大好きな人の幼馴染は、とても酷い人でした

柚木ゆず

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第11話 知らない間に起きていたこと 俯瞰視点

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「……………………。僕は……いつの間にベッドに入ったのでしょうか……?」
「!? レイオン!?」
「レイオン!! 奇跡だわ……!! 奇跡が起きたわ……!!」

 それは、アリアが30日間の祈りを終えた2日後のことでした。ずっと閉じていた二つの瞼が突然上がり、レイオンは左右に首を巡らせました。

「レイオン! わたしが分かるかっ!?」
「分かるわよね!? ねえっ! わたくし達は誰!? 名前は!? ここはどこ!? 手足はっ、指は動く!?」
「??? 父上と母上、ですよね? 名前はバーダとルーナ。ここは僕の部屋、手足は…………からだが固まっているような感覚があり、動かしにくさはありますが――。手も足も、指も、ちゃんと動きますよ」

 眠り続けたことによる筋肉への影響でリハビリは必要でしたが、幸いにも身体への後遺症はありませんでした。
 ただ――

「そ、そうなのっ。じゃあもう少し確認するわねっ! これからわたくし達が質問をするから順に答えて頂戴!」
「最低でも10秒以内に答えてくれ! いくぞっ?」
「え? は、はい。分かりました。ど、どうぞ」

 ――医者が用意していた、身体以外の状態を確認するためのマニュアル。それに則りバーダとルーナが確認をした結果、

「………………なんてことなの……」
「………………記憶が、欠けてしまっている……」

 およそ3年分の記憶がないことが、判明したのです。

「…………そうだったのですね……。僕は事故の際に頭を打って……今日までずっと眠り続けていたのですか……」
「そうなのよ。それでね――今はやめておきましょうか」
「そうだな。しばらくはやめておこう」

 一気に情報が入ってしまうと、脳に更なる悪影響が生じる可能性がある――。医者から渡されているマニュアルにはそうありましたし、実際駆け付けた専属医もしばらくの精神的な安静を明言しました。
 そこでバーダとルーナは空白の記憶や事故当時の出来事を伝えず、当分はレイオンを静かに休ませることになり――その判断が、最悪の事態を生み出してしまうのでした。


「え!? レイオンが目覚めた!? しかも殆ど後遺症がない!?」

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