21 / 34
第13話 連続する予想外 セルジュ視点
しおりを挟む
「……………………」
「……………………」
口づけを交わし、大きな拍手に包まれていた僕達。照れながら破顔をしていた僕達は、言葉を失い固まっていた。
なぜなら……。
『セルジュ、おめでとう。よかったな。……かねてから愛していた人と、恋人になることができて』
レティシア……。オディロン……。リステルズ家当主夫妻……。父上母上……。会場にいるはずのない人間がいて……。
父上が青筋を立てて、満面の笑みを浮かべたのだから……。
「ど、どうしてここに……!? かねて、から……!? なにをして……っ!? なにを仰られているのですか……!?」
「…………この期に及んでしらを切るか。いいだろう。ならばしっかりと、教えてやろうじゃないか」
まさか、全てバレている……!?
いっ、いいやそれはあり得ない! だって深夜に移動し夜明け前に帰っていていたっ! いつも! おまけに毎日会いたいのを我慢して定期的にしていたんだ! クロエ様の全面的なバックアップを受けているんだ! バレるはずがな――
「貴様は何かしらの理由で、レティシア嬢ではなくエレーヌ・ロレアル嬢を愛するようになった。だが交際も婚約もお前からのもので、正直に話すとノーダメージでは済まない。そこで記憶喪失のフリをし、自然な形で再スタートを切れるようにしていたのだよ」
――…………。バレて、いる……!?
な、なぜ……。こんなことに……!? 窓からの出入りは気付かれていないんだ!! クロエ様の手の者が上手く動いてくれてるんだぞっ! あり得ないことがどうして起きてしまっているんだ――おっ、落ち着けっ! 落ち着くんだセルジュ・ガ―レンド!
((取り乱してしまえば、あの日の二の舞だ))
レティ―――。うっかりそう言ってしまった直後のように、状況を酷く悪化させてしまう羽目になる。
それでいいのか? 駄目だろう! だったら冷静に振る舞いこの場を乗り切ってみせろっ!
「…………父上。それは事実無根でございます。僕の記憶は確かに失っていますし、レティシア様との解消は回復はないと痛感したからのこと。どこかで妙なものを吹き込まれたようですが――。すべて的外れですよ」
「…………そうか。ならば手を取り合っている彼女とは、今夜初めて出会ったのだな?」
「ええ、そうでございます。……記憶を失う前に、一度か二度、どこかでお見掛けしたことはあるのかもしれません。ですが失ってからは、ありません」
パーティーなどで同席とならないよう、スケジュールを調整してきた。だから一切証拠はなく、完璧に反論でき――
「そうなのか。では昨夜、『ライネルス』という宿で会っていたのはどう説明するのだ?」
な……!?
なぜそれを……。知っている……!?
「……………………」
口づけを交わし、大きな拍手に包まれていた僕達。照れながら破顔をしていた僕達は、言葉を失い固まっていた。
なぜなら……。
『セルジュ、おめでとう。よかったな。……かねてから愛していた人と、恋人になることができて』
レティシア……。オディロン……。リステルズ家当主夫妻……。父上母上……。会場にいるはずのない人間がいて……。
父上が青筋を立てて、満面の笑みを浮かべたのだから……。
「ど、どうしてここに……!? かねて、から……!? なにをして……っ!? なにを仰られているのですか……!?」
「…………この期に及んでしらを切るか。いいだろう。ならばしっかりと、教えてやろうじゃないか」
まさか、全てバレている……!?
いっ、いいやそれはあり得ない! だって深夜に移動し夜明け前に帰っていていたっ! いつも! おまけに毎日会いたいのを我慢して定期的にしていたんだ! クロエ様の全面的なバックアップを受けているんだ! バレるはずがな――
「貴様は何かしらの理由で、レティシア嬢ではなくエレーヌ・ロレアル嬢を愛するようになった。だが交際も婚約もお前からのもので、正直に話すとノーダメージでは済まない。そこで記憶喪失のフリをし、自然な形で再スタートを切れるようにしていたのだよ」
――…………。バレて、いる……!?
