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第19話 180度 オルネラ視点(1)
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「ついにこの日がやってきたな。おめでとうオルネラ」
「ありがとうございます。幸せですわ」
式場へと繋がる扉の前。そこでわたくしは、お父様に頷きを返した。
今日は、正式にレイオンと夫婦になれる日。やっと、この日が来た。
「オルネラよ。この日を迎えるまでに、色々なことがあったな」
「ええ、お父様。色々なことがありましたわ」
せっかくレイオンに興味を持ったのに、当のレイオンはアリア・ニーラックに恋をしてしまっていたり。脅迫が上手くいきかけていたのにおじ様達が口を滑らせてしまい、最悪な事態になりかけてしまったり。
とにかく最悪の連続だった。
あの事故が起きてくれるまでは。
あの事故のおかげでわたくしの脅迫もアリアへの好意も、すべて忘れてしまった。
恋愛面に関しては頭の中がまっさらになったおかげで、こうして両想いで今日という日を迎えられる。
ふふふふふ。事故を引き起こしてくれたあの日の雨には、感謝しきれないわね。
「苦しみや苦労を乗り越えた先には、大きな幸せが待っている。真実でした。レイオンの心だけではなく身体もわたくしで染められる。楽しみですわ」
確実に夫婦になるのだから肉体関係を持ってもよかったのだけれど、レイオンがかたくなに拒んだ。あろうことか、キスさえもしようとしなかった。
でもそんな我慢も、今夜でお仕舞。
ふたりで過ごす初めての夜が、今から楽しみだわ。
「お前の笑顔を見られて何よりだ。さて、行くとしようか。新郎殿のもとへな」
「はい。そうですね、参りましょう、お父様」
入場の時間となり、わたくし達は入場し――ヴァージンロードを進んでいく。
たくさんの拍手と歓声、ピアノの生演奏で彩られた、愛する人へと続く道。美しく鮮やかな真っ赤な道を優雅に進み、ここでお父様とはお別れ。
ここからはわたくし独りとなり、けれどすぐに独りの時間は終わる。これからはお父様の代わりに、レイオンがわたくしを――
「???」
――レイオンがわたくしをエスコートする。と思っていたら。レイオンが突然180度体勢を変え、わたくしに背を向けた。
「「「「「???」」」」」
「「「「「???」」」」」
「れ、レイオン?」
「………………」
わたくしの問いかけを無視して彼は歩き出し、??? ひとりで祭壇の前に立ってしまった。
??? ???
なにを、しているの……?
「ね、ねえ。れ、れいお――」
「驚かせてすみません。突然ですが、これから皆様にお伝えしなければならないことがあります」
困惑しながら声をかけていると、ようやくレイオンは口を開いた。
そして、続いて彼は――
「僕はオルネラとは結婚しません。本日の結婚式は中止とさせていただきます」
――……………………。
信じられないことを、言い出したのだった……。
「ありがとうございます。幸せですわ」
式場へと繋がる扉の前。そこでわたくしは、お父様に頷きを返した。
今日は、正式にレイオンと夫婦になれる日。やっと、この日が来た。
「オルネラよ。この日を迎えるまでに、色々なことがあったな」
「ええ、お父様。色々なことがありましたわ」
せっかくレイオンに興味を持ったのに、当のレイオンはアリア・ニーラックに恋をしてしまっていたり。脅迫が上手くいきかけていたのにおじ様達が口を滑らせてしまい、最悪な事態になりかけてしまったり。
とにかく最悪の連続だった。
あの事故が起きてくれるまでは。
あの事故のおかげでわたくしの脅迫もアリアへの好意も、すべて忘れてしまった。
恋愛面に関しては頭の中がまっさらになったおかげで、こうして両想いで今日という日を迎えられる。
ふふふふふ。事故を引き起こしてくれたあの日の雨には、感謝しきれないわね。
「苦しみや苦労を乗り越えた先には、大きな幸せが待っている。真実でした。レイオンの心だけではなく身体もわたくしで染められる。楽しみですわ」
確実に夫婦になるのだから肉体関係を持ってもよかったのだけれど、レイオンがかたくなに拒んだ。あろうことか、キスさえもしようとしなかった。
でもそんな我慢も、今夜でお仕舞。
ふたりで過ごす初めての夜が、今から楽しみだわ。
「お前の笑顔を見られて何よりだ。さて、行くとしようか。新郎殿のもとへな」
「はい。そうですね、参りましょう、お父様」
入場の時間となり、わたくし達は入場し――ヴァージンロードを進んでいく。
たくさんの拍手と歓声、ピアノの生演奏で彩られた、愛する人へと続く道。美しく鮮やかな真っ赤な道を優雅に進み、ここでお父様とはお別れ。
ここからはわたくし独りとなり、けれどすぐに独りの時間は終わる。これからはお父様の代わりに、レイオンがわたくしを――
「???」
――レイオンがわたくしをエスコートする。と思っていたら。レイオンが突然180度体勢を変え、わたくしに背を向けた。
「「「「「???」」」」」
「「「「「???」」」」」
「れ、レイオン?」
「………………」
わたくしの問いかけを無視して彼は歩き出し、??? ひとりで祭壇の前に立ってしまった。
??? ???
なにを、しているの……?
「ね、ねえ。れ、れいお――」
「驚かせてすみません。突然ですが、これから皆様にお伝えしなければならないことがあります」
困惑しながら声をかけていると、ようやくレイオンは口を開いた。
そして、続いて彼は――
「僕はオルネラとは結婚しません。本日の結婚式は中止とさせていただきます」
――……………………。
信じられないことを、言い出したのだった……。
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