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第14話 その後~フロリアン&ジェロームside~ 俯瞰視点(8)
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「なあ。もしかしてアンタらって、フロリアンとジェロームじゃないよな?」
街に入ってすぐに発生した、二人揃っての『…………え?』。そんな反応をもたらしたのは、不意に声をかけてきた大男でした。
「……………………い、いや違う。俺は………………マイケルという名前で、こっちは……。と、トム! し、仕事仲間なんだよ!」
「だっ、断じてそのような名前ではないぞ。……と、突然まるで違う名前を呼ばれてビックリしてしまった。なぜ突然、そんなことを聞いてきたのだ?」
無精ひげを生やした、身長2メートルはあるスキンヘッドの男。そんな人間に見覚えはなく、にもかかわらず二人の名前を出した。
それはあまりにも奇妙で、激しく戸惑いながら首を傾げました。
「スマンスマン。実はな、そいつらには懸賞金がかかってるんだよ」
「「………………ぇ?」」
「ええと…………ほら、これだ。フロリアンとジェロームってのは隣国の元貴族で、他の貴族様に圧力をかけたらしいんだ。んでその罪を問うことになったみたいなんだが、その頃にはもうこっちの国に渡ってたみたいでな。隣国の王族様が指名手配をしていて、発見者や情報提供者には賞金が出るようになってるんだよ」
「「……………………」」
大男が懐から取り出した紙――手配書には、確かにフロリアンとジェロームの名前があった。それにより二人は、一瞬して顔面蒼白となっていました。
「ソイツらはこの国の貴族様にも喧嘩を売ってて、どっちも仮面で顔を隠してるそうなんだよ。そんでアンタらも仮面で隠してたから、確認をしてみたってワケだ」
「「……………………」」
「ま、そんな簡単に見つかるはずはないよな。アイツらだって指名手配されてると知っていて、のこのこ出てくるワケないもんな」
「……………………は、ははは。そ、そうだな! その通りだ!」
「こんな人気(ひとけ)の多い場所に出てくるなど、自殺行為だ。居るはずがない! はっはっは!」
そんな話は初耳で、おもわず悲鳴をあげそうになりました。ですがそうするとバレ兼ねないためグッと堪え、必死に大笑いをしました。
「だよな。悪かった。じゃあな――? アンタら、街を出ていくのか? さっき入ってきたばっかりだろ……?」
「だ、大事な用事を思い出したんだよ! じゃあな!!」
「用事を済ませたら戻ってくるさ! でっ、では失礼する!!」
ここに居たら気付かれ捕まってしまう――。そう感じた二人は慌てて踵を返し、大事な目的がありましたが、人気(ひとけ)がない山へと逃げ帰ることになったのでした。
そうしてフロリアンとジェロームは『嘘の指名手配書』を信じてしまい、その結果――
街に入ってすぐに発生した、二人揃っての『…………え?』。そんな反応をもたらしたのは、不意に声をかけてきた大男でした。
「……………………い、いや違う。俺は………………マイケルという名前で、こっちは……。と、トム! し、仕事仲間なんだよ!」
「だっ、断じてそのような名前ではないぞ。……と、突然まるで違う名前を呼ばれてビックリしてしまった。なぜ突然、そんなことを聞いてきたのだ?」
無精ひげを生やした、身長2メートルはあるスキンヘッドの男。そんな人間に見覚えはなく、にもかかわらず二人の名前を出した。
それはあまりにも奇妙で、激しく戸惑いながら首を傾げました。
「スマンスマン。実はな、そいつらには懸賞金がかかってるんだよ」
「「………………ぇ?」」
「ええと…………ほら、これだ。フロリアンとジェロームってのは隣国の元貴族で、他の貴族様に圧力をかけたらしいんだ。んでその罪を問うことになったみたいなんだが、その頃にはもうこっちの国に渡ってたみたいでな。隣国の王族様が指名手配をしていて、発見者や情報提供者には賞金が出るようになってるんだよ」
「「……………………」」
大男が懐から取り出した紙――手配書には、確かにフロリアンとジェロームの名前があった。それにより二人は、一瞬して顔面蒼白となっていました。
「ソイツらはこの国の貴族様にも喧嘩を売ってて、どっちも仮面で顔を隠してるそうなんだよ。そんでアンタらも仮面で隠してたから、確認をしてみたってワケだ」
「「……………………」」
「ま、そんな簡単に見つかるはずはないよな。アイツらだって指名手配されてると知っていて、のこのこ出てくるワケないもんな」
「……………………は、ははは。そ、そうだな! その通りだ!」
「こんな人気(ひとけ)の多い場所に出てくるなど、自殺行為だ。居るはずがない! はっはっは!」
そんな話は初耳で、おもわず悲鳴をあげそうになりました。ですがそうするとバレ兼ねないためグッと堪え、必死に大笑いをしました。
「だよな。悪かった。じゃあな――? アンタら、街を出ていくのか? さっき入ってきたばっかりだろ……?」
「だ、大事な用事を思い出したんだよ! じゃあな!!」
「用事を済ませたら戻ってくるさ! でっ、では失礼する!!」
ここに居たら気付かれ捕まってしまう――。そう感じた二人は慌てて踵を返し、大事な目的がありましたが、人気(ひとけ)がない山へと逃げ帰ることになったのでした。
そうしてフロリアンとジェロームは『嘘の指名手配書』を信じてしまい、その結果――
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