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第7話 回想 レティシア視点
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「あ、あの……っ。ガ―レンド様に、お伺いしたいことがありまして……っ。お時間をいただけませんか?」
それは今から、1年半近く前。私達3人が、まだ学院に籍を置いていた頃のことです。
お兄様経由で親しくなった、ガ―レンド家のセルジュ様。私はお兄様に内緒で、セルジュ様と大切なお話をすることになったのです。
「親友の『妹』の頼みなら、断れないよ。僕に、なにを聞きたいのかな?」
「そ、その……。お、お兄様の……」
「オディロン? オディロンが、どうかしたのかな?」
「お、お兄様の……っ。お好きな異性のタイプですとか、髪型とか癖ですとか、ご存じありませんか……っ?」
お父様同士がかつて学友、現在も親友で、その縁でずっと一緒だったオディロンお兄様。いつも優しくて頼りになるお兄様が、大好きでした。血の繋がらない兄のような存在として、そして――。異性として。
でも。お兄様は私を妹と思われていて、しっかりと努力をしないと振り向いてもらえない。
そう思って私はその日、セルジュ様にヒントを伺ったのです。
「同性ならではの視点で見たものを、お教えいただけたらなと、思っておりまして……っ。ガーレンド様、お願い致します……っ」
「そっか、君はオディロンが好きなんだね……。…………」
「ガ―レンド様? ど、どうされましたか……?」
「……酷な話になるけど、嘘をつくのはもっと酷だね。…………リステルズ様。実は、彼には……。オディロンにはね……。好きな人がいるみたいなんだよ……」
え――。
私は、目の前が真っ暗になってしまいました。
頭の中がグルグルと回転し、激しい立ち眩みを覚えていました。
「隣のクラスにいらっしゃる、ファレティーラ侯爵家のクロエ様。時々2人で喋っているのを、君も見たことがあるだろう? あの方に惹かれていてるんだよ……」
「…………。そ、そう、なのですね……。ファレティーラ、様を……。全然、知りませんでした……」
「オディロンは意外と照れ屋で、そういった部分は隠す男なんだよ……。今朝も2人で話をしていて……。まだ告白は行わないみたいだけれど、いずれはあの御方に――あっ! リステルズ様っ!」
「ごめんなさいガ―レンド様……っ。ありが、とう、ございっ、まし、た……っ」
涙をお見せしたら、もっとご迷惑をかけてしまう。ですので私は、急いでその場を去って――。
「ガ―レンド様にお聞きして、よかった……。もしも告白していたら、気まずくなっていましたよね……っ。よかった、です……っ。よかっ、た……っ。…………ぅう。ぅぅぅぅぅぅぅぅ…………っ」
その日は早退をして部屋に籠って、たくさん泣いて。
こうして私の初恋は、終わりを告げたのでした――。
それは今から、1年半近く前。私達3人が、まだ学院に籍を置いていた頃のことです。
お兄様経由で親しくなった、ガ―レンド家のセルジュ様。私はお兄様に内緒で、セルジュ様と大切なお話をすることになったのです。
「親友の『妹』の頼みなら、断れないよ。僕に、なにを聞きたいのかな?」
「そ、その……。お、お兄様の……」
「オディロン? オディロンが、どうかしたのかな?」
「お、お兄様の……っ。お好きな異性のタイプですとか、髪型とか癖ですとか、ご存じありませんか……っ?」
お父様同士がかつて学友、現在も親友で、その縁でずっと一緒だったオディロンお兄様。いつも優しくて頼りになるお兄様が、大好きでした。血の繋がらない兄のような存在として、そして――。異性として。
でも。お兄様は私を妹と思われていて、しっかりと努力をしないと振り向いてもらえない。
そう思って私はその日、セルジュ様にヒントを伺ったのです。
「同性ならではの視点で見たものを、お教えいただけたらなと、思っておりまして……っ。ガーレンド様、お願い致します……っ」
「そっか、君はオディロンが好きなんだね……。…………」
「ガ―レンド様? ど、どうされましたか……?」
「……酷な話になるけど、嘘をつくのはもっと酷だね。…………リステルズ様。実は、彼には……。オディロンにはね……。好きな人がいるみたいなんだよ……」
え――。
私は、目の前が真っ暗になってしまいました。
頭の中がグルグルと回転し、激しい立ち眩みを覚えていました。
「隣のクラスにいらっしゃる、ファレティーラ侯爵家のクロエ様。時々2人で喋っているのを、君も見たことがあるだろう? あの方に惹かれていてるんだよ……」
「…………。そ、そう、なのですね……。ファレティーラ、様を……。全然、知りませんでした……」
「オディロンは意外と照れ屋で、そういった部分は隠す男なんだよ……。今朝も2人で話をしていて……。まだ告白は行わないみたいだけれど、いずれはあの御方に――あっ! リステルズ様っ!」
「ごめんなさいガ―レンド様……っ。ありが、とう、ございっ、まし、た……っ」
涙をお見せしたら、もっとご迷惑をかけてしまう。ですので私は、急いでその場を去って――。
「ガ―レンド様にお聞きして、よかった……。もしも告白していたら、気まずくなっていましたよね……っ。よかった、です……っ。よかっ、た……っ。…………ぅう。ぅぅぅぅぅぅぅぅ…………っ」
その日は早退をして部屋に籠って、たくさん泣いて。
こうして私の初恋は、終わりを告げたのでした――。
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