一度もクリアできなかった乙女ゲームの世界に転生しました

柚木ゆず

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第19話 ついに訪れる、その時 アデライド視点(1)

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「「「「「おめでとう!」」」」」
「「「「「おめでとうございます!!」」」」」

 この国で最も由緒のある教会内に響く、たくさんの祝福の声。
 あの日から3か月後の夜、今日はエリク様とアデライドの結婚式が行われる日。この国では結婚式は満月が浮かぶ日に行われるようになっていて、エリク様とわたしは月光が差し込む祭壇の前で向かい合い、式最後の儀式を迎えようとしていました。

 ――最後の儀式は、誓いのキス――。

 これを済ませば、エリク様とアデライドは夫婦となる。ハッピーエンドで物語は完結となる。

「アデライド、ついにこの時がやって来たね」
「ええ。ついに、来たわ」

 今まで何度も何度も失敗を繰り返して、結局生前は一度もクリアできなかった。もう二度と無理だと思っていた。
 でもこの世界で、多くの人に支えられながら達成できた。
 改めて振り返ると達成感がこみ上げてきて、自然と大きな笑みが零れた。

「……じゃあ。始めてもいいかな?」
「ごめんなさい。お願いがあるの」
「え? う、うん。なにかな?」

 こんな場面で突然こんなことを言われたら、驚くのは当然。ポカンとなっているエリク様にもう一度謝って、自分の唇に触れた。

「誓いのキスはなしにして欲しいの。事情はこの式が終わったら伝えるから、お願い。なしにして」

 わたしはアデライドだけど、エリク様が知っているアデライドじゃない。
 そんな状態でキスだなんて、この方に失礼。できるはずがない。

「わたしは貴方と、この場でしてはいけないの。すぐに説明するから、お願い。そうして欲しいの」
「分かった。なしにしよう」

 この世界で『誓いのキス』は必ず行わないといけないもので、参加者達も唖然としていた。けれどエリク様はすぐに受け入れてくれて、そのおかげでキスをしないまま式を終えることができたのでした。

「…………間違いなく式はちゃんと終わっていて、これで完全に回避できた。約束したことを話すわ」

 エリク様の手を取って、人気(ひとけ)のない場所こと教会の外に移動。2人きりになるとすぐに、真実を――ずっと隠していた真実を、告げたのでした。

「エリク様、今まで内緒にしていごめんなさい。わたしはアデライドだけどアデライドじゃないんです」


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