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第8話 想う人が協力者だったら……? レティシア視点(1)
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「こんなことに、なってしまうなんて……。ごめんなさい、お兄様……」
声が自然と震え、私は俯き肩を窄めます。
あの時セルジュ様を怪しいと言わなければ、今回の尾行は発生していませんでした。こんな形で、想う方のお屋敷を目にすることはありませんでした。
何かしらの裏がある方だと、分かってよかった。
お兄様が、こういった方と関係を結ばずに済んでよかった。
そういった安堵の気持ちはあります。ですが……。
形がどうであれ、想っていた人に幻滅するのは辛いこと。
私のせいで、お兄様が傷ついてしまった。
そういった気持ちが湧いてきて、申し訳ないのです。
よかった、でも、よくなかった。複雑な思いが頭の中で交錯し、自然と顔は下を向いてしまいます。
「……もしかすると私がセルジュ様に応えなければ、こんなことになっていなかったかもしれません……。ファレティーラ様がお手を貸すことも、なかったのかもしれません……。滅茶苦茶に、してしまいました……」
「滅茶苦茶? レティシアは、さっきから何を言っているんだ? キツネ男のあとをつけて、更に怪しい協力者を特定できた。プラスしかないじゃないか」
お兄様は眉を寄せながら片膝を突き、当惑しながら私の顔を見上げてくださります。
その様子には少しも、嘘や誤魔化しはなくって……。オディロンお兄様は本当に、戸惑われているようです。
「クロエ・ファレティーラがセルジュを支援していた、大きな前進だろ? レティシアが言っていること、考えていることを理解できないんだよ。俺に詳しく教えてくれ」
「お、お兄様……? は、はい……っ。分かりました……っ」
ご自分の恋心を隠し、お気を遣ってくださっているようは映りません。ですので、頭の中にあるものを、全部言葉にすることにしました。
「私があのように口にした理由。それは、安堵と申し訳なさがあったからなのです」
何かがある方だと気付けて、ホッとしている点などなど。
幻滅してしまうのは、どんな理由があっても辛いと感じている点などなど。
良い点と悪い点を包み隠さずお伝えし、そうすると――。そうすると……っ。お兄様の口から、信じられない言葉が返ってきたのでした。
「待ってくれっ、どうしてそうなっているんだ!? クロエ・ファレティーラを愛したことなんて、一度もないぞっ」
声が自然と震え、私は俯き肩を窄めます。
あの時セルジュ様を怪しいと言わなければ、今回の尾行は発生していませんでした。こんな形で、想う方のお屋敷を目にすることはありませんでした。
何かしらの裏がある方だと、分かってよかった。
お兄様が、こういった方と関係を結ばずに済んでよかった。
そういった安堵の気持ちはあります。ですが……。
形がどうであれ、想っていた人に幻滅するのは辛いこと。
私のせいで、お兄様が傷ついてしまった。
そういった気持ちが湧いてきて、申し訳ないのです。
よかった、でも、よくなかった。複雑な思いが頭の中で交錯し、自然と顔は下を向いてしまいます。
「……もしかすると私がセルジュ様に応えなければ、こんなことになっていなかったかもしれません……。ファレティーラ様がお手を貸すことも、なかったのかもしれません……。滅茶苦茶に、してしまいました……」
「滅茶苦茶? レティシアは、さっきから何を言っているんだ? キツネ男のあとをつけて、更に怪しい協力者を特定できた。プラスしかないじゃないか」
お兄様は眉を寄せながら片膝を突き、当惑しながら私の顔を見上げてくださります。
その様子には少しも、嘘や誤魔化しはなくって……。オディロンお兄様は本当に、戸惑われているようです。
「クロエ・ファレティーラがセルジュを支援していた、大きな前進だろ? レティシアが言っていること、考えていることを理解できないんだよ。俺に詳しく教えてくれ」
「お、お兄様……? は、はい……っ。分かりました……っ」
ご自分の恋心を隠し、お気を遣ってくださっているようは映りません。ですので、頭の中にあるものを、全部言葉にすることにしました。
「私があのように口にした理由。それは、安堵と申し訳なさがあったからなのです」
何かがある方だと気付けて、ホッとしている点などなど。
幻滅してしまうのは、どんな理由があっても辛いと感じている点などなど。
良い点と悪い点を包み隠さずお伝えし、そうすると――。そうすると……っ。お兄様の口から、信じられない言葉が返ってきたのでした。
「待ってくれっ、どうしてそうなっているんだ!? クロエ・ファレティーラを愛したことなんて、一度もないぞっ」
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