一度もクリアできなかった乙女ゲームの世界に転生しました

柚木ゆず

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第16話 バッドエンドについて アデライド視点(1)

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「いつもありがとうございます。始めましょう」

 お昼前、パーティーをした建物から帰って来てすぐ。一緒に帰って来たエリク様を見送るや18畳くらいある部屋にある部屋に入り、大きめのテーブルに手を付きながら周囲を見回した。

「「「ええ」」」
「「「「「はい!」」」」」

 お父さん、お母さん、マリーさん、そしてルーヴァローテ家の使用人さん達。そんな人達と共に行うのは、作戦会議。
 どうやったら次のバッドエンドを乗り越えられるのかを、全員で考えるのです。
 ちなみにアデライドの両親を『お父さん』『お母さん』と呼んでいるのは、あちらからのご提案。わたしはこの先も、この世界でアデライドとして生きていく――ふたりの娘として生きていくのだから是非そう呼んで欲しいと仰ってくれて、ありがたく応じさせてもらったのだ。

「では、こちらをご覧ください。これが、今後の選択肢の一覧になります」

 ルートをツリー状にまとめた大きな紙をテーブルに広げ、改めて全員に見てもらう。

 トビがアデライドの命を狙うのは、5日後の夕方。その日までバッドエンドに繋がる選択肢はなくて、今後の伏線となるイベントが発生する選択肢もなかった。
 要するに大事なのは、5日目から――深夜は選択肢がないため、5日目の朝からとなる。

 そんな5日目はまず朝の段階で今日の予定を決めることとなり、5か所の中から選択するようになっている。とはいえその中の4か所はしらみ潰しに当たっていて、その4つに行くとどんな選択をしても最終的にはバッドエンドになってしまうと判明している。

 というわけで正しい選択肢は、『ハピエル』という街に行く。
 そこでは伝統工芸品である『幸福のウッドペンダント』という三日月型の御守りが売られていて、アデライドは最後の敵を倒すために買いに行こうとしていた。
 最初にそれを知った時は『命を狙われているのに買い物なんてあり得ない』と思っていたのだけど、まさかの正解で本当に驚いた。

「ハピエルに行って……。ハピエルに着いたら選択肢が5つ出てきて、そのうち4つははずれが判明している……」

 わたしが書き込んでいる×印をマリーさんがマジマジ眺め、顎に左手を当てた。

「ここで取るべき選択肢は、『ペンダントを露店で探す』で……。そこからは勝手にお話が進んでいって……。次に登場する選択肢は、これですね」

《街の外れに咲く花にペンダントをくっつけに行く》

《街の外れにある石にペンダントをくっつけに行く》

 ペンダントを購入した夫婦がより効果が増す言い伝えがあると教えてくれて、夫の家では代々花を、妻の家では代々石をくっつけていた。
 それを聞き、アデライドはどちらかを試してみることになって――。ゲームをプレイしている時は、ここから頭がこんがらがってしまったことが起きるのでした。

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