最愛の人が、元婚約者にしつこく復縁を迫られているらしい

柚木ゆず

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第12話 その後~ピエール達の場合~ 俯瞰視点(5)

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「……………………」
「……………………」

 あれから1か月後の、午後9時過ぎ。2人は抜け殻のようになって、天井をぼんやりと眺めていました。
 そして5分ほどが経過した頃、

「……………………父上……。疲れたな……」
「……………………ああ……。疲れたな……」
「……………………」
「……………………」
「……………………もう嫌だこんな生活!! いやだぁあああああああああああああああああああああああああ!!」
「わたしもいやだあああああああああああああああああああ!! こんな人生はたえられないぃぃぃぃぃぃ!!」

 2人は突然頭を抱え、大声を上げ始めました。


 一日中『死』が過ぎった状態で我武者羅に働いて、100グラムを達成したら収穫物の汚れを丁寧に落として、体力が尽きて寝る。起きるとヴァルスター家の人間がやって来るため収穫した薬草や木の実を渡し、また我武者羅に動き回る。


 のんびり一息つく時間さえもなく、心身共に激しく疲弊していたのです。
 それにより声を揃えて『もう止めたい!!』と叫びますが、そうすれば呆気なく殺されてしまいます。自分達が最も恐ろしく感じている状態に、なってしまいます。なので、

「いや、でも……。やる、しかない…………」
「やり続けるしか、ない…………」

 どんなに辛くとも、継続するしかありません。
 そのため今夜も薄く狭い寝具で眠り、夜が明けると起きて、必死に動いて。労働しか存在しない毎日を、過ごしてゆきます。

「ぁぁぁ……。こんなことなら……」
「あんなことを、したければよかった……」
「あのころに、戻りたい…………」
「幸せだったあの日々に、返りたい…………」

 茂みの中を懸命に探し回りながら嘆き後悔しますが、そんな奇跡が起きてくれるはずはありません。
 散々身勝手を繰り返したピエールと、それを許した父ダニエル。2人はその命が尽きるまで、辛いループを繰り返す羽目になってしてしまったのでした――。

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