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第8話 その結果 俯瞰視点(2)
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「お父様っ、早く教えてくださいましっ! どうしてあのように仰るんですのっ⁉ なぜわざわざっ、こんなところに移動をするんですのっ⁉」
婚約の解消は認めない――。大声で否定をされ、更には手を引っ張られて廊下に出る。いくつもの予想外に見舞われたエリア―ヌは、不満げに目を吊り上げました。
「まったく理解ができませんわっ! お父様はわたくしが不幸になっても構わないと仰りますのっ!?」
「そんなはずないだろうっ。……エリア―ヌよ。順に説明しよう」
父モリスは、即座に否定。大きくため息を吐いてから、右側にある応接室の扉を――フロリアンを、一瞥しました。
「わたしがああいった形での解消を、大急ぎで止めた理由。それは、そんな真似をすればお前は――我が家は、終わってしまうからだ」
「………………。え…………?」
イライラとしながら、言い分を聞いていたエリア―ヌ。突如理解できない言葉が飛び出し、彼女は間抜けに口を開けてしまいました。
「終わる……? どうにもならないコブ男が居なくなるのに……? どうして、そうなりますの……」
「…………それはな……。貴族界どころか市井にまで、お前達の関係とコブの再発が浸透してしまっているからだよ……」
フロリアンとの関係がエリアーヌによる略奪だと悟られないよう、総力を挙げて『自然な形で出会い、相思相愛となった』と言い広めていました。大勢の前でコブが再び現れたため、国内で知らない人はいない状態となっていました。
そんな状況下で『解消』を知ったら、『捨てた』と思われてしまう。
それは違法ではありませんが、周囲の信頼を失くするには充分すぎる行動でした。
いくら地位と力があっても、全貴族――全国民に白眼視されたら、どうにもならなくなってしまう。
そういったあまりにも大きな害があるため、モリスは血相を変えて止めていたのです。
「お、お父様。けれど……。それは、フロリアンおよびフィアフォーク家の強い希望だと思わせたら、解消される問題ですわよ……?」
前回は偶然調合できていたらしく、マノンは必死に頑張ってくれたが再現できなかった――。あの5年の間にいくつも苦しい思いをさせていて、大切な人を苦しめるのはもう嫌だった――。だから無理を言って別れていただき、新たな人生を進んでいただくことにした――。などなど。
もちろんエリア―ヌは、自分達がダメージを受けずに済む方法を考えていました。
なので、用意していたものの説明を丁寧に行っていって――
「駄目だ。それでは駄目なのだ。結果は微塵も変わらんのだよ」
伝え終わるや、左右への首振りが返ってきました。
エリア―ヌが用意していたシナリオが、即却下された理由。それは――
婚約の解消は認めない――。大声で否定をされ、更には手を引っ張られて廊下に出る。いくつもの予想外に見舞われたエリア―ヌは、不満げに目を吊り上げました。
「まったく理解ができませんわっ! お父様はわたくしが不幸になっても構わないと仰りますのっ!?」
「そんなはずないだろうっ。……エリア―ヌよ。順に説明しよう」
父モリスは、即座に否定。大きくため息を吐いてから、右側にある応接室の扉を――フロリアンを、一瞥しました。
「わたしがああいった形での解消を、大急ぎで止めた理由。それは、そんな真似をすればお前は――我が家は、終わってしまうからだ」
「………………。え…………?」
イライラとしながら、言い分を聞いていたエリア―ヌ。突如理解できない言葉が飛び出し、彼女は間抜けに口を開けてしまいました。
「終わる……? どうにもならないコブ男が居なくなるのに……? どうして、そうなりますの……」
「…………それはな……。貴族界どころか市井にまで、お前達の関係とコブの再発が浸透してしまっているからだよ……」
フロリアンとの関係がエリアーヌによる略奪だと悟られないよう、総力を挙げて『自然な形で出会い、相思相愛となった』と言い広めていました。大勢の前でコブが再び現れたため、国内で知らない人はいない状態となっていました。
そんな状況下で『解消』を知ったら、『捨てた』と思われてしまう。
それは違法ではありませんが、周囲の信頼を失くするには充分すぎる行動でした。
いくら地位と力があっても、全貴族――全国民に白眼視されたら、どうにもならなくなってしまう。
そういったあまりにも大きな害があるため、モリスは血相を変えて止めていたのです。
「お、お父様。けれど……。それは、フロリアンおよびフィアフォーク家の強い希望だと思わせたら、解消される問題ですわよ……?」
前回は偶然調合できていたらしく、マノンは必死に頑張ってくれたが再現できなかった――。あの5年の間にいくつも苦しい思いをさせていて、大切な人を苦しめるのはもう嫌だった――。だから無理を言って別れていただき、新たな人生を進んでいただくことにした――。などなど。
もちろんエリア―ヌは、自分達がダメージを受けずに済む方法を考えていました。
なので、用意していたものの説明を丁寧に行っていって――
「駄目だ。それでは駄目なのだ。結果は微塵も変わらんのだよ」
伝え終わるや、左右への首振りが返ってきました。
エリア―ヌが用意していたシナリオが、即却下された理由。それは――
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