な、なぜ……。こんなことに……!? 窓からの出入りは気付かれていないんだ!! クロエ様の手の者が上手く動いてくれてるんだぞっ! あり得ないことがどうして起きてしまっているんだ――おっ、落ち着けっ! 落ち着くんだセルジュ・ガ―レンド!
((取り乱してしまえば、あの日の二の舞だ))
レティ―――。うっかりそう言ってしまった直後のように、状況を酷く悪化させてしまう羽目になる。
それでいいのか? 駄目だろう! だったら冷静に振る舞いこの場を乗り切ってみせろっ!
「…………父上。それは事実無根でございます。僕の記憶は確かに失っていますし、レティシア様との解消は回復はないと痛感したからのこと。どこかで妙なものを吹き込まれたようですが――。すべて的外れですよ」
「…………そうか。ならば手を取り合っている彼女とは、今夜初めて出会ったのだな?」
「ええ、そうでございます。……記憶を失う前に、一度か二度、どこかでお見掛けしたことはあるのかもしれません。ですが失ってからは、ありません」
パーティーなどで同席とならないよう、スケジュールを調整してきた。だから一切証拠はなく、完璧に反論でき――
「そうなのか。では昨夜、『ライネルス』という宿で会っていたのはどう説明するのだ?」
な……!?
なぜそれを……。知っている……!?
1
お気に入りに追加
1,082
あなたにおすすめの小説
ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
百谷シカ
恋愛
伯爵令嬢イーリス・レントリヒは、王妃アレクサンドラの侍女として宮廷で働いている。
ぽっちゃりしていて特に美人でもないので、誰の寵愛も受けないかわりに敵もいない。
ところがある日、王妃付きのコックから賄いを都合してもらった際に、酒を拝借しにきた第二王子ヨハンに見初められてしまう。
「はぁ……可愛い。丸くて白くてぷにぷにしてて、食べちゃいたいよ」
芸術好きで戦争嫌いの平和主義者ヨハンは、イーリスの見た目から性格までとにかく大好き!
♡無欲なぽっちゃり令嬢が幸せを掴むシンデレラストーリー♡
====================================
(他ベリーズカフェ様・野いちご様、エブリスタ様に投稿)
「これは私ですが、そちらは私ではありません」
イチイ アキラ
恋愛
試験結果が貼り出された朝。
その掲示を見に来ていたマリアは、王子のハロルドに指をつきつけられ、告げられた。
「婚約破棄だ!」
と。
その理由は、マリアが試験に不正をしているからだという。
マリアの返事は…。
前世がある意味とんでもないひとりの女性のお話。
離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない
月山 歩
恋愛
婚約中のセシーリアは隣国より侵略され、婚約者と共に逃げるが、婚約者を逃すため、深い森の中で、離れ離れになる。一人になってしまったセシーリアは命の危機に直面して、自分の力で生きたいと強く思う。それを助けるのは、彼女を諦めきれない幼馴染の若き王で。
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。
アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。
もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。
【完結】急に態度を変えて来られても貴方のことは好きでも何でもありません!
珊瑚
恋愛
太っているせいで婚約者に罵られていたシャーロット。見切りをつけ、婚約破棄の書類を纏め、友達と自由に遊んだり、関係改善を諦めたら一気に激痩せ。今更態度を変えてきましたが私の貴方への気持ちが変わることは金輪際ありません。
【完】ええ!?わたし当て馬じゃ無いんですか!?
112
恋愛
ショーデ侯爵家の令嬢ルイーズは、王太子殿下の婚約者候補として、王宮に上がった。
目的は王太子の婚約者となること──でなく、父からの命で、リンドゲール侯爵家のシャルロット嬢を婚約者となるように手助けする。
助けが功を奏してか、最終候補にシャルロットが選ばれるが、特に何もしていないルイーズも何故か選ばれる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる