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第12話 広まっていた理由~ 暗躍~ 俯瞰視点
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「なるほど……。アレクの話は、紛れもない事実だったようだな」
「信じられなかった、信じたくはなかったのですが……。確固たる証拠がありますものね。信じざるを得ませんわ」
それは、今から2年ほど前のことでした――。
この国ラガールスの政治的中心地、王族が住まう王城『ラガールス城』。その一室では第二王子テオドールとテオドールの婚約者であり筆頭公爵令嬢であるロールが――アレクシの友人2人が、目の前にある書類に向けて大きなため息を吐いていました。
――エリア―ヌとフロリアンが、何度も互いの屋敷を訪れていた――。
――エリア―ヌとフロリアンが、お忍びで何度も外出をしていた――。
――フィアファーク家の使者がアリサリア家を訪れ、口外するなと改めて釘を刺していた――。
などなど。アレクシが用意した証拠資料を見て、念のため二人が独自に裏どりをした結果――。『快復した直後に心変わりをしていた』『両家で圧力をかけ黙らせている』という明らかな証拠が手に入ったため、二人は呆れ果てていたのです。
「5年。あまりにも多くの時間を犠牲にして救ってくれた人を、ああもあっさり裏切るとはな……。信じられない、なんて愚かなんだ」
「どうしようもない人間達による、最悪のマリアージュですわ。どちらも、決して許してはなりませんわ」
「ああ、このままにしてなどおけない。……アレク、俺達は君の手伝いをすると決めた。裁きに対する要望があるなら聞く、遠慮なくオーダーしてくれ」
テオドールとロールが対面へと真剣な眼差しを送り、そうすると――そこにいたアレクシは、まずソファーから立ち上がり感謝の一礼を行います。そうして流麗な所作で再び着席すると、「できるだけ苦しめた上で罰を与えたいと思っております」と返しました。
――5年間によって生まれてしまった加齢や容姿の変化を、あのような形で指摘し蔑んだこと――。
――心と身体を、ボロボロに傷つけたこと――。
アレクシはそこに、激しい怒りを覚えていたのです。
「ですので真実の公表はあの者達が結婚をした直後とし、その際にはこういった行動を予定しております」
そのため彼はしっかりと『お礼』を用意し、その時の訪れを待っていたのですが――
『顔っ!? 顔がどうしたのですか!? 俺の顔がどうしたと――うわああああああああああああああ!?』
コブが再び現れるという予想外が発生したため、予定を変更。関係者の性質を鑑みて『いざこざ』が起きると予想し敢えてじっくりと放置をし、
「そろそろ、頃合いだね。さあ、もう一つの『お礼』を始めようか」
エリア―ヌには――元凶の片割れにはある程度ダメージを与えられたので、いよいよ本命への攻撃を開始。その第一歩として、集めていた証拠を社交界中にばらまいていたのでした。
「信じられなかった、信じたくはなかったのですが……。確固たる証拠がありますものね。信じざるを得ませんわ」
それは、今から2年ほど前のことでした――。
この国ラガールスの政治的中心地、王族が住まう王城『ラガールス城』。その一室では第二王子テオドールとテオドールの婚約者であり筆頭公爵令嬢であるロールが――アレクシの友人2人が、目の前にある書類に向けて大きなため息を吐いていました。
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「5年。あまりにも多くの時間を犠牲にして救ってくれた人を、ああもあっさり裏切るとはな……。信じられない、なんて愚かなんだ」
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「ああ、このままにしてなどおけない。……アレク、俺達は君の手伝いをすると決めた。裁きに対する要望があるなら聞く、遠慮なくオーダーしてくれ」
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そのため彼はしっかりと『お礼』を用意し、その時の訪れを待っていたのですが――
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「そろそろ、頃合いだね。さあ、もう一つの『お礼』を始めようか」
エリア―ヌには――元凶の片割れにはある程度ダメージを与えられたので、いよいよ本命への攻撃を開始。その第一歩として、集めていた証拠を社交界中にばらまいていたのでした。
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