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第6話 さようなら シルヴァン視点(3)
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((……え? ええ……!?))
叩いたら蜂が飛び出してきて、一斉にマルセルを刺すようになっているのに。いつまで経っても、一匹さえも現れない。
どうなってるんだ……!?
((刺激が足りない……!?))「おっと危ない!」
叩き方が弱かったのかもしれない。俺は躓いたフリをして木に手を付き、思い切り力をかけた。
あくまで感覚だが、さっきの3~4倍は衝撃が走ったはず。これなら――
((…………駄目だ……!))
十数秒待ってみたものの、前回と同じくなんの反応もない。
予行演習をした際は、これより少ない力で蜂は反応していたのに。なんなんだ……?
《シルヴァン!? どうなっていますの!?》
そう言いたげな視線がやってくるが、俺にもまったく分からない。
今ので、力が不足しているのではないと確定した。じゃあ、なんなんだ……?
((まさか……。木を間違えたのか……!?))
……いや、それはない。
大きな切り株の正面にある、高さ1メートル50くらいの位置に少し傷がある木。
それが仕込みがされた木で、後ろには大きな切り株があるし、高さ1メートル50くらいの位置に斜めに人工的な傷がある。
大きな切り株の先にある木は森の中に複数あるのかもしれないが、まったく同じ高さに意図的につけた傷がある木は他にない。俺が仕込みをさせた木は、間違いなくコレだ。
((……じゃあ、なぜ何も起きない……?))
蜂がいる木に充分な刺激を与えて、引き金を引いた。なのに一向に飛び出してこないのは、どういうことなんだ……?
((………………もしかして……。協力者が仕込む木を間違えた……?))
蜂の巣が仕掛けれていなかった。それなら、こうなるのも腑に落ちる。
だが、だ。
木には、ちゃんと傷がつけられている。
((合図の傷は、設置をしたあとにつけると言っていた))
目の前には確かに、人工的な傷がある。
設置して別の木に印を刻んでしまう、そんな馬鹿なミスをするわけがない。この木には、確実に仕込みが行われているんだ。
《シルヴァン! どうしましょう!?》
さっき以上に狼狽えた視線がやってくるが、どうしようもない。
だって、ワケが分からないのだから!
((…………と、とりあえず……。周囲の木を、叩いてみるか……))
蜂の巣は第三者が気付いて取れないようになっていて、誰かに盗まれた可能性はない。となると今し方否定したばかりだが、設置したあと別の木に印を刻んでしまった、が事実となる。
そこで俺は周囲を見回し、斜め右方向にある木を目指すことにし
「シルヴァン、ジャクリーヌ、無駄よ。そっちにある木を探しても、蜂の巣はないわよ」
……………………。
いま、なんて…………。
叩いたら蜂が飛び出してきて、一斉にマルセルを刺すようになっているのに。いつまで経っても、一匹さえも現れない。
どうなってるんだ……!?
((刺激が足りない……!?))「おっと危ない!」
叩き方が弱かったのかもしれない。俺は躓いたフリをして木に手を付き、思い切り力をかけた。
あくまで感覚だが、さっきの3~4倍は衝撃が走ったはず。これなら――
((…………駄目だ……!))
十数秒待ってみたものの、前回と同じくなんの反応もない。
予行演習をした際は、これより少ない力で蜂は反応していたのに。なんなんだ……?
《シルヴァン!? どうなっていますの!?》
そう言いたげな視線がやってくるが、俺にもまったく分からない。
今ので、力が不足しているのではないと確定した。じゃあ、なんなんだ……?
((まさか……。木を間違えたのか……!?))
……いや、それはない。
大きな切り株の正面にある、高さ1メートル50くらいの位置に少し傷がある木。
それが仕込みがされた木で、後ろには大きな切り株があるし、高さ1メートル50くらいの位置に斜めに人工的な傷がある。
大きな切り株の先にある木は森の中に複数あるのかもしれないが、まったく同じ高さに意図的につけた傷がある木は他にない。俺が仕込みをさせた木は、間違いなくコレだ。
((……じゃあ、なぜ何も起きない……?))
蜂がいる木に充分な刺激を与えて、引き金を引いた。なのに一向に飛び出してこないのは、どういうことなんだ……?
((………………もしかして……。協力者が仕込む木を間違えた……?))
蜂の巣が仕掛けれていなかった。それなら、こうなるのも腑に落ちる。
だが、だ。
木には、ちゃんと傷がつけられている。
((合図の傷は、設置をしたあとにつけると言っていた))
目の前には確かに、人工的な傷がある。
設置して別の木に印を刻んでしまう、そんな馬鹿なミスをするわけがない。この木には、確実に仕込みが行われているんだ。
《シルヴァン! どうしましょう!?》
さっき以上に狼狽えた視線がやってくるが、どうしようもない。
だって、ワケが分からないのだから!
((…………と、とりあえず……。周囲の木を、叩いてみるか……))
蜂の巣は第三者が気付いて取れないようになっていて、誰かに盗まれた可能性はない。となると今し方否定したばかりだが、設置したあと別の木に印を刻んでしまった、が事実となる。
そこで俺は周囲を見回し、斜め右方向にある木を目指すことにし
「シルヴァン、ジャクリーヌ、無駄よ。そっちにある木を探しても、蜂の巣はないわよ」
……………………。
いま、なんて…………。
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