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第7話 激怒 レオナルド視点
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「ぁあああああああああああああああああああ!! うがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
馬車の中でも散々叫んだが、まるで足りない。身体の奥底から怒りがマグマの如くこみ上げてくる。
屋敷に戻った瞬間近くにある壁を力任せに殴り、何度も何度も荒々しく床を踏みつけた。
「れっ、レオナルド!? どうしたのだっ!?」
「落ち着いてレオナルドっ! なにがあったの!?」
「父上母上っ、聞いてくれ!! アイツにっ、疫病神にっ、ミントに会ったんだよ!! しかもアイツは隣国で幸せに暮らしてやがったんだよ!!」
ティファニーと名前を変えていたこと。新たな居場所を見つけていたこと。騎士団で信頼をえていたこと。名門侯爵家の次男で第二騎士団長の男と結婚していたこと。侯爵の養子になっていたこと。
あの場で知ったことを全て伝えた。
「……お前が怒(いか)るのはもっともだ。なんてことだ!! ふざけている!!」
「わたくし達はこんなことになっているのに!! 騎士団!? 養子!? 結婚!? 許せないわ!!」
「そうっ! 許せない! ふざけている!! だから腹が立って仕方がないんだよ!! ずっとね!!」
俺達が今こんな状態になってしまったのは、ミントのせい。当時今よりも控えめな性格だったアイツがあのタイミングで婚約者にならなければ、疫病神なんて考えは出てこなかった――原因は他にあると即座に気付いていたんだ! 俺達はフィルベールが言いやがったみたいな、無能の集まりじゃないんだからなっっ!
性格とタイミングで俺達を惑わせた、すべての元凶のくせに……! ひとりだけ幸せになりやがって……!!
おまけに、アイツを煽らせやがって……!!
許せない! 想像だけじゃ足りない!
今すぐこの手でぶっ殺してやりたい!!
「……だが、腹立たしいがそれはできない……! だから別のやり方で鬱憤を晴らす! 父上母上っ! 来年の春までに大飛翔をするぞ!!」
「当然だ!! し、しかし……」
「わたくし達には、お金がないわ……。ソレがなければ、飛翔どころか立て直すことだって出来ないわ……」
「それも分かってる!! だから今から協力して探すんだよ!! 金を手に入れる方法を!!」
軍資金がなければ何もできないのは、現当主様であり現会頭様の俺が一番分かっている。
さあ! 父上母上!
フィルベールを全裸で土下座させてっ、それを見たミントに悔し涙を流させるために! 見つけるぞ!!
馬車の中でも散々叫んだが、まるで足りない。身体の奥底から怒りがマグマの如くこみ上げてくる。
屋敷に戻った瞬間近くにある壁を力任せに殴り、何度も何度も荒々しく床を踏みつけた。
「れっ、レオナルド!? どうしたのだっ!?」
「落ち着いてレオナルドっ! なにがあったの!?」
「父上母上っ、聞いてくれ!! アイツにっ、疫病神にっ、ミントに会ったんだよ!! しかもアイツは隣国で幸せに暮らしてやがったんだよ!!」
ティファニーと名前を変えていたこと。新たな居場所を見つけていたこと。騎士団で信頼をえていたこと。名門侯爵家の次男で第二騎士団長の男と結婚していたこと。侯爵の養子になっていたこと。
あの場で知ったことを全て伝えた。
「……お前が怒(いか)るのはもっともだ。なんてことだ!! ふざけている!!」
「わたくし達はこんなことになっているのに!! 騎士団!? 養子!? 結婚!? 許せないわ!!」
「そうっ! 許せない! ふざけている!! だから腹が立って仕方がないんだよ!! ずっとね!!」
俺達が今こんな状態になってしまったのは、ミントのせい。当時今よりも控えめな性格だったアイツがあのタイミングで婚約者にならなければ、疫病神なんて考えは出てこなかった――原因は他にあると即座に気付いていたんだ! 俺達はフィルベールが言いやがったみたいな、無能の集まりじゃないんだからなっっ!
性格とタイミングで俺達を惑わせた、すべての元凶のくせに……! ひとりだけ幸せになりやがって……!!
おまけに、アイツを煽らせやがって……!!
許せない! 想像だけじゃ足りない!
今すぐこの手でぶっ殺してやりたい!!
「……だが、腹立たしいがそれはできない……! だから別のやり方で鬱憤を晴らす! 父上母上っ! 来年の春までに大飛翔をするぞ!!」
「当然だ!! し、しかし……」
「わたくし達には、お金がないわ……。ソレがなければ、飛翔どころか立て直すことだって出来ないわ……」
「それも分かってる!! だから今から協力して探すんだよ!! 金を手に入れる方法を!!」
軍資金がなければ何もできないのは、現当主様であり現会頭様の俺が一番分かっている。
さあ! 父上母上!
フィルベールを全裸で土下座させてっ、それを見たミントに悔し涙を流させるために! 見つけるぞ!!
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