! 我々に手を差し伸べてください!!」
「貴方様がなければ、俺は一生このままなのです!! お願い致します……!! どうか、俺をお救いください……!!」
やがては低姿勢となり、懇願を始めました。
「ドルタン草様……!! 我々を、お助けくださいませ……!!」
「一生のお願いでございます……! 他にはもう、なにも要りませんので……!! 助けてくださいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃいいいい……!!」
捜索を始めた頃とはすっかり別人で、二人は胸の前で手を組み祈ります。ですが存在しないものが、見つかるはずもなく――
二人は勘違いをしたことにより、当初の予定以上に苦しむ状態で、いつまでも無意味な行動を行い続けることとなってしまったのでした――。
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