邪魔者の婚約者を消す方法

柚木ゆず

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エピローグ 邪魔者の婚約者を消そうとした結果 シルヴァン視点

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 あの日から、2週間が経った。
 今日はジャクリーヌの誕生日。
 2週間前にマルセルの殺害が無事終わっていて、当初の予定では2人仲良く記念日をお祝いするはずだったんだ。2人手を取り合って、笑顔が絶えない一日になるはずだったんだ。
 なのに――

「も、もう駄目だ……! これ以上は動けない……! 頼むっ、少し休ませてくれぇ……!」

 ――俺の隣にジャクリーヌはいなくて、俺は汗びっしょりになって絶望の表情を浮かべていた。

『だが、だ。お前達の血肉は、領民達の努力と汗で出来ていると言っても過言ではない。つまり今命を落とすと、領民達に何も返さぬまま終わってしまう』
『そこで我々当主三人で相談した結果、とある罰を与えることにした。……ジャクリーヌとシルヴァン君を連れて行ってくれ』

 俺とジャクリーヌに与えられた罰は、農作業。
 朝6時から陽が沈むまで畑で動き回り、領民達が食べる作物を育てさせられることになったのだった。

『ジャクリーヌとは別々!? せめて一緒に働かせてくれ!!』
『シルヴァンっ! シルヴァンっ! お願い! 一緒に居させてぇ!!』
『お前達に幸せになる権利はない、旦那様はそう仰られています。接触は金輪際叶いませんよ』

 しかも、だ……。俺達は別の場所に配置されていて、ジャクリーヌには二度と会えなくなってしまったのだ。

「も、もう腕も脚もパンパンなんだよ……!! 5分でもいいから……! 休ませてくれ……!!」
「休息は昼の30分のみと伝えたはずです。認められませんよ」
「そこをなんとか!! むかしのよしみで――ぎゃああ!?」
「しつこいですよ。これ以上痛い思いをしたくないのであれば、労働に戻ってください」

 周りにいるのはウチの人間だから物腰は柔らかいが、『休んだらむち打ち』は淡々と遂行される。だから従わざる得なくて、必死になって働いて……。
 死ぬ寸前になる頃、ようやく一日の労働が終わって……。
 ようやく解放されるものの、それは僅かな間だけ……。朝が来ればまた、この一日が始まってしまう……。

「いやだ……。もういやだ……。頼む……! 時間よ戻ってくれ……!! 今度はちゃんと正しい選択をするから……! マルセルを大事にするから、戻してくれ……!!」

 もう続けたくないから、お願いする。
 するけど、いくら懇願しても叶ってはくれない。

「ぁ、ぁぁぁ。ぁぁぁぁぁ……」

 明日も明後日もその先も、ずっと。
 最愛の人の手を握ることも、姿を見ることもできずに、ただ働くだけ。俺は……。俺達は……。地獄の日々の中で、生きてゆく羽目になってしまったのだった……。
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