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第3話 これは……? 俯瞰視点(1)
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「おおっ、よかった! 目を覚ましたのだなっ!」
「………………。え……? ちち、うえ……? それに…………エリア―ヌ様、エリア―ヌの父も……。いったい、どうされたのですか――ああっ! ああそうかっ、そういうことだったんだっ! あれは夢っ、俺は夢を見ていたんだ!」
フロリアンが気が付くと3人に覗き込まれていて、自分はベッドで仰向けになっていた。その状況によってこれまでの出来事はタチの悪い夢だと判断し、上体を起こしながら苦笑いを浮かべました。
「はぁ、よかった。本当によかった。アレは悪夢だったんだ。そうか、そうだよな。だって、アレはあの日完治したんだ。コブなんてもうなくて、ちゃんと凹凸のない顔を取り戻したのだから――うぎやあああああああああああああ!? ぁぁぁあぁぁあああああ⁉」
念のために、顔に触れてみる。それによって彼はようやく、気づいてしまいました。
どっさりと、コブがあることに。
「なくない⁉ あるっ⁉ 俺の顔に凹凸がある!? 取り戻せていない!? あぇっ、あれぃはあっ! 悪夢じゃなかったのかぁぁぁぁあああぁぁぁああ!?」
「…………フロリアンよ、あれは現実に起きたこと……。突如としてお前にコブが現れ、そのショックでお前は倒れてしまったのだよ……」
夥しい量のショックに襲われたことにより、あの直後フロリアンは失神。水たまりが出来るほどにどっさりと失禁した状態で会場から連れ出され、建物内の一室で翌日の午前10時まで――13時間近く、うなされながら気を失っていたのです。
「ああ⁉ ぉああああああ‼ そんな!! アレは現実だったなんて!! なぜだぁあ!? なぜぇこんなことになっているんだ!?」
「……わたくし達にも、分かりませんわ……」
「すぐに家専属の名医に診させたが……。皆目見当がつかんとのことだ……」
気絶している間に徹底的に調べていましたが、異常は一切なし。『健康体そのもの』『原因不明』という、以前と同じ診断結果が出ていたのでした。
「そんな……! そんなぁぁああ……!! せっかく治っていたのに……!! どうすればいいんだっ!? どうしたらいいんだぁよぉぉぉぉぉ⁉ うぎぁぁぉあああううああぁあああああああぁああ‼」
「落ち着けっ、安心するんだフロリアン! お前が言っているように、お前は一度治っているんだっ! ならばもう一度治せばいいだけだ!」
マノンが5年の歳月を費やし完成させた、16の薬草を配合して作った薬膳スープ。特効薬。
あれを飲めば簡単に治る。父ジェロームは早口でかつての出来事を思い出させ、そうすればフロリアンから動揺が消えてゆきました。
「そ、そうだったっ。焦りのせいで抜け落ちてしまっていた! コブが出来たのならまた治せばいい。イージーなことだった!」
「とはいえあんな風に別れた以上、あちらは素直に首を縦に振らんだろう。そこでちょうどこれより、アリサリア伯爵邸に使者を送り圧力をかけようと――」
「準備ができているんですね!? ならば俺が直接行きます!!」
こんな状態は、一秒でも早く終わらせたい。一秒でも早くあのスープを飲みたい。そんな理由でフロリアンはベッドから飛び降り、コブを隠せる仮面をつけて大急ぎで馬車に飛び乗ります。
そうして彼は特効薬を求めて大地を進み、やがてアリサリア伯爵邸へとたどり着き――
「………………。え……? ちち、うえ……? それに…………エリア―ヌ様、エリア―ヌの父も……。いったい、どうされたのですか――ああっ! ああそうかっ、そういうことだったんだっ! あれは夢っ、俺は夢を見ていたんだ!」
フロリアンが気が付くと3人に覗き込まれていて、自分はベッドで仰向けになっていた。その状況によってこれまでの出来事はタチの悪い夢だと判断し、上体を起こしながら苦笑いを浮かべました。
「はぁ、よかった。本当によかった。アレは悪夢だったんだ。そうか、そうだよな。だって、アレはあの日完治したんだ。コブなんてもうなくて、ちゃんと凹凸のない顔を取り戻したのだから――うぎやあああああああああああああ!? ぁぁぁあぁぁあああああ⁉」
念のために、顔に触れてみる。それによって彼はようやく、気づいてしまいました。
どっさりと、コブがあることに。
「なくない⁉ あるっ⁉ 俺の顔に凹凸がある!? 取り戻せていない!? あぇっ、あれぃはあっ! 悪夢じゃなかったのかぁぁぁぁあああぁぁぁああ!?」
「…………フロリアンよ、あれは現実に起きたこと……。突如としてお前にコブが現れ、そのショックでお前は倒れてしまったのだよ……」
夥しい量のショックに襲われたことにより、あの直後フロリアンは失神。水たまりが出来るほどにどっさりと失禁した状態で会場から連れ出され、建物内の一室で翌日の午前10時まで――13時間近く、うなされながら気を失っていたのです。
「ああ⁉ ぉああああああ‼ そんな!! アレは現実だったなんて!! なぜだぁあ!? なぜぇこんなことになっているんだ!?」
「……わたくし達にも、分かりませんわ……」
「すぐに家専属の名医に診させたが……。皆目見当がつかんとのことだ……」
気絶している間に徹底的に調べていましたが、異常は一切なし。『健康体そのもの』『原因不明』という、以前と同じ診断結果が出ていたのでした。
「そんな……! そんなぁぁああ……!! せっかく治っていたのに……!! どうすればいいんだっ!? どうしたらいいんだぁよぉぉぉぉぉ⁉ うぎぁぁぉあああううああぁあああああああぁああ‼」
「落ち着けっ、安心するんだフロリアン! お前が言っているように、お前は一度治っているんだっ! ならばもう一度治せばいいだけだ!」
マノンが5年の歳月を費やし完成させた、16の薬草を配合して作った薬膳スープ。特効薬。
あれを飲めば簡単に治る。父ジェロームは早口でかつての出来事を思い出させ、そうすればフロリアンから動揺が消えてゆきました。
「そ、そうだったっ。焦りのせいで抜け落ちてしまっていた! コブが出来たのならまた治せばいい。イージーなことだった!」
「とはいえあんな風に別れた以上、あちらは素直に首を縦に振らんだろう。そこでちょうどこれより、アリサリア伯爵邸に使者を送り圧力をかけようと――」
「準備ができているんですね!? ならば俺が直接行きます!!」
こんな状態は、一秒でも早く終わらせたい。一秒でも早くあのスープを飲みたい。そんな理由でフロリアンはベッドから飛び降り、コブを隠せる仮面をつけて大急ぎで馬車に飛び乗ります。
そうして彼は特効薬を求めて大地を進み、やがてアリサリア伯爵邸へとたどり着き――
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