大好きな人の幼馴染は、とても酷い人でした

柚木ゆず

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第8話 物語のような未来を手に入れるために アリア視点(3)

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((レイオン様。レイオン様。レイオン様。レイオン様))

((レイオン様。レイオン様。レイオン様。レイオン様))

((レイオン様。レイオン様。レイオン様。レイオン様))

((レイオン様。レイオン様。レイオン様。レイオン様))

 2日目。3日目。4日目。5日目。6日目。7日目。8日目。9日目。10日目。
 体調に問題なく、毎日1時間のお祈りを行えました。

((レイオン様。レイオン様。レイオン様。レイオン様))

「お疲れ様、アリア。はい、温かい飲み物よ」
「ありがとうございます。いただき――くしゅんっ。あ、お母様平気ですよ。鼻がかゆかっただけで、寒気などはありません」

 11日目。12日目。13日目。14日目まではつつがなく進み、15日目で小さな異変が起き始める。
 心配をしないようにああ言いましたが、少し倦怠感を覚えるようになりました。
 身体も、いつもより重くなっている気がしますが……。病は気からといいます。

((大丈夫。元気。わたしは元気です!))

 健康だと自分に言い聞かせ、普段よりも多く食事を摂って栄養をつけ、普段よりも早めに眠って体力を回復させる。
 そのかいあって16日目と17日目と18日目と19日目は不調を感じませんでしたが、

「けほっ。けほっ」
「アリアっ!?」
「お母様、ご心配なく。飲み物が気管に入ってしまっただけですので」

 20日目に再び体調が悪くなり、そこからは厳しい時間が続きました。
 どんなに言い聞かせてもご飯を食べても多く眠っても調子が楽にならず、25日目を迎える頃には明らかに発熱がありました。

((……しんどい。ふらふらする……。でも、25日目まで来ました……))

 あと5日。ここで止めると最低でも合計55日も必要になり、長期間意識不明の状態が続いていると、筋肉などの面にも悪い影響が出てしまうそうです。

「……すみません。お医者様を呼んでいただけますか?」

 さすがに、隠し通せなくなってしまった……周りの人たちに、罪悪感などを抱かせてしまう羽目になってしまいましたが……。調合していただいた薬を呑んだおかげで、これ以上熱が出ることはありませんでした。

 ――状態はよくないものの、最悪ではない――。

 そんな状態でわたしはお祈りを続け、薬による回復と1時間の浸水による悪化を交互に繰り返し、26日目、27日目、28日目、29日目を、どうにか乗り切りました。

((残り、1日))

 これさえ終われば、クリア。きっと、レイオン様も快復する。

((最後の1回。頑張りましょう……!!))

 気合を入れて眠り、翌日起きて向かう。
 体調も含め、ここまでは順調――だったのですが……。お祈りを始める直前の、午前11時55分過ぎのことでした。
 突然、最悪の事態がわたしを襲うのでした……。


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