邪魔者の婚約者を消す方法

柚木ゆず

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第6話 さようなら シルヴァン視点

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「二週間ぶりだな、マルセル」
「ずっと会いたかったですわ」
「あの時はごめんなさい。シルヴァン、ジャクリーヌ、会えて嬉しいわ」

 お昼過ぎに、目的にて全員集合。入り口で久々の再会を喜んだあと、早速護衛達を引き連れて中に入ってゆく。

 散歩。
 森林浴。
 ピクニック風のランチ。
 散歩。
 決行。

 今日はこういったメニューになっていて、俺達は森の清らかな空気を吸いながらのんびりと進んでいく。

「そういえば、ずっと気になっていたんだよ。ヴァイオリンはどうだい?」
「おかげさまで、随分良くなったわ。この調子ならいい結果を残せると思うわ」

「この間は、都合が合わず残念でしたわね。お父様が次の機会も必ず設けると仰っていましたから、次こそは3人で食事をしましょうね」
「ええ、楽しみにしているわ」

「噂には聞いていたけど、良い場所だよな。今まで来なかったのを後悔するレベルだ」
「美味しい空気、心地よい日差し、穏やかな景色。たまりませんわ」
「素敵よね。この先も、ずっと3人で共有していけたら幸せだわ」

 少しでも多く、マルセルが幸せを感じられるように。俺とジャクリーヌは精一杯幸福な時間を演出し、努力のおかげでマルセルから笑顔が絶えることはなかった。

「そろそろランチにしようか。マルセル、バスケットを開けてみてくれ」
「? 分かったわ。なにか、あるのかしら――えっ!? これって……」
「トマトとチーズのバケットサンド、トマトとレタスとハムのサンドウィッチ、ポテト、コールスロー、食後のちょっとしたデザートにシガーロール。今日はウチのシェフに頼んで、マルセルの大好物だけを詰め込んだんだよ」
「わたくし達だけ美味しいものを食べてしまったから、マルセルが喜ぶ食事にしよう、とコッソリ相談してましたの。サプライズ成功、みたいですわね」
「今日の主役はマルセルだっ。たっぷり食べてくれ!」

 こんな風に最後の晩餐もしっかりと提供し、以上で『幸せな一か月』計画はお仕舞い。途中で予定が少々狂ってしまったものの、とてもよい時間を与えることができたと思う。

((……マルセル。じゃあ、始めさせてもらうよ))

 だから、終焉へといざなわせてもらう。

「お腹もだいぶ楽になったし、そろそろ散歩を再開しよう」
「行きましょう、マルセル」

 まずは巧みな話術を用いて、護衛をウチとポロアルト家の人間のみにする。要するに俺達の協力者だけで周りを固め、彼女にとっては人生で最後の散歩が幕を開けて――


